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嫌です。別れません
8話
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リオが学校へ通い始めることになった。
魔女さんと話し合い、週に2日だけはダンの家に帰ることになった。
魔女さんはわたし達二人に危険防止の魔法をかけてくれる。
「久しぶりにここで暮らすわね」
独り言を呟いていると「かあちゃん、この家が昔住んでたとこ?」と家の中をそっと覗くリオ。
「そうね、たまに掃除には来ていたけど、今日はしっかり掃除をしてなんとか住めるようにしないといけないわね」
「うん!僕も手伝うよ」
着の身着のままここを出ていった。あれから6年が経った。よくわからない視線に晒され、リオに何かあってはいけないとこの家を去った。
ダンは待っていてくれと言ったけど帰ってくることはもちろん一度もないし、手紙すら来ない。
ペンダントはなんの反応め示してくれない。だから多分ダンは生きてる。
だけどもう帰っては来ないのかもしれない。
隣のおばちゃんのところに挨拶に行くとリオを見て涙ぐまれた。
「大きくなったね」
リオにはよく遊んでもらったしお世話をしてもらっていたことは前もって伝えていたので「お久しぶりです」と笑顔で挨拶をしてさらにおばちゃんは喜んで泣いてくれた。
二人で久しぶりに夜を過ごす。あの頃住んでいた変な視線はもう感じない。
8歳になったリオはとても賢くて平民のための学校に通い始めてすぐに貴族が多く行く学校へ推薦され、特待生として学校へ通うことになった。
週2日しか行かなくてよかったはずなのに結局週5日も通うことになり週末だけ魔女さんのところへ帰ることになった。
魔女さんは寂しいのか気付けばダンの家にちょくちょく遊びに来てくれた。
隣のおばちゃんのパンがお気に入りだというのもあって三人の生活が続いていた。
リオは毎日楽しそうに学校へ通っている。平民なので貴族の子供たちとうまくやっていけないのではと心配したけど、立ち回りが上手なのか、貴族の中でも高位貴族の子と仲良くすることで周りを牽制していじめに遭うことはないとリオが言っていた。
その時の笑顔がなんとも言えなかった。
うーん、育て方少し間違えた?
そんななにもなく穏やかな日々が続く中、最近またあの嫌な視線が感じられるようになった。
リオは毎日村から街まで歩き乗り合い馬車に乗って学校へ通っている。
でもあの視線は危険。危険防止の魔法のおかげで今のところ何事もなく生活しているけど、その魔法だって本当に危険なことが起きればどこまで効果があるかわからない。と魔女さんが言っていた。
そんなある日、リオが学校から帰るのが遅くて、魔女さんと二人心配し始めた頃。
「リオ、そろそろ帰ってくるんじゃないのか?」
「うーん、ほんと、何してるんでしょう?誰かのお家にお邪魔しているのかしら?この前も突然お友達のお家から遅くなると伝言が来たから」
「なんだか嫌な予感しかしないんだが」
魔女さんが顔を顰めて玄関の扉を開けて外をキョロキョロと見ていた。
そう言われればなんだか嫌な気分になってきた。
薬草を摺鉢で細かく粉にしていたその手を止めてわたしも玄関に顔を出した。
まだ外は暗くはなっていないけどあと1時間も経てば陽は落ちて暗くなり始める。
「わたし、ちょっと街の方へ歩いていってきます」
帰り道を歩けばリオに会えるかもしれない。
なんとなく胸騒ぎがしてショールを一枚羽織り急足で街へと向かった。
「…………リオ」
目が覚めると知らない部屋に手足を縛られて床に寝かされていた。
窓の外は真っ暗でもう夜なのだとわかる。
わたしは街へと向かっている時、背後から誰かにハンカチで口を塞がれた。
その後の記憶はない。
多分薬で眠らされてここに連れてこられたのだろう。
わたしはいい。どうでもいい。
それよりもリオは?リオはあの後家に帰ってきたのかしら?
「リオ………」
何度となくリオの名前を呼んだ。
魔女さんと話し合い、週に2日だけはダンの家に帰ることになった。
魔女さんはわたし達二人に危険防止の魔法をかけてくれる。
「久しぶりにここで暮らすわね」
独り言を呟いていると「かあちゃん、この家が昔住んでたとこ?」と家の中をそっと覗くリオ。
「そうね、たまに掃除には来ていたけど、今日はしっかり掃除をしてなんとか住めるようにしないといけないわね」
「うん!僕も手伝うよ」
着の身着のままここを出ていった。あれから6年が経った。よくわからない視線に晒され、リオに何かあってはいけないとこの家を去った。
ダンは待っていてくれと言ったけど帰ってくることはもちろん一度もないし、手紙すら来ない。
ペンダントはなんの反応め示してくれない。だから多分ダンは生きてる。
だけどもう帰っては来ないのかもしれない。
隣のおばちゃんのところに挨拶に行くとリオを見て涙ぐまれた。
「大きくなったね」
リオにはよく遊んでもらったしお世話をしてもらっていたことは前もって伝えていたので「お久しぶりです」と笑顔で挨拶をしてさらにおばちゃんは喜んで泣いてくれた。
二人で久しぶりに夜を過ごす。あの頃住んでいた変な視線はもう感じない。
8歳になったリオはとても賢くて平民のための学校に通い始めてすぐに貴族が多く行く学校へ推薦され、特待生として学校へ通うことになった。
週2日しか行かなくてよかったはずなのに結局週5日も通うことになり週末だけ魔女さんのところへ帰ることになった。
魔女さんは寂しいのか気付けばダンの家にちょくちょく遊びに来てくれた。
隣のおばちゃんのパンがお気に入りだというのもあって三人の生活が続いていた。
リオは毎日楽しそうに学校へ通っている。平民なので貴族の子供たちとうまくやっていけないのではと心配したけど、立ち回りが上手なのか、貴族の中でも高位貴族の子と仲良くすることで周りを牽制していじめに遭うことはないとリオが言っていた。
その時の笑顔がなんとも言えなかった。
うーん、育て方少し間違えた?
そんななにもなく穏やかな日々が続く中、最近またあの嫌な視線が感じられるようになった。
リオは毎日村から街まで歩き乗り合い馬車に乗って学校へ通っている。
でもあの視線は危険。危険防止の魔法のおかげで今のところ何事もなく生活しているけど、その魔法だって本当に危険なことが起きればどこまで効果があるかわからない。と魔女さんが言っていた。
そんなある日、リオが学校から帰るのが遅くて、魔女さんと二人心配し始めた頃。
「リオ、そろそろ帰ってくるんじゃないのか?」
「うーん、ほんと、何してるんでしょう?誰かのお家にお邪魔しているのかしら?この前も突然お友達のお家から遅くなると伝言が来たから」
「なんだか嫌な予感しかしないんだが」
魔女さんが顔を顰めて玄関の扉を開けて外をキョロキョロと見ていた。
そう言われればなんだか嫌な気分になってきた。
薬草を摺鉢で細かく粉にしていたその手を止めてわたしも玄関に顔を出した。
まだ外は暗くはなっていないけどあと1時間も経てば陽は落ちて暗くなり始める。
「わたし、ちょっと街の方へ歩いていってきます」
帰り道を歩けばリオに会えるかもしれない。
なんとなく胸騒ぎがしてショールを一枚羽織り急足で街へと向かった。
「…………リオ」
目が覚めると知らない部屋に手足を縛られて床に寝かされていた。
窓の外は真っ暗でもう夜なのだとわかる。
わたしは街へと向かっている時、背後から誰かにハンカチで口を塞がれた。
その後の記憶はない。
多分薬で眠らされてここに連れてこられたのだろう。
わたしはいい。どうでもいい。
それよりもリオは?リオはあの後家に帰ってきたのかしら?
「リオ………」
何度となくリオの名前を呼んだ。
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