278 / 419
Internally Flawless
15 捜査 2
しおりを挟む
「よし」
声に出して言って、スイは下ろしていた髪を括った。と、同時にチャイムが鳴る。
時計を見ると、すでに正午だった。
「え?」
どうやら、半日もアキのことばかりを考えていたらしい。あまりの色ボケぶりに呆れてしまう。今度は自分自身の馬鹿さ加減にため息をついて、それでも、仕事はランチの後からにするかと、スイはPCをスリープモードにした。
「あ」
ふと、視線を移すと、マナーモードにしてあったスマートフォンにLINEの着信を知らせる緑の光が点滅していた。
画面を点灯させると、小鳥遊秋生の文字。それから、小鳥遊冬生の文字。
顔が勝手に微笑んでしまう。
こんなことで充分なのだとスイは思う。ただ、LINEの着信があるということ、それだけで幸せだった。
アキのメッセージを開く。
おはよう
飯うまかった
ありがとう
昨夜は無理させてごめん
仕事がんばって
無理すんなよ
あいしてる
多分。今、顔を見られたら、恥ずかしいくらいににやけていると思う。こんなに簡単な。たった50文字ほどの文章なのに、世界中の幸せを全部一人占めにしたような気分にさせてくれる。
おはよう
身体は大丈夫だよ
なるべく早く仕事終わらせて帰るから
待ってて
アキ君、愛してる
自分の気持ちを伝えてくれる、そのスマートフォンすら、愛しいような気持ちになった。
ユキのメッセージを開く。
おはよう
昨日は兄貴にいっぱい甘えられた?
弁当ちょーうまかった
やっぱ、スイさんのメシさいこー
大好きだよ
はやくかえってきて
やはり、誰が何と言っても、この世界の幸せは今全部ここにあるのだと、スイは確信した。端っこに追いやられていたユキの存在感が一気に半分まで戻ってきた。
なんて、贅沢なんだろう。
スイは思う。
こんな自分のために、アキも、ユキも、持てる限りの愛を注いでくれる。
おはよう
ありがと
ユキ君が守ってくれたから
アキ君と仲直りできた
お弁当、できたらまた作る
や。うちに帰る方が先になるかな?
俺も大好きだよ
なんだか、やる気がわいてきた。二人が待っている。だから、すぐにでも解決して帰りたい。昨日までだって別に手を抜いていたわけではない。でも、今なら何でもできる気がした。
メッセージを送信したスマートフォンを両手で挟みこむようにして、握る。
声に出して言って、スイは下ろしていた髪を括った。と、同時にチャイムが鳴る。
時計を見ると、すでに正午だった。
「え?」
どうやら、半日もアキのことばかりを考えていたらしい。あまりの色ボケぶりに呆れてしまう。今度は自分自身の馬鹿さ加減にため息をついて、それでも、仕事はランチの後からにするかと、スイはPCをスリープモードにした。
「あ」
ふと、視線を移すと、マナーモードにしてあったスマートフォンにLINEの着信を知らせる緑の光が点滅していた。
画面を点灯させると、小鳥遊秋生の文字。それから、小鳥遊冬生の文字。
顔が勝手に微笑んでしまう。
こんなことで充分なのだとスイは思う。ただ、LINEの着信があるということ、それだけで幸せだった。
アキのメッセージを開く。
おはよう
飯うまかった
ありがとう
昨夜は無理させてごめん
仕事がんばって
無理すんなよ
あいしてる
多分。今、顔を見られたら、恥ずかしいくらいににやけていると思う。こんなに簡単な。たった50文字ほどの文章なのに、世界中の幸せを全部一人占めにしたような気分にさせてくれる。
おはよう
身体は大丈夫だよ
なるべく早く仕事終わらせて帰るから
待ってて
アキ君、愛してる
自分の気持ちを伝えてくれる、そのスマートフォンすら、愛しいような気持ちになった。
ユキのメッセージを開く。
おはよう
昨日は兄貴にいっぱい甘えられた?
弁当ちょーうまかった
やっぱ、スイさんのメシさいこー
大好きだよ
はやくかえってきて
やはり、誰が何と言っても、この世界の幸せは今全部ここにあるのだと、スイは確信した。端っこに追いやられていたユキの存在感が一気に半分まで戻ってきた。
なんて、贅沢なんだろう。
スイは思う。
こんな自分のために、アキも、ユキも、持てる限りの愛を注いでくれる。
おはよう
ありがと
ユキ君が守ってくれたから
アキ君と仲直りできた
お弁当、できたらまた作る
や。うちに帰る方が先になるかな?
俺も大好きだよ
なんだか、やる気がわいてきた。二人が待っている。だから、すぐにでも解決して帰りたい。昨日までだって別に手を抜いていたわけではない。でも、今なら何でもできる気がした。
メッセージを送信したスマートフォンを両手で挟みこむようにして、握る。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説


【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

元ベータ後天性オメガ
桜 晴樹
BL
懲りずにオメガバースです。
ベータだった主人公がある日を境にオメガになってしまう。
主人公(受)
17歳男子高校生。黒髪平凡顔。身長170cm。
ベータからオメガに。後天性の性(バース)転換。
藤宮春樹(ふじみやはるき)
友人兼ライバル(攻)
金髪イケメン身長182cm
ベータを偽っているアルファ
名前決まりました(1月26日)
決まるまではナナシくん‥。
大上礼央(おおかみれお)
名前の由来、狼とライオン(レオ)から‥
⭐︎コメント受付中
前作の"番なんて要らない"は、編集作業につき、更新停滞中です。
宜しければ其方も読んで頂ければ喜びます。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる