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記憶をなくしたわたし。
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「あー、頭が痛い」
目が覚めた瞬間、ズキズキと痛む右側の頭に痛み。
「ねぇ、タバサ、ここを見てちょうだい」
「ティア様!目覚めてすぐ起きられて大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないわよ。とっても痛いの、わたしどうしてこんなに痛いのかわからないわ」
「…えっ?」
タバサは一瞬驚いて手を止めた。
「もう!水!水がコップから溢れているわよ!」
タバサがピッチャーからコップにお水を入れていたのに……
もう!ほんと何してるの!
怒ろうとしたらタバサが「す、すみません……あ、あの……」
ピッチャーとコップをテーブルに置くと恐る恐るわたしの顔を覗く。
「ティア様………ご自分がどうして頭が痛いのか、頭の怪我のことお忘れなのですか?」
「頭の怪我?」
そういえば痛いのは、中ではなく……外?のような気がするわね。
恐る恐る頭を触ると「う、うわっ!」包帯が頭にぐるぐる巻きにされていた。
「タバサ!わたしどうしたの?」
それによく部屋を見ると………
「ねぇ、ここはどこ?そういえばタバサったら老けたわね?ふふっ、どうしたの?疲れているのかしら?わたしそんなにタバサをこき使った覚えはないのに」
「ティア様…………」
「うん?どうしたの?」
タバサは驚きわたしに恐る恐る尋ねる。
「覚えておられないのですか?」
「何を?どうしてわたしがここにいるのかはわからないわ。でも今朝二人でミルフォードの街へ遊びに行こうと約束したことは覚えているわ。お父様に許可をもらわないといけないわねと話したじゃない?」
「………ここはそのミルフォードの街の中にあるお屋敷です」
「何を言ってるのよ?ミルフォードは我が家から二日もかかるのよ?簡単に来れるわけがないじゃない?」
「ティア様は今………おいくつですか?」
「もう!馬鹿なことを聞かないで!わたしは16歳になったばかりよ!この前みんなが誕生日のお祝いをしてくれたでしょう?お兄様も久しぶりに領地から帰ってこられて楽しかったわ」
「あ、ああああああ~、なんてことでしょう」
タバサが突然泣き出した。
「もうなんなの?」
意味がわからないわ。ここはどこなの?タバサったら見慣れないメイド服を着てるけどいつ替えたのかしら?
今度メイド長のツェンと話さないといけないわね。お屋敷のことはわたしを通して決めていたはずなのに。
「ツェンはどこ?呼んできて頂戴!」
「ティア様………驚かないでください……今ティア様のお歳は21歳なんです」
「はあああああああ?何を馬鹿なことを言ってるの。もうタバサったらいくらわたしが頭の怪我をしたからってそんなこと信じるわけがないじゃない!」
あまりの話に驚いて叫んでいると「おい!」と知らない男の人が入ってきた。
怖い顔をしてムスッとしたおじさんは、わたしを睨みつけていた。
「きゃあーーーー!誰?このおじさん!レディの部屋に勝手に入ってきたわ!タバサ!追い出して!」
「ふ、ふざけるな!!誰がおじさんだ!」
怒りで体をプルプルさせているのをじっと見ていると……
ーーうん?確かにおじさんとまではいかないかしら?よく見たらわたしより年上だけど……20代みたいだし、お顔もとても綺麗な顔だわ。
銀髪の髪は光に当たってキラキラしてるし、アイスブルーの瞳がとても綺麗だわ。
「タバサ、この知らない人は誰?どうしてわたしのことを怒っているのかしら?」
わたしの質問に困った顔をしたタバサは言いにくそうに咳払いをしてから小さな声で呟いた。
「………ダンナサマ………です……」
「えっ?」
「だから……ティア様の……オット……デス」
「はあああああああああああ?何ふざけたこと言ってるの?わたしこの前16歳になったばかりなのよ?結婚なんてするわけないでしょう?しかも婚約者もいないのよ?それにこんなおじさんとわたしが結婚するわけないじゃない!
わたし、うら若き乙女なのよ!」
「いや、だからティア様はもう21歳の侯爵夫人です!旦那様はおじさんではなく25歳の侯爵で王立騎士団の第一騎士団の隊長をされている立派な方です!」
「もう、冗談はいい加減にしてとさっきから言ってるじゃない!真面目なタバサがそんなことばっかり言うなんて珍しいわね?」
タバサは突然ドレッサーの引き出しを開けて手鏡を取り出した。
ーーあっ……お母様の形見の手鏡だわ。
するとわたしの前に差し出してわたしの顔を写した。
「い、いやあーーーー!」
わたしはまた大きな声を出した。
だってそこにいるのはピチピチの肌の可愛らしいわたしではなく少し落ち着いた……疲れ切って青褪めて、包帯ぐるぐる巻きの……どう見ても16歳には見えない……だけど……『わたし』だった。
目が覚めた瞬間、ズキズキと痛む右側の頭に痛み。
「ねぇ、タバサ、ここを見てちょうだい」
「ティア様!目覚めてすぐ起きられて大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないわよ。とっても痛いの、わたしどうしてこんなに痛いのかわからないわ」
「…えっ?」
タバサは一瞬驚いて手を止めた。
「もう!水!水がコップから溢れているわよ!」
タバサがピッチャーからコップにお水を入れていたのに……
もう!ほんと何してるの!
怒ろうとしたらタバサが「す、すみません……あ、あの……」
ピッチャーとコップをテーブルに置くと恐る恐るわたしの顔を覗く。
「ティア様………ご自分がどうして頭が痛いのか、頭の怪我のことお忘れなのですか?」
「頭の怪我?」
そういえば痛いのは、中ではなく……外?のような気がするわね。
恐る恐る頭を触ると「う、うわっ!」包帯が頭にぐるぐる巻きにされていた。
「タバサ!わたしどうしたの?」
それによく部屋を見ると………
「ねぇ、ここはどこ?そういえばタバサったら老けたわね?ふふっ、どうしたの?疲れているのかしら?わたしそんなにタバサをこき使った覚えはないのに」
「ティア様…………」
「うん?どうしたの?」
タバサは驚きわたしに恐る恐る尋ねる。
「覚えておられないのですか?」
「何を?どうしてわたしがここにいるのかはわからないわ。でも今朝二人でミルフォードの街へ遊びに行こうと約束したことは覚えているわ。お父様に許可をもらわないといけないわねと話したじゃない?」
「………ここはそのミルフォードの街の中にあるお屋敷です」
「何を言ってるのよ?ミルフォードは我が家から二日もかかるのよ?簡単に来れるわけがないじゃない?」
「ティア様は今………おいくつですか?」
「もう!馬鹿なことを聞かないで!わたしは16歳になったばかりよ!この前みんなが誕生日のお祝いをしてくれたでしょう?お兄様も久しぶりに領地から帰ってこられて楽しかったわ」
「あ、ああああああ~、なんてことでしょう」
タバサが突然泣き出した。
「もうなんなの?」
意味がわからないわ。ここはどこなの?タバサったら見慣れないメイド服を着てるけどいつ替えたのかしら?
今度メイド長のツェンと話さないといけないわね。お屋敷のことはわたしを通して決めていたはずなのに。
「ツェンはどこ?呼んできて頂戴!」
「ティア様………驚かないでください……今ティア様のお歳は21歳なんです」
「はあああああああ?何を馬鹿なことを言ってるの。もうタバサったらいくらわたしが頭の怪我をしたからってそんなこと信じるわけがないじゃない!」
あまりの話に驚いて叫んでいると「おい!」と知らない男の人が入ってきた。
怖い顔をしてムスッとしたおじさんは、わたしを睨みつけていた。
「きゃあーーーー!誰?このおじさん!レディの部屋に勝手に入ってきたわ!タバサ!追い出して!」
「ふ、ふざけるな!!誰がおじさんだ!」
怒りで体をプルプルさせているのをじっと見ていると……
ーーうん?確かにおじさんとまではいかないかしら?よく見たらわたしより年上だけど……20代みたいだし、お顔もとても綺麗な顔だわ。
銀髪の髪は光に当たってキラキラしてるし、アイスブルーの瞳がとても綺麗だわ。
「タバサ、この知らない人は誰?どうしてわたしのことを怒っているのかしら?」
わたしの質問に困った顔をしたタバサは言いにくそうに咳払いをしてから小さな声で呟いた。
「………ダンナサマ………です……」
「えっ?」
「だから……ティア様の……オット……デス」
「はあああああああああああ?何ふざけたこと言ってるの?わたしこの前16歳になったばかりなのよ?結婚なんてするわけないでしょう?しかも婚約者もいないのよ?それにこんなおじさんとわたしが結婚するわけないじゃない!
わたし、うら若き乙女なのよ!」
「いや、だからティア様はもう21歳の侯爵夫人です!旦那様はおじさんではなく25歳の侯爵で王立騎士団の第一騎士団の隊長をされている立派な方です!」
「もう、冗談はいい加減にしてとさっきから言ってるじゃない!真面目なタバサがそんなことばっかり言うなんて珍しいわね?」
タバサは突然ドレッサーの引き出しを開けて手鏡を取り出した。
ーーあっ……お母様の形見の手鏡だわ。
するとわたしの前に差し出してわたしの顔を写した。
「い、いやあーーーー!」
わたしはまた大きな声を出した。
だってそこにいるのはピチピチの肌の可愛らしいわたしではなく少し落ち着いた……疲れ切って青褪めて、包帯ぐるぐる巻きの……どう見ても16歳には見えない……だけど……『わたし』だった。
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