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2章 ある騎士の物語
第4話
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「ねえ、ウィル。今夜はわたしの部屋で護衛してね」
「申し訳ございません。護衛騎士は部屋の外でするという決まりがあります」
「そんな決まりなんて気にしないで、ウィルはいつもわたしの側に居てちょうだい」
「セシリア、いい加減に護衛達を困らせるな」
団長があの女を諌めてくれた。
団長は時折こちらに来ては様子を伺って助けてくれるようになった。
あの女は小さく「チッ」と舌打ちをして
「叔父様はどうしてわたしに意地悪をするの?ウィルはわたしのことが大好きなのよ、わたしも彼が好きよ。わたし達の邪魔をしないで」
悲しそうな顔で団長を見ているが儚げには見えないし強欲ないやらしい女にしか見えない。
団長は溜息を吐きながらも刺激しないように気を使いながら王女に言った。
「ウィルは今から昨日の報告書を提出してもらわなければいけないんだ。ウィル、早くしろ!」
「申し訳ありません、急ぎます」
俺は慌てて団長の執務室へ向かった。
「ウィル、セシリアに接触している怪しい奴は今のところ影から報告を受けていない。ただセシリアはお前の恋人を邪魔だ、なんとか排除したいと護衛騎士や侍女、会う文官や学園など周りのいる者達に呟いているらしい、それを聞いてご機嫌取りで動いたものがいるのではと思っている、ただ、セシリアが自ら頼んでいるようには見えない」
俺は今アンナを襲った男達を探している。早く分かれば手の打ちようもある。
だが誰が裏にいるのか分からない。
あの女が誰かに命令している様子が見当たらない。
俺は焦っていた。
前回襲われた時も結局犯人はわからなかった。
あの女は、襲われた時の話はしても誰が犯人かは一切話さなかった。あんなに口が軽いのに何故ボロを出さないのか。
俺はあの女が言った言葉を思い出す。
「ふふ。あれね、男達は確かにあの女を犯したわ。でもね中には出していないの。避妊薬も男達は飲ませておいたの、だから妊娠は貴方の子じゃない?それを苦にして死んだのなら貴方の子を殺したのは貴方の恋人ってことよね、そして貴方が妊娠させたんだからそれを苦に死んだのは貴方の所為よ」
思い出すだけで腑が煮え繰り返りそうになる。
アンディが夢で見たと言った言葉を思い出す。
「別に意味などないわ。わたしが気に入らない女性がどうにかなったらいいのになって心の中で願うと何故かその女性が不幸になるの、何故かしら?」
その言葉はアンディへの挑発なのかと思っていたが
違うのか。
本当にあの女がぶつぶつ言っていることを実行した奴がいるのか。俺は何か見落としている気がしてならなかった。
そしてまたあの女のところへ行き護衛をした。
あの女が部屋から出て来ないので今のところ安心して外で立っていることができる。
今日はハックと二人で護衛をしている。
「なあ、ウィル。あんた、セシリア様と寝たのか?」
「はあ?何を言ってるんだ。そんなことあり得ない」
「いいよなぁ、セシリア様のお気に入りなんてさ。顔が良くて剣術が優れて王宮で人気のあるアンナ嬢と婚約までしてる、その上王女様のお気に入り、羨ましいよ」
「だったらお前が俺の代わりになるか?アンナはやらないがセシリア様のお気に入りに成ればいい」
「成れるものなら成りたいよ」
ハックは鼻で笑った。
ハックの笑い方に何か引っかかるものがあったが俺はそのまま護衛としての仕事をしていた。
「申し訳ございません。護衛騎士は部屋の外でするという決まりがあります」
「そんな決まりなんて気にしないで、ウィルはいつもわたしの側に居てちょうだい」
「セシリア、いい加減に護衛達を困らせるな」
団長があの女を諌めてくれた。
団長は時折こちらに来ては様子を伺って助けてくれるようになった。
あの女は小さく「チッ」と舌打ちをして
「叔父様はどうしてわたしに意地悪をするの?ウィルはわたしのことが大好きなのよ、わたしも彼が好きよ。わたし達の邪魔をしないで」
悲しそうな顔で団長を見ているが儚げには見えないし強欲ないやらしい女にしか見えない。
団長は溜息を吐きながらも刺激しないように気を使いながら王女に言った。
「ウィルは今から昨日の報告書を提出してもらわなければいけないんだ。ウィル、早くしろ!」
「申し訳ありません、急ぎます」
俺は慌てて団長の執務室へ向かった。
「ウィル、セシリアに接触している怪しい奴は今のところ影から報告を受けていない。ただセシリアはお前の恋人を邪魔だ、なんとか排除したいと護衛騎士や侍女、会う文官や学園など周りのいる者達に呟いているらしい、それを聞いてご機嫌取りで動いたものがいるのではと思っている、ただ、セシリアが自ら頼んでいるようには見えない」
俺は今アンナを襲った男達を探している。早く分かれば手の打ちようもある。
だが誰が裏にいるのか分からない。
あの女が誰かに命令している様子が見当たらない。
俺は焦っていた。
前回襲われた時も結局犯人はわからなかった。
あの女は、襲われた時の話はしても誰が犯人かは一切話さなかった。あんなに口が軽いのに何故ボロを出さないのか。
俺はあの女が言った言葉を思い出す。
「ふふ。あれね、男達は確かにあの女を犯したわ。でもね中には出していないの。避妊薬も男達は飲ませておいたの、だから妊娠は貴方の子じゃない?それを苦にして死んだのなら貴方の子を殺したのは貴方の恋人ってことよね、そして貴方が妊娠させたんだからそれを苦に死んだのは貴方の所為よ」
思い出すだけで腑が煮え繰り返りそうになる。
アンディが夢で見たと言った言葉を思い出す。
「別に意味などないわ。わたしが気に入らない女性がどうにかなったらいいのになって心の中で願うと何故かその女性が不幸になるの、何故かしら?」
その言葉はアンディへの挑発なのかと思っていたが
違うのか。
本当にあの女がぶつぶつ言っていることを実行した奴がいるのか。俺は何か見落としている気がしてならなかった。
そしてまたあの女のところへ行き護衛をした。
あの女が部屋から出て来ないので今のところ安心して外で立っていることができる。
今日はハックと二人で護衛をしている。
「なあ、ウィル。あんた、セシリア様と寝たのか?」
「はあ?何を言ってるんだ。そんなことあり得ない」
「いいよなぁ、セシリア様のお気に入りなんてさ。顔が良くて剣術が優れて王宮で人気のあるアンナ嬢と婚約までしてる、その上王女様のお気に入り、羨ましいよ」
「だったらお前が俺の代わりになるか?アンナはやらないがセシリア様のお気に入りに成ればいい」
「成れるものなら成りたいよ」
ハックは鼻で笑った。
ハックの笑い方に何か引っかかるものがあったが俺はそのまま護衛としての仕事をしていた。
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