61 / 63
60話
しおりを挟む
イーゼ嬢との会話は楽しかった。
もちろん他の女性達はやってこない。
十分に虫除けとしても非常に優秀な人だ。
「アラン様!」
メイとトールが俺たちのところへ来た。
「こちらから挨拶に行かないといけないのにすみません」
俺がトールにお詫びを言うと
「私達がみんなに捕まっていてゆっくり話せなかったんだもの、お二人に来ていただいて嬉しいわ」
メイは何を勘違いしたか、俺とイーゼ嬢をセットだと思っている。
「アランもとうとう相手を見つけたのか?おめでとう」
トールまで勘違いしている。
「え?違いますよ?今日わたしは虫除けとしてここにいるのです、ね?アラン様!わたしでも少しはお役に立てていますでしょうか?」
イーゼ嬢からはっきり否定された俺は、何故かグッときてイラッとした。
「ああ、イーゼ嬢は素晴らしい虫除けだよ」
俺はイーゼ嬢を見ながら思いっきりの笑顔で微笑んだ。
「ふふ。でしたら来た甲斐がありました」
俺はイーゼ嬢の笑顔に負けた気がした。
それからメイ達との挨拶が終わり、エイミー達にも挨拶をした。
イーゼ嬢からするとカイルは王族であり殿下である。
カイルを見て慌てて挨拶をした。
「初めまして、カイル殿下。ジリニア侯爵の娘イーゼで御座います」
流石にきちんと教育されたご令嬢。
見事なカーテシーに俺は見惚れてしまった。
「エイミー、今日はチビを預けて来たんだな。もう動いて回っても大丈夫なのか?」
「体調も落ち着いたし、今日はメイの婚約パーティーだもの、何があっても参加したかったの」
「メイ、よかったな。大変だったけどいい人に巡り会えたし」
俺がメイのいる方を見て言うと、
「メイを振っておきながらほんとアランは分かってないわね」
小さな声でエイミーは呟いたが、俺には聞こえていなかった。
イーゼ嬢は、エイミーが何かを呟いたのを聞いて俺を見た。
「エイミー、何を言った?」
「アラン?聞こえなかったのならいいわ。メイはやっと幸せを掴んだの、本当に良かったと思うわ」
エイミーはにっこりと笑って手を降り去っていった。
カイルと俺は少し話があったので、イーゼ嬢に少し待ってもらっていた。
急ぎ話を終わらせてイーゼ嬢の元へ行くと
「アラン様の周りはあまりにも素敵な方達ばかりでドキドキしました。
カイル殿下はもちろんエイミー様は女性であり侯爵夫人でもあるのに王宮で司書官としても働かれている女性の憧れの人です。
メイ様だって王太子妃の侍女として働かれていますがとても優秀な方でお名前はよく聞きます」
そしてイーゼ嬢はさっき話していたメンバーにも目を向けた。
「それに先程お話しされていたイザベラ様やシャーリー様それにクレイン様など錚々たる方達とお話しされているアラン様はやはり凄い方なのだと思いました」
「……確かに周りは凄いのかも知れないが俺はただの平民だ」
「あ……そんなことはありません。わたしはアラン様をそんなふうに見ていません、ただ、ただ、今日わたしは女性達除けにと張り切っていたのが少し恥ずかしくなってしまっただけです」
「何故だ?俺は貴女が来てくれてとても嬉しかったし久しぶりに話せて楽しかった」
「……ご迷惑ではありませんでしたか?」
「全く。嫌なら最初からお願いなどしない、貴女と話すのは不思議に苦にならないし楽しいんだ」
そうだ、この子といるのが楽しい……
さっき、俺とはなんの関係もないと否定されて俺は変な気分だったしイラッとした。
俺はこの子に惹かれているのか?
会えないと何故か気になっていたのは好きだから?
俺はイーゼ嬢を見つめてただじっと固まっていた。
もちろん他の女性達はやってこない。
十分に虫除けとしても非常に優秀な人だ。
「アラン様!」
メイとトールが俺たちのところへ来た。
「こちらから挨拶に行かないといけないのにすみません」
俺がトールにお詫びを言うと
「私達がみんなに捕まっていてゆっくり話せなかったんだもの、お二人に来ていただいて嬉しいわ」
メイは何を勘違いしたか、俺とイーゼ嬢をセットだと思っている。
「アランもとうとう相手を見つけたのか?おめでとう」
トールまで勘違いしている。
「え?違いますよ?今日わたしは虫除けとしてここにいるのです、ね?アラン様!わたしでも少しはお役に立てていますでしょうか?」
イーゼ嬢からはっきり否定された俺は、何故かグッときてイラッとした。
「ああ、イーゼ嬢は素晴らしい虫除けだよ」
俺はイーゼ嬢を見ながら思いっきりの笑顔で微笑んだ。
「ふふ。でしたら来た甲斐がありました」
俺はイーゼ嬢の笑顔に負けた気がした。
それからメイ達との挨拶が終わり、エイミー達にも挨拶をした。
イーゼ嬢からするとカイルは王族であり殿下である。
カイルを見て慌てて挨拶をした。
「初めまして、カイル殿下。ジリニア侯爵の娘イーゼで御座います」
流石にきちんと教育されたご令嬢。
見事なカーテシーに俺は見惚れてしまった。
「エイミー、今日はチビを預けて来たんだな。もう動いて回っても大丈夫なのか?」
「体調も落ち着いたし、今日はメイの婚約パーティーだもの、何があっても参加したかったの」
「メイ、よかったな。大変だったけどいい人に巡り会えたし」
俺がメイのいる方を見て言うと、
「メイを振っておきながらほんとアランは分かってないわね」
小さな声でエイミーは呟いたが、俺には聞こえていなかった。
イーゼ嬢は、エイミーが何かを呟いたのを聞いて俺を見た。
「エイミー、何を言った?」
「アラン?聞こえなかったのならいいわ。メイはやっと幸せを掴んだの、本当に良かったと思うわ」
エイミーはにっこりと笑って手を降り去っていった。
カイルと俺は少し話があったので、イーゼ嬢に少し待ってもらっていた。
急ぎ話を終わらせてイーゼ嬢の元へ行くと
「アラン様の周りはあまりにも素敵な方達ばかりでドキドキしました。
カイル殿下はもちろんエイミー様は女性であり侯爵夫人でもあるのに王宮で司書官としても働かれている女性の憧れの人です。
メイ様だって王太子妃の侍女として働かれていますがとても優秀な方でお名前はよく聞きます」
そしてイーゼ嬢はさっき話していたメンバーにも目を向けた。
「それに先程お話しされていたイザベラ様やシャーリー様それにクレイン様など錚々たる方達とお話しされているアラン様はやはり凄い方なのだと思いました」
「……確かに周りは凄いのかも知れないが俺はただの平民だ」
「あ……そんなことはありません。わたしはアラン様をそんなふうに見ていません、ただ、ただ、今日わたしは女性達除けにと張り切っていたのが少し恥ずかしくなってしまっただけです」
「何故だ?俺は貴女が来てくれてとても嬉しかったし久しぶりに話せて楽しかった」
「……ご迷惑ではありませんでしたか?」
「全く。嫌なら最初からお願いなどしない、貴女と話すのは不思議に苦にならないし楽しいんだ」
そうだ、この子といるのが楽しい……
さっき、俺とはなんの関係もないと否定されて俺は変な気分だったしイラッとした。
俺はこの子に惹かれているのか?
会えないと何故か気になっていたのは好きだから?
俺はイーゼ嬢を見つめてただじっと固まっていた。
12
お気に入りに追加
1,098
あなたにおすすめの小説
妻と夫と元妻と
キムラましゅろう
恋愛
復縁を迫る元妻との戦いって……それって妻(わたし)の役割では?
わたし、アシュリ=スタングレイの夫は王宮魔術師だ。
数多くの魔術師の御多分に漏れず、夫のシグルドも魔術バカの変人である。
しかも二十一歳という若さで既にバツイチの身。
そんな事故物件のような夫にいつの間にか絆され絡めとられて結婚していたわたし。
まぁわたしの方にもそれなりに事情がある。
なので夫がバツイチでもとくに気にする事もなく、わたしの事が好き過ぎる夫とそれなりに穏やかで幸せな生活を営んでいた。
そんな中で、国王肝入りで魔術研究チームが組まれる事になったのだとか。そしてその編成されたチームメイトの中に、夫の別れた元妻がいて………
相も変わらずご都合主義、ノーリアリティなお話です。
不治の誤字脱字病患者の作品です。
作中に誤字脱字が有ったら「こうかな?」と脳内変換を余儀なくさせられる恐れが多々ある事をご了承下さいませ。
性描写はありませんがそれを連想させるワードが出てくる恐れがありますので、破廉恥がお嫌いな方はご自衛下さい。
小説家になろうさんでも投稿します。
私は既にフラれましたので。
椎茸
恋愛
子爵令嬢ルフェルニア・シラーは、国一番の美貌を持つ幼馴染の公爵令息ユリウス・ミネルウァへの想いを断ち切るため、告白をする。ルフェルニアは、予想どおりフラれると、元来の深く悩まない性格ゆえか、気持ちを切り替えて、仕事と婚活に邁進しようとする。一方、仕事一筋で自身の感情にも恋愛事情にも疎かったユリウスは、ずっと一緒に居てくれたルフェルニアに距離を置かれたことで、感情の蓋が外れてルフェルニアの言動に一喜一憂するように…?
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です
妻の死で思い知らされました。
あとさん♪
恋愛
外交先で妻の突然の訃報を聞いたジュリアン・カレイジャス公爵。
急ぎ帰国した彼が目にしたのは、淡々と葬儀の支度をし弔問客たちの対応をする子どもらの姿だった。
「おまえたちは母親の死を悲しいとは思わないのか⁈」
ジュリアンは知らなかった。
愛妻クリスティアナと子どもたちがどのように生活していたのか。
多忙のジュリアンは気がついていなかったし、見ようともしなかったのだ……。
そしてクリスティアナの本心は——。
※全十二話。
※作者独自のなんちゃってご都合主義異世界だとご了承ください
※時代考証とか野暮は言わないお約束
※『愚かな夫とそれを見限る妻』というコンセプトで書いた第三弾。
第一弾『妻の死を人伝てに聞きました。』
第二弾『そういうとこだぞ』
それぞれ因果関係のない独立したお話です。合わせてお楽しみくださると一興かと。
※この話は小説家になろうにも投稿しています。
妻のち愛人。
ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。
「ねーねー、ロナぁー」
甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。
そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。
姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚
mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。
王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。
数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ!
自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。
【完結】お姉様の婚約者
七瀬菜々
恋愛
姉が失踪した。それは結婚式当日の朝のことだった。
残された私は家族のため、ひいては祖国のため、姉の婚約者と結婚した。
サイズの合わない純白のドレスを身に纏い、すまないと啜り泣く父に手を引かれ、困惑と同情と侮蔑の視線が交差するバージンロードを歩き、彼の手を取る。
誰が見ても哀れで、惨めで、不幸な結婚。
けれど私の心は晴れやかだった。
だって、ずっと片思いを続けていた人の隣に立てるのだから。
ーーーーーそう、だから私は、誰がなんと言おうと、シアワセだ。
【完結】夫もメイドも嘘ばかり
横居花琉
恋愛
真夜中に使用人の部屋から男女の睦み合うような声が聞こえていた。
サブリナはそのことを気に留めないようにしたが、ふと夫が浮気していたのではないかという疑念に駆られる。
そしてメイドから衝撃的なことを打ち明けられた。
夫のアランが無理矢理関係を迫ったというものだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる