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Internally Flawless
幕間 ある朝の出来事 2
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ドアを開けたまま立ち尽くして彼を見つめていると、ふ。と、スイが顔を上げた。
「ユキ君」
ものすごく、優しくて、嬉しそうな笑顔を浮かべて、スイが名前を呼んでくれた。ヘッドホンを外して首にかけて、シンクで手を洗ってから、キッチンを出て、ユキの元まで歩いてきたスイは、そのままユキの背中に腕を回して抱きついてきた。
「おはよう」
背中に腕を回したまま、その綺麗な翡翠の色の瞳が見上げてくる。
「どして?」
ユキは問う。今日は、彼は仕事のはずだ。しかも、昨夜も一昨日も兄といてきっと、疲れきっているはずだ。
「ユキ君に会いたくなったから」
そんな風に言うスイが心の底から愛おしくなって、ユキは彼を抱きしめた。
「スイさん……」
スイが作る朝食のにおいと、彼自身の甘いにおい。肺にたっぷり吸い込むと、堪らないほど幸せな気持ちになった。
「昨夜仕事遅かったんだろ? ごめん。はやくから起しちゃって。でも……どうしても、顔みたくて」
ユキの胸に顔を埋めたまま、スイが言う。
「いいよ。スイさんの顔見られるなら、徹夜しても全然いい!」
少しだけスイを離して顔を見つめる。あまりまじまじと見つめられて、スイが少し頬を染める。それが、また、堪らなく可愛らしく見えて、ユキはその頬にキスをした。
「スイさん。好き。愛してる」
その瞳を見詰めたまま囁けば、一層頬が赤くなって、それから、キスを強請るように瞼が閉じた。
だから、その柔らかな唇にキスをした。一度ではなくて、何度も。
「ん」
短く吐息を漏らして、スイの唇を離す。
「……ユキ君。俺も。大好きだよ。愛してる」
離れた唇が、今度はスイの方から重ねられた。ちゅ。と、小さなリップ音をさせて、顔が離れると、少し照れたように笑うスイ。
すごく綺麗だ。
ユキは思う。
兄に愛されて、スイはどんどん綺麗になってしまう。
最初に会った時にはそんな風には思わなかった。寂しそうな顔ばかりが目立って、優しくしたいとは思ったけれど、可愛いとか綺麗なんて思いもよらなかった。
彼が、綺麗なことにも、とても可愛らしいということにも、気付いたのは多分兄の方が先で、兄に愛されることで、彼はもっと綺麗になっていく。一番近くにいるのに、それをユキは見ていることしかできない。
歯がゆい。と、思う。
「ユキ君?」
黙り込んでしまったユキに、スイが心配げな声を上げる。
「スイさん。先に謝っとく。ごめん!」
スイを身体から引き離して、その肩に両手を置いて、その顔を見つめてユキは言った。
「俺! 兄貴に嫉妬してる。スイさんと喧嘩して泣かせたくせに、その間俺が必死でスイさんのこと支えてたのに、仲直りしたと思ったらスイさんのこと好き放題して。ルールも破って……。俺だって! スイさんのこと抱きたい! スイさんのこと一晩中一人占めしたい!!」
一息でそこまで言って、ユキは息をついた。
「俺も……スイさんと一緒にいたいし、触りたいし、キスしたいし、セックスしたい……。兄貴ばっかりずるい。スイさんは兄貴だけのもんじゃないのに……スイさんは俺のもんでもあるのに……」
最後は消え入るような声になってしまった。スイが酷く驚いた顔で見つめている。
それから、その細い指が頬にそっと触れた。
「ユキ君」
ものすごく、優しくて、嬉しそうな笑顔を浮かべて、スイが名前を呼んでくれた。ヘッドホンを外して首にかけて、シンクで手を洗ってから、キッチンを出て、ユキの元まで歩いてきたスイは、そのままユキの背中に腕を回して抱きついてきた。
「おはよう」
背中に腕を回したまま、その綺麗な翡翠の色の瞳が見上げてくる。
「どして?」
ユキは問う。今日は、彼は仕事のはずだ。しかも、昨夜も一昨日も兄といてきっと、疲れきっているはずだ。
「ユキ君に会いたくなったから」
そんな風に言うスイが心の底から愛おしくなって、ユキは彼を抱きしめた。
「スイさん……」
スイが作る朝食のにおいと、彼自身の甘いにおい。肺にたっぷり吸い込むと、堪らないほど幸せな気持ちになった。
「昨夜仕事遅かったんだろ? ごめん。はやくから起しちゃって。でも……どうしても、顔みたくて」
ユキの胸に顔を埋めたまま、スイが言う。
「いいよ。スイさんの顔見られるなら、徹夜しても全然いい!」
少しだけスイを離して顔を見つめる。あまりまじまじと見つめられて、スイが少し頬を染める。それが、また、堪らなく可愛らしく見えて、ユキはその頬にキスをした。
「スイさん。好き。愛してる」
その瞳を見詰めたまま囁けば、一層頬が赤くなって、それから、キスを強請るように瞼が閉じた。
だから、その柔らかな唇にキスをした。一度ではなくて、何度も。
「ん」
短く吐息を漏らして、スイの唇を離す。
「……ユキ君。俺も。大好きだよ。愛してる」
離れた唇が、今度はスイの方から重ねられた。ちゅ。と、小さなリップ音をさせて、顔が離れると、少し照れたように笑うスイ。
すごく綺麗だ。
ユキは思う。
兄に愛されて、スイはどんどん綺麗になってしまう。
最初に会った時にはそんな風には思わなかった。寂しそうな顔ばかりが目立って、優しくしたいとは思ったけれど、可愛いとか綺麗なんて思いもよらなかった。
彼が、綺麗なことにも、とても可愛らしいということにも、気付いたのは多分兄の方が先で、兄に愛されることで、彼はもっと綺麗になっていく。一番近くにいるのに、それをユキは見ていることしかできない。
歯がゆい。と、思う。
「ユキ君?」
黙り込んでしまったユキに、スイが心配げな声を上げる。
「スイさん。先に謝っとく。ごめん!」
スイを身体から引き離して、その肩に両手を置いて、その顔を見つめてユキは言った。
「俺! 兄貴に嫉妬してる。スイさんと喧嘩して泣かせたくせに、その間俺が必死でスイさんのこと支えてたのに、仲直りしたと思ったらスイさんのこと好き放題して。ルールも破って……。俺だって! スイさんのこと抱きたい! スイさんのこと一晩中一人占めしたい!!」
一息でそこまで言って、ユキは息をついた。
「俺も……スイさんと一緒にいたいし、触りたいし、キスしたいし、セックスしたい……。兄貴ばっかりずるい。スイさんは兄貴だけのもんじゃないのに……スイさんは俺のもんでもあるのに……」
最後は消え入るような声になってしまった。スイが酷く驚いた顔で見つめている。
それから、その細い指が頬にそっと触れた。
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