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第2章〜奴隷編〜
嫌いな人種
しおりを挟む意気揚々に歩き出した。
「よう、べっぴんな姉ちゃん。用が終わったんたら、これから俺達と遊ぼうぜ。」
ーーーーら、面倒な事に、なぜか足止めを食らう。
ギルド内に入ってから警戒していた、赤マークの人達だ。
・・今日は、厄日?
立ち塞がるリーダー格、取り巻きの3人の男に冷ややかな目を向ける。
「いえ、暇じゃないので、結構です。」
「そんな冷たい事を言うなよ。俺たち優しいぜ?」
「俺達が冒険者について色々と教えてやるよ?もちろん、冒険者について以外の事も色々と、な?」」
「そうそう、俺達と一緒に楽しく遊ぼうぜ?」
「楽しいぞ?」
男達の口から下卑た笑いが上がる。
どうやら、定番の絡まれってやつにあっているようだ。
「・・・はぁ、だからお断りしましす。私は忙しいので、貴方達とは遊びません。」
邪魔しないでよ。
これから楽しみにしていた、図書館へ行こうって思ってるんだから。
不機嫌になる。
楽しみの前に、こんな風に水を差されて。
「あっ?ん、だと?」
「生意気だぞ、お前!」
「調子にのるなよ!」
「お嬢ちゃんも俺達を怒らせて、痛い目にあいたくはないだろ?」
憮然と断れば、憤る目の前の男。
の、後ろには子飼いなのか、一緒になって喚く取り巻きの男達。
煩わしい事この上ない。
はぁ、良くしてくれたミュアさんの迷惑になりたく無いって言うのに。
ミュアさんもこちらを心配そうに見てくれているし。
「・・・そこを退いてくれませか?」
ーーーー邪魔なんで。
目の前の人達に、私は良い笑顔で言い切った。
こんな風に他人を見下すような事をする人が、私は1番嫌いだ。
人と違うから何?
他の人と違うからと言って、疎まれて、悪意を向けられる謂れはない。
そうーー
「あん?ちょっと顔が良いからって、スカしてんじゃねぇぞ!お前は、ただ大人しく俺の言う事だけを聞いてれば良いんだよ!!」
ーーーーこんな人みたいに。
鑑定を発動させる。
名前:ムルガ
LV23
性別:男性
年齢:31
種族:人族
HP:1580/1580
MP:460/460
スキル
生活魔法、身体強化、剣術、体術
生活魔法
生活に必要な魔法を使える。
ふむ、持っているスキルもそんなに無いし、魔力も少ない。
目の前の男は、特に今のレベルとなった私が警戒するほどの脅威ではなかった。
なら、なぜ目の前の男はこんなにも暴君になれるのだろうか?
理解不能である。
「・・・あの子、可哀想に、ムルガに絡まれてるよ。」
「・・あぁ、ムルガのやつ、Cランクになったから、最近は威張り尽くしてるからな。目を付けられて、あの子も災難だ。」
「違いねぇ。」
ひそひそと交わされる、周囲の囁き。
・・・なるほど。
ギルドランクがCランクに上がって、目の前にいる男は勘違いしているのか。
自分が、他人よりも上位の優れた人間だと。
「・・・あいつらと同じね。」
ぼそりと、呟く。
私を見下し、嘲笑い続けた元の世界の人達と同じ思想の持ち主。
目の前の男に対して嫌悪感が湧く。
なら、こんな人達に容赦しなくても良いよね?
「・・創造魔法でスキル作成。」
ぽつりと呟いた。
『スキル『威圧』を作成しました。』
私の頭の中で、新しいスキルを作成するアナウンスが鳴る。
そして、目の前の『自分の敵』へと威圧を向けた。
「おい、分かった・・っっ、!?」
目を向くムルガ。
その身体がガタガタと震え出す。
「兄貴?」
「一体、どうしたんです?」
「気分でも悪いんですか?」
急に身体を震わすムルガを手下の男達は不思議そうに見つめる。
「っっ、」
が、ムルガはただ身体を震わせるだけ。
何も答えない。
・・いや、答えられないのだ。
私から向けられる威圧の恐怖によって。
「・・・・。」
「・・・・。」
無言で顔を青ざめさせ、身体を震わせるムルガの横をすり抜けた。
ギルド内に沈黙が流れる。
不穏な静けさの中、私は振り返る事なくギルドを後にした。
名前:ディアレンシア・ソウル
LV32
性別:女
年齢:16
種族:人族
称号:世界を渡りし者、神に見守られし者
HP:2400/2400
MP:2150/2150
スキル(一部隠蔽中)
言語理解、空間収納、鑑定、経験値倍増、マップ、気配察知、危険察知、隠蔽、状態異常耐性、体力回復上昇、魔力回復上昇、攻撃力上昇、防御力上昇、身体強化、精神耐性、全属性魔法、詠唱破棄、武器作成、思考加速、剣術、体術、転移、威圧
ユニークスキル
創造魔法
◇◇◇◇
先ほどのおバカさん達との一幕も無事に終わり、私は足取り軽やかに進む。
さっきまでの不愉快さも全て忘れ向かう先は、この街の唯一の知識の集まる場所、図書館。
「ふふ、昨日の内に宿の女将さんに図書館の場所を聞いておいたんだよね。」
事前に宿の女将さんに図書館の場所を聞いておいたのだ。
後は、マップを見ながら向かうだけ。
「楽チン。」
道に迷う心配はない。
サクサクとマップを頼りに目的地の図書館へと向かう。
「本屋があれば、そちらも行きたい所だわ。」
本屋があるのは分かっている。
おいおい、この街を散策しなが、その時に本屋さんにも寄ろう。
発見は、マップがあれば簡単だし。
「ふふ、楽しみだなぁ。」
わくわくと期待を膨らませ、ご機嫌で図書館へと足を向けた。
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