【完結】愛してました、たぶん   

たろ

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シャノン、お父様と話す④

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先生は少し考えてから言った。

「何故執拗にシャノン嬢を狙ったんだろう?懐中時計はさすがに今シャノン嬢が持っていないことくらいウィリアムならわかると思うんだが」

お父様が渋い顔をして答えた。

「シャノンを売るつもりだったらしい」

「売る?」

「ああ、シャノンの銀髪は隣の国の王家特有の色なんだ。その受け継がれた銀髪も今は減っているだろう?
ノエル様もロイズも受け継がれていないだろう?」

「確かにロイズは僕と同じ赤髪だし、ノエルは父親の血を受け継いで栗色だ」

わたしは思い出しながら答えた。
「ウィリアム様は外国を回る事が多かったのでわたしの髪が希少だった事を知っていたみたいです。それにわたしを連れて行けば隣の国に入りやすいかもしれないと言ってました」

「ウィリアムもかなり焦っていたんだな」
先生が呟いた。

「お父様がたまたまわたしが連れ去られるところを見ていなかったらわたしはどうなっていたか分かりませんでした。もう少しで襲われるところでした」

「「襲われる?」」

「襲われそうになったのですか?シャノンさま!」

「ええ、本当に怖かったわ。お父様たちが来てくださらなかったら、たぶん……」

お父様と先生、ロニーがテーブルを一斉に叩いた。
ヒビが入ってしまった。



◇ ◇ ◇

その後、騎士団で事件当日の事情を聞かれて詳しく話した。

団長のトーマス様曰くまだ逃げている仲間もいるらしいがこの国ではあらかた捕まえたそうだ。

母の生まれた隣の国に逃げた仲間を、隣の国と協力して捕まえることになったらしい。
隣の国でも違法薬物や偽薬が問題となっていたので両国で協力して取り組むことになったみたい。

まさかわたしの髪の色に意味があったなんて思わなかった。

子どもの頃から他の子達と髪の色が違うのはわかっていたけど、肖像画のお母様はとても綺麗な銀髪でわたしは憧れていたから一度も嫌だと思った事がなかった。

お母様を思い出せるのは、この銀髪と懐中時計だけだった。

この日、またわたしの手元に懐中時計が戻ってきた。

ただ、何かあってはいけないからと、先生の邸の金庫に入っている。

必要な時だけ懐中時計に会いに行くことにした。

因みに先生とノエル様にも遅くなったけど、お誕生日プレゼントの懐中時計を渡した。

二人ともとても喜んでくださったのでホッとした。

わたしとお父様は、少しだけ近づいた気がする。

でも、ロニー曰く
「シャノン様、簡単に許してはダメです。しっかり反省してもらわなくっちゃ!」
と、わたしより怒っている。

わたしはまだ父の謝罪を受け入れることはできない。

でも、助けてもらった時に抱っこされた時のキュッとなった胸の痛みを忘れることができない。






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