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ルディア、久々の王都

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母と王都に向かった。
途中、ボガード侯爵邸に立ち寄り数日泊まった。
エイミーの楽しくも恥ずかしい話をたくさん聞いた。
エイミーが過ごした最初の5か月間、庭で鬼ごっこをして噴水に落ちてびしょ濡れになったとか、屋敷の中でかくれんぼや鬼ごっこをして花瓶を割ったとか、刺繍をしていておとなしく刺していると思ったら寝ていたとか、お腹が空いたからと言って近くの森に勝手に一人で野いちごを摘みに行って邸中居なくなったと大騒ぎになったとか、聞いているだけでも穴があったら入りたい気分になった。

大自然のハディッド領で育ったエイミーは、令嬢らしくなくいつも近所の男の子達と走り回り伸び伸びと過ごしていた。

王都の貴族社会と似た学園で過ごすのはエイミーにとっては窮屈で仕方がないだろうと思ってしまう。

活発な一面がありながらも聡明で人を惹きつけてやまないエイミーは、どんな風に成長しているのか楽しみでもある。
2年振りの再会を楽しみにわたしはハディッド伯爵家へ向かっている。



◇ ◇ ◇

ハノンお姉様と会うのも3年振りになる。
「ルディア久しぶり」
お姉様は、わたしを抱きしめた。
「お母様、体調は如何ですか?遠い道のりで疲れたでしょう?」
お姉様は、母をすぐに部屋に通してくれた。

わたしが通されたのは、昔この家に住んでいた頃のわたしの部屋だった。

母達もこちらの邸に、母たちが以前使っていた部屋を残して貰っていていつ帰って来てもいいようにいつも掃除がされていた。

「懐かしいわ」
わたしが結婚する時に出て行ったままだった。

あの頃のわたしは幼馴染のレオとの結婚に夢を見ていた。

レオは年上でいつも優しくてわたしの初恋の人だった。

結婚してからは朝晩必ず「愛してる」と伝えてくれた。
年が離れていて、わたしを妹のように思っていたレオがわたしを愛してくれるようになったのは、姉のハノンが結婚をして恋を終わらせてからだと思う。
ハノンお姉様はわたしの3歳年上で知的で美しい人だった。レオとは2歳しか年が離れていなかったので二人は幼い頃から仲が良かった。

我が家は女の子二人だったので姉が伯爵家を継ぐことになっていた。そのため婿をもらう必要がありトム・バラード侯爵三男20歳と17歳の時に婚約した。

レオの一つ年上のトム義兄様は、姉に一目惚れして何度も交際を申し込んで姉が受け入れたらしい。
レオと姉が好きあっていたのはわたしは知っていたが二人の間になにが有ったのかはわからないが姉はレオとではなくトムを選んだ。

レオは侯爵家の嫡男だったが、3歳下に弟のレヴィン様がいたし、伯爵家の我が家もいざとなればわたしが継いで婿をとればよかったのだから、レオと姉が結ばれてもよかったはずだった。

ただ姉の結婚式の数日前、姉とレオが二人っきりで深刻な話しをているのを見た。その時、レオの恋は終わったのだとわたしは思った。

二人の間になにがあったのかは今も聞くことはない。

姉の婚約後、わたしはレオと婚約した。
レオにとって、5歳も離れた14歳のわたしには恋愛感情は持てなかったみたいだ。
レオは隠していたけど、時々女の人といるところを見たことがあった。
派手な化粧をしてレオの腕に絡まりキスをしている姿を見たことがあった。
今思い返せば彼女がメアリーだったんだと思う。

他にも髪が長くて目鼻立ちがハッキリした背の高い美女を連れて歩く姿も見た。

その度にわたしの心は傷ついたが幼すぎるわたしでは恋人としては見れないし満足できないのはわかっていたので黙って耐えるしかないと思っていた。
いつかわたしを見てくれると思い、淡い恋心をずっと失わないでいた。

わたしが18歳、レオが23歳の時に結婚した。
レオはわたしを妻として受け入れてくれた。
初夜も責任を果たしてくれたし、それなりに彼と閨を共にしたと思う。

寝室も同じベッドで寝ていたし、朝食は必ず一緒に食べるようにしていた。

夕食は彼の仕事柄飲んで帰ることも多く一緒には食べれなくとも時間がある時はわたしと共に過ごしてくれた。

そこに愛はあると思っていた。














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