リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

文字の大きさ
上 下
79 / 411
第3章〜恋愛編〜

狂気の愛

しおりを挟む



私の心は歪で、空虚で空っぽ。
渇き切った私の渇望は、今、この心を満たしたいと叫んでいる。


「こんな風に泣くぐらいなら、昨日はディオンを私の元へ寄越さなければ良かったのよ。馬鹿な子ね、コクヨウは。」


コクヨウの涙を拭う。


「っっ、でも、ディア様は、お望みだったのでは?ディオンからの愛情も。」
「えぇ、そう、ね。私には必要だった、ディオンからの愛情も。そして、コクヨウからの愛情もね?」
「なら、後悔はありません。ディア様からの罰は甘んじてお受けします。」


罰、ねぇ。


「罰として私に触れのを禁止にしたら、コクヨウはどうする?」
「っっ、うぇ、!?」
「ん?罰、受けるんでしょう?」


にっこりと笑った。
昨日はさんざんコクヨウにあたふたさせられたんだもん、これぐらいの可愛い意地悪は良いよね?


「・・あの、その、」
「んー、しばらく話すのも罰として禁止にしようかなぁ?」
「っっ、なっ、そんな、ディア様!?」


コクヨウが小さく悲鳴を上げた。
その顔は何故か青い。


「それだけは、どうかお許しを!ディア様ッ!!」
「どうして?罰、甘んじてお受けするってコクヨウが言ったんだよ?」
「っっ、ですが、ディア様に触れられず話せないなんて、この世の終わりです!地獄ですよ!!」
「そんな大げさな。」
「大げさでは無いです、ディア様!」


コクヨウが顔を歪ませた。
泣き顔のコクヨウに、私の中の女の部分が歓喜する。
求められている。
私はコクヨウから強く、深く。


「ふふっ、」


やだ、こうしてコクヨウをあたふたさせるの楽しいかも。
コクヨウの顔を覗き込む。


「ねぇ、コクヨウ、そんなに私に触れたい?」


足りないよ、コクヨウ。
ちっぽけな愛情だけじゃ、この私の渇いた心は満たされないの。


「ーーー・・コクヨウ、私の事が欲しい?」


もっと、欲して?
深く、そして強く、私だけを。
我慢するのは止めた。
あちらの世界の良い子だった弥生は、昨日死んでしまったの。


「・・・ディア、様?」


困惑するコクヨウ。
でも、それでも許してやらない。
簡単には、ね?


「だったら、私を強く繋ぎ止めてくれないとダメじゃない。」


我儘になるの。
欲しいものを得る為に。


「コクヨウ、そんなんじゃ、私の中の餓えは満たされないよ?」


可哀想なコクヨウ。
こんな最低な私なんかに囚われてしまうなんて、ね。
でも、もう放してあげない。


「好きだよ、私のコクヨウ。」


貴方は私だけのもの。


「っっ、」


驚愕に目を見開くコクヨウの唇を私は指先でなぞった。


「コクヨウ?」
「っっ、」


ぶるりと、コクヨウが身を震わす。
その瞳に宿る熱。


「ふふふ、もう一度、聞くね?コクヨウ、私が欲しい?」


あぁ、そうよ、コクヨウ。
もっと心の底から強く私だけを愛し、求めて?


「っっ、はい、」
「コクヨウだけじゃ満足しない、そんな最低な女でも?」
「かまいません。僕はディア様が、ディア様だけが欲しいッ!」
「ふふ、」


私の手首を掴んだそのコクヨウの手の熱さに私は微笑んだ。


「ーー・・じゃあ、私にコクヨウの全てを頂戴?」


差し出して?
コクヨウ、貴方の命さえも。


「そうしたら、ご褒美にコクヨウに私をあげる。」


あげるよ。
コクヨウが全てを差し出してくれるなら、私の愛情を貴方へ。


「だから、私を愛して?」


狂おしいほど、強く私を愛して欲しい。
私だけを。


「他の人になんて、絶対にあげない。」


貴方達は、私だけのもの。
誰にも触れさせない。


「貴方達に触れて良いのは私だけ。」


この身体も、声も、目も、髪の毛の先まで私の為にあるの。


「私の愛おしいコクヨウ。」


私だけの貴方達。


「ねぇ、絶対に私を置いて行かないでね?最後の時も。」


置いて行かれるのは、もう嫌。
それなら、私も一緒に連れて行って欲しいと願う。


「私の願い、叶えてくれる?」


多くは望まない。
私だけを愛し、ずっと側にいる事。
それだけで良いの。


「っっ、はい、必ずッ、絶対にディア様の願いは叶えます。死す時も、その後もディア様のお側に!」
「ありがとう、コクヨウ。」


コクヨウの胸に凭れる。


「ディオン、も、ね?私を離さないって誓ってくれたの。」
「そう、でしょうね。ディオンも、ディア様を手離せるとは思えませんし。」
「・・・コクヨウ、も、私を、絶対に離さないでね?」
「例えディア様の命令でも離してやれません。好きです、ディア様。愛してます、貴方だけを。」
「ふふっ、」


あぁ、心地いい。
うっとりと、コクヨウの胸に凭れながら回される力強い腕に包まれて目を瞑る。


「・・・食事、しなくちゃ、ね?」
「アディライトが食事の用意をしていましたから、皆んなディア様を待っていると思います。」
「うーん、分かってるけど、」


離れたくない。
もう少しこのまま、コクヨウの居心地の良い腕の中に。


「食事しないんですか?」
「別にそうじゃない、けど、まだコクヨウに甘えてたいの。」
「っっ、」


跳ねるコクヨウの心音。


「ーー・・あぁ、ディア様。本当に貴方を愛してます。」
「ふふ、」


髪に落ちるコクヨウの唇を私は笑って受け入れた。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

魔法の華~転移した魔女は勘違いされていても気づかないわよ?~

マカロン
ファンタジー
ここに、美しく怪しい魔女がいた。 彼女は町の皆が恋い焦がれるほどの美女だった。時には賢者のような賢さに恐ろしさを感じさせ、時には男を無邪気に、妖艶に振り回す。すべてわかってやっているからたちが悪い。それでも、俺たちは彼女に愛を囁く。彼女を護る。彼女に従う。それが彼女のお望みだからーーーーーーーーーーー。 「えっ、ちょっと待って……?」 やることなすこと勘違いされる、 不憫な異世界に飛ばされた女性のお話。 剣やら盾やら出てくるこの世界。ふと起きればそんな世界へ迷い込んでいた。 いつのまにか魔法が使える、 チートライフここに極まれり!! しかも女性が少なく貴重っ!!?転生して肌と髪が綺麗になったら絶世の美女判定されたわっ!?  え、魔女?女神?ちがいます普通の人間の女の子です!誰一人本名で呼んでくれないのはどうして!? 気がつけば、森の奥の大きな館に住む魔女となり……女性の少ないこの世界で、唯一の妖艶な魔女として君臨し、動物も人も踊り出す。 コミカル要素、ミュージカル要素満載!そんなラブコメ小説。 王族、貴族、精霊、魔神、弟子…なんでもござれ!

女性の少ない異世界に生まれ変わったら

Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。 目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!? なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!! ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!! そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!? これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

処理中です...