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二度目の人生にあなたは要らない。離縁しましょう。
【19】
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台所から出て扉を開け玄関へと向かった。
外に出たからと言ってオーグを助けられるわけではない。でも、何かせずにはいられなかった。
リンデの森は魔獣が多い。だから人が近づかない。でもオーグは大魔法使い、そのオーグがマリーンという名の魔女に嵌められて子供を作ってしまったらしい。
アイリーン様はベルサール伯爵の娘のはず……養女?それとも伯爵夫人がマリーンさん?
わからない、だけど、今わたしに出来るのは神聖樹のところへ行くことだけ。
妖精達もみんなついてくる。
“神聖樹?”
“イリアナならもしかしたら声が聞こえるかもしれない”
“オーグを助けて”
さっきよりもたくさんの妖精が集まってきた。
神聖樹の周りにはいつも妖精達が沢山集まっている。何度か来たことがあるけど、妖精が認めてくれないと神聖樹のそばに来ることすらできない。拒絶され迷子になる。
だけどオーグが連れてきてくれると神聖樹は優しく受け入れてくれる。
わたし一人でも大丈夫かな?
不思議にどこへ向かえばいいのかわかる。足取りが軽い。
巻き戻ってからずっと疲れていたはずなのに。
かなりの魔力を使いオーグを助けようとして本当はわたし自身もかなり疲弊していた。
なのに神聖樹が近いのだろう。体が軽い。
このまま横になって眠りたいくらい……
ーーああ、そうか……オーグをここに連れてこないと……そうすればオーグの体も癒されるかもしれない……
「妖精さん……オーグをここに連れて来たいの。手伝ってくれる?」
“オーグ、はこぶの?”
“うん”
“おてつだい、する”
自分の体を観察する。
ーーうん、少し力が戻って来たみたい。
もう一度小屋へと急いで帰ることにした。
ぐったりして眠り続けるオーグをふわっと浮かせた。まだ力が足りない。
体の大きなオーグを浮かせて連れていくだけの体力と魔力がまだ戻って来ていない。
あんなに溢れるくらいの力があったのに……オーグを助けるためとは言えかなりの魔力を消費してしまっていたようだ。
「オーグ、絶対助けるから」
フラフラしながらもオーグを運ぶ。
周りの妖精達も一緒に運んでくれた。
オーグに触れるとわたしも妖精も力を吸い取られていつもの力が発揮できない。
呪い?それともただ枯渇した魔力を欲してオーグが吸い取っているの?
魔法に詳しくないわたしにはよくわからない。だけどどんなに力が弱まってもオーグを助けたい。
妖精達も疲れきった顔をしている。だけどみんなやめようとしない。
「オーグ、お願い、目を覚まして!」
神聖樹のそばに近づくと不思議に鉛のように重たい体が軽くなった。
「あと少し……」
“オーグ、起きて”
“重たい!!”
妖精達がオーグの頬をペチペチと叩いている。
小さな小さな手がオーグの頬を叩く……というより触れている姿が微笑ましくて、疲れてしまって座り込んでいるわたしなのに思わず頬が緩む。
「可愛い……」
少し休憩して妖精達がオーグのそばで飛び回る姿を見ていた。なんとか魔力も回復して神聖樹の根元へとオーグを運びきった。
「オーグ、お願い、目覚めて!」
不思議な光がオーグを包み込む。
そして……
わたしの大好きなオーグが優しく微笑んだ。
「………オーグっ……!!!」
外に出たからと言ってオーグを助けられるわけではない。でも、何かせずにはいられなかった。
リンデの森は魔獣が多い。だから人が近づかない。でもオーグは大魔法使い、そのオーグがマリーンという名の魔女に嵌められて子供を作ってしまったらしい。
アイリーン様はベルサール伯爵の娘のはず……養女?それとも伯爵夫人がマリーンさん?
わからない、だけど、今わたしに出来るのは神聖樹のところへ行くことだけ。
妖精達もみんなついてくる。
“神聖樹?”
“イリアナならもしかしたら声が聞こえるかもしれない”
“オーグを助けて”
さっきよりもたくさんの妖精が集まってきた。
神聖樹の周りにはいつも妖精達が沢山集まっている。何度か来たことがあるけど、妖精が認めてくれないと神聖樹のそばに来ることすらできない。拒絶され迷子になる。
だけどオーグが連れてきてくれると神聖樹は優しく受け入れてくれる。
わたし一人でも大丈夫かな?
不思議にどこへ向かえばいいのかわかる。足取りが軽い。
巻き戻ってからずっと疲れていたはずなのに。
かなりの魔力を使いオーグを助けようとして本当はわたし自身もかなり疲弊していた。
なのに神聖樹が近いのだろう。体が軽い。
このまま横になって眠りたいくらい……
ーーああ、そうか……オーグをここに連れてこないと……そうすればオーグの体も癒されるかもしれない……
「妖精さん……オーグをここに連れて来たいの。手伝ってくれる?」
“オーグ、はこぶの?”
“うん”
“おてつだい、する”
自分の体を観察する。
ーーうん、少し力が戻って来たみたい。
もう一度小屋へと急いで帰ることにした。
ぐったりして眠り続けるオーグをふわっと浮かせた。まだ力が足りない。
体の大きなオーグを浮かせて連れていくだけの体力と魔力がまだ戻って来ていない。
あんなに溢れるくらいの力があったのに……オーグを助けるためとは言えかなりの魔力を消費してしまっていたようだ。
「オーグ、絶対助けるから」
フラフラしながらもオーグを運ぶ。
周りの妖精達も一緒に運んでくれた。
オーグに触れるとわたしも妖精も力を吸い取られていつもの力が発揮できない。
呪い?それともただ枯渇した魔力を欲してオーグが吸い取っているの?
魔法に詳しくないわたしにはよくわからない。だけどどんなに力が弱まってもオーグを助けたい。
妖精達も疲れきった顔をしている。だけどみんなやめようとしない。
「オーグ、お願い、目を覚まして!」
神聖樹のそばに近づくと不思議に鉛のように重たい体が軽くなった。
「あと少し……」
“オーグ、起きて”
“重たい!!”
妖精達がオーグの頬をペチペチと叩いている。
小さな小さな手がオーグの頬を叩く……というより触れている姿が微笑ましくて、疲れてしまって座り込んでいるわたしなのに思わず頬が緩む。
「可愛い……」
少し休憩して妖精達がオーグのそばで飛び回る姿を見ていた。なんとか魔力も回復して神聖樹の根元へとオーグを運びきった。
「オーグ、お願い、目覚めて!」
不思議な光がオーグを包み込む。
そして……
わたしの大好きなオーグが優しく微笑んだ。
「………オーグっ……!!!」
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