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BT.H
#7
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他の言い方を探したけれど、見つからなくて、何と言っていいか分からなくなった時、かちゃ。と音がして、セイジの前にコーヒーカップが置かれた。
「どうぞ」
あの翠の髪の青年だ。アキの仕事の関係者だとわかったからなのか、表情がさっきよりもっと、柔らかくなっている。セイジの前に続いて、アキの前にもカップを置いて、さらに黒色の大きめのカップも置いてから、自分の分のカップを置いて、その人は当たり前のようにアキの隣に座った。
「ありがと。スイさん」
アキもそれを当たり前の顔で受け入れている。お礼を言う笑顔はまた、あの優しげな笑顔だ。
「セイジには、紹介しとく。この人はスイさん。今一緒に仕事してる。もう、何か月くらいになるっけ? まあ、別にそれはいいか。情報系担当してもらってる」
セイジの知っている限り、アキとユキはずっと二人だった。いや、ユキが帰ってくるまではアキは一人だったのだが。
よっぽど、気に入ったのか。と、思う。
気に入ったのが、技術力なのか、人間性なのか、それとも他のものなのかは分からないけれど、アキほど警戒心が強い男が無警戒にパーソナルスペースに招き入れるくらいには気に入ったのだろう。
「スイさん。こいつは、セイジ。面倒ごとばかり持ってくるめんどくさいヤツ。見ての通り非モテ万年平刑事。あと、ポンコツ。それから、ヘタレ」
カップに口を付けてから、余計な形容をたっぷりつけてアキが面白くなさそうに言った。面白くなさそうな理由がなんなのかは分からない。
ここに来てから、分からないことだらけだ。分かることと行ったら、アキが口を付けたカップには、明らかにカフェオレ? いや、コーヒー牛乳? が注がれているってことくらいだ。糖尿病で泣く羽目になるよ? と、忠告したくなるくらいの甘党のアキが砂糖を入れていないところを見ると、多分、いちいち言葉にしなくても、アキの好みをちゃんと分かってくれている人なんだろう。
「よろしく」
にっこりと笑うその人は、少し頭を下げてから、自分の分の、おそらくブラックのコーヒーに口を付けた。
「はあ……あのぉ」
言いかけたところで、ばたん。と、音を立てて、ドアが開いた。
「あー。セージさん、久しぶり!」
入ってきたのはユキだった。こっちは、いつもと変わらない騒がしい登場にほっとする。
「ユキ君。ドアは静かに」
ただ、ため息交じりに、スイと紹介されたその人が言うと、ユキの表情が変わった。
「ごめん」
しゅんとして、静かにドアを閉めて、ユキは黒いカップが置かれている場所に座る。もともとわんこっぽいのだが、そんな風にしていると、まるで捨て犬だ。
「スイさん。怒ってる?」
ちら。と、スイの顔色をうかがってから、ちび。と、ユキがカップに口を付ける。
「別に怒ってなんていないよ」
苦笑するスイの言葉に、ユキの顔がぱっと明るくなった。
なんだ? これ??
セイジは思う。
この兄弟はこんな感じだったか?
なんだか、懐きすぎてはいないだろうか?
あれ? おかしいのは自分なんだろうか?
混乱してきた。
「で? セージさん何しに来たの?」
ユキに言われて、セイジははっとした。自分は別に彼らを観察するために来たわけではない。仕事しに来たのだ。
イマイチ掴めない現状を理解するのはひとまず、後回しにすることにする。
「どうぞ」
あの翠の髪の青年だ。アキの仕事の関係者だとわかったからなのか、表情がさっきよりもっと、柔らかくなっている。セイジの前に続いて、アキの前にもカップを置いて、さらに黒色の大きめのカップも置いてから、自分の分のカップを置いて、その人は当たり前のようにアキの隣に座った。
「ありがと。スイさん」
アキもそれを当たり前の顔で受け入れている。お礼を言う笑顔はまた、あの優しげな笑顔だ。
「セイジには、紹介しとく。この人はスイさん。今一緒に仕事してる。もう、何か月くらいになるっけ? まあ、別にそれはいいか。情報系担当してもらってる」
セイジの知っている限り、アキとユキはずっと二人だった。いや、ユキが帰ってくるまではアキは一人だったのだが。
よっぽど、気に入ったのか。と、思う。
気に入ったのが、技術力なのか、人間性なのか、それとも他のものなのかは分からないけれど、アキほど警戒心が強い男が無警戒にパーソナルスペースに招き入れるくらいには気に入ったのだろう。
「スイさん。こいつは、セイジ。面倒ごとばかり持ってくるめんどくさいヤツ。見ての通り非モテ万年平刑事。あと、ポンコツ。それから、ヘタレ」
カップに口を付けてから、余計な形容をたっぷりつけてアキが面白くなさそうに言った。面白くなさそうな理由がなんなのかは分からない。
ここに来てから、分からないことだらけだ。分かることと行ったら、アキが口を付けたカップには、明らかにカフェオレ? いや、コーヒー牛乳? が注がれているってことくらいだ。糖尿病で泣く羽目になるよ? と、忠告したくなるくらいの甘党のアキが砂糖を入れていないところを見ると、多分、いちいち言葉にしなくても、アキの好みをちゃんと分かってくれている人なんだろう。
「よろしく」
にっこりと笑うその人は、少し頭を下げてから、自分の分の、おそらくブラックのコーヒーに口を付けた。
「はあ……あのぉ」
言いかけたところで、ばたん。と、音を立てて、ドアが開いた。
「あー。セージさん、久しぶり!」
入ってきたのはユキだった。こっちは、いつもと変わらない騒がしい登場にほっとする。
「ユキ君。ドアは静かに」
ただ、ため息交じりに、スイと紹介されたその人が言うと、ユキの表情が変わった。
「ごめん」
しゅんとして、静かにドアを閉めて、ユキは黒いカップが置かれている場所に座る。もともとわんこっぽいのだが、そんな風にしていると、まるで捨て犬だ。
「スイさん。怒ってる?」
ちら。と、スイの顔色をうかがってから、ちび。と、ユキがカップに口を付ける。
「別に怒ってなんていないよ」
苦笑するスイの言葉に、ユキの顔がぱっと明るくなった。
なんだ? これ??
セイジは思う。
この兄弟はこんな感じだったか?
なんだか、懐きすぎてはいないだろうか?
あれ? おかしいのは自分なんだろうか?
混乱してきた。
「で? セージさん何しに来たの?」
ユキに言われて、セイジははっとした。自分は別に彼らを観察するために来たわけではない。仕事しに来たのだ。
イマイチ掴めない現状を理解するのはひとまず、後回しにすることにする。
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