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Internally Flawless
05 恋慕 03
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「片思い? スイさんがですか?」
きょとん。という言葉がぴったりと合うような表情をして、リンが問い返してくる。可愛らしい子だなと思う。せめて自分もこのくらい可愛ければ自信が持てるかもしれないのに。そんなふうに思ってしまう。
「そうなんですか……ごめんなさい。失礼なことを質問してしまいました」
深々と頭を下げて、リンが謝ってくる。その顔はすごく真剣で、嘘をついているのが申し訳なくなった。
「や。いいんだよ」
物陰から、リンの返事を心待ちにしている数人が覗いている。ケンジとマリ、それから、アイおネエさまだ。人の恋愛事情がそんなに気になるのだろうか。と、イラつく。
スイの恋愛事情は全く穏やかではない。本気で放っておいてほしい。今は心をかき乱されたくない。仕事のことを考えることでようやくバランスを保っているのだ。これ以上、心を乱されると、また『あの夢』に悩まされることになるかもしれない。それだけはどうしても避けたかった。
「スイさん?」
思っていることが表情に出てしまったのか、リンが心配そうに顔を覗きこんでくる。
「やっぱり、怒ってらっしゃいますか?」
その顔に笑顔を作る。ぎこちなくなってしまったかもしれない。でも、今のスイにはそれが精一杯だった。
「怒ってなんていないよ」
そういうと、疑いもせずにリンは笑った。それから、ぺこりと頭を下げて、彼女を待つ輩の元に小走りで走って行った。彼女が何事かを告げると、大騒ぎをしている。その姿にスイはため息をついた。
「さて」
わざと声に出して、仕事に戻る。と言っても、やっているのは特定の人物を追跡するドローン用のAIのプログラムだった。舞台上の決められた人物を自動追尾しながら、障害物をさけ、ほかのドローンのカメラに写り込まないようにさけるシステムだ。大した機能ではないと思うけれど、所詮暇つぶしくらいにはちょうどいい。
ストレス解消(?)にもう少しだけ高度で、余分な機能をつけて遊んでみる。索敵範囲に入ったすべての人間を即座に把握して、母機に送信・身元を特定する機能。さらに、警戒する人間を検知する機能。視野の中にある監視カメラを探し出す機能。監視カメラを避けるステルス機能。どうしても監視カメラを避けられない場合、付近の監視システムに自動でハッキングする機能。等々。遊んでいるうちにどんどん危険なものになっている気がしてきたが、敢えてそれからは目を逸らすスイだった。
幼少の頃を過ごした施設の時代のくせで、ついついやることが行きすぎている気がする。でも、くだらなくても、何かに集中している時は、少しだけ嫌なことを忘れられているような気がした。
きょとん。という言葉がぴったりと合うような表情をして、リンが問い返してくる。可愛らしい子だなと思う。せめて自分もこのくらい可愛ければ自信が持てるかもしれないのに。そんなふうに思ってしまう。
「そうなんですか……ごめんなさい。失礼なことを質問してしまいました」
深々と頭を下げて、リンが謝ってくる。その顔はすごく真剣で、嘘をついているのが申し訳なくなった。
「や。いいんだよ」
物陰から、リンの返事を心待ちにしている数人が覗いている。ケンジとマリ、それから、アイおネエさまだ。人の恋愛事情がそんなに気になるのだろうか。と、イラつく。
スイの恋愛事情は全く穏やかではない。本気で放っておいてほしい。今は心をかき乱されたくない。仕事のことを考えることでようやくバランスを保っているのだ。これ以上、心を乱されると、また『あの夢』に悩まされることになるかもしれない。それだけはどうしても避けたかった。
「スイさん?」
思っていることが表情に出てしまったのか、リンが心配そうに顔を覗きこんでくる。
「やっぱり、怒ってらっしゃいますか?」
その顔に笑顔を作る。ぎこちなくなってしまったかもしれない。でも、今のスイにはそれが精一杯だった。
「怒ってなんていないよ」
そういうと、疑いもせずにリンは笑った。それから、ぺこりと頭を下げて、彼女を待つ輩の元に小走りで走って行った。彼女が何事かを告げると、大騒ぎをしている。その姿にスイはため息をついた。
「さて」
わざと声に出して、仕事に戻る。と言っても、やっているのは特定の人物を追跡するドローン用のAIのプログラムだった。舞台上の決められた人物を自動追尾しながら、障害物をさけ、ほかのドローンのカメラに写り込まないようにさけるシステムだ。大した機能ではないと思うけれど、所詮暇つぶしくらいにはちょうどいい。
ストレス解消(?)にもう少しだけ高度で、余分な機能をつけて遊んでみる。索敵範囲に入ったすべての人間を即座に把握して、母機に送信・身元を特定する機能。さらに、警戒する人間を検知する機能。視野の中にある監視カメラを探し出す機能。監視カメラを避けるステルス機能。どうしても監視カメラを避けられない場合、付近の監視システムに自動でハッキングする機能。等々。遊んでいるうちにどんどん危険なものになっている気がしてきたが、敢えてそれからは目を逸らすスイだった。
幼少の頃を過ごした施設の時代のくせで、ついついやることが行きすぎている気がする。でも、くだらなくても、何かに集中している時は、少しだけ嫌なことを忘れられているような気がした。
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