リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第10章〜海竜編〜

正しい謝罪の仕方

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どう?
私のアディライトは凄いでしょう?


「素晴らしい舞だったわ、アディライト。なのに、貴方の事を『厄災の魔女』なんて蔑むなんて酷いわよね?」


ちらりと視線を向けるのは、宿に武器を手に乱入して来た街の人。
その顔は青ざめている。


「サフィアさんの嘘の言葉に唆されて、アディライトの襲撃を企むなんて、私、怖いわ。」


よく聞け?
この街の人達が、海竜を鎮めたアディライトに対して何をしたのかを。


「アディライト、もうルーベルン国の屋敷へ帰りましょうか?こんな物騒な街にいたら、またいつ街の人達に襲撃されるか分からないものね?」


歓喜から一点。
自分達が仕出かした事の重大さに気が付いた街の人達が、顔を青ざめさせた。


「っっ、アディライト、この街の事を恨まないよな?」
「誤解だったのよ、分かるでしょう?」


弁明。
醜い言い訳を並べ出す街の人達。


「ーーーっっ、全て、俺達を騙したサフィアが悪いんだ!」


終いには、責任を他人に擦りつけ始める始末。
おい、こら。


「誰が悪いとか言う、その前に、皆さん、アディライトへの謝罪は?」


ふざけるなよ?
人の宿にまで無遠慮に乱入して来て、謝罪の一つもないの?
まず初めに、ごめんなさいでしょう?


「貴方はサフィアに唆されたと言いますが、実際に行動に移したのはご自身達でしょう?なら、貴方達もアディライトへ心からの謝罪ぐらいするべきなのでは?」


誠意を見せろ?
此方は被害者なんだぞ?


「皆さん、アディライトへ言う事があるのではないですか?」


住人達へ視線を向ける。


「良くも海竜様を鎮めてくれた私の大切なアディライトの事を『厄災の魔女』などと呼んで貶めて下さいましたね?」


忘れてないよ?
と言わんばかりに、微笑みを深めた。


「しかも、武器を持って宿まで押しかける暴挙まで仕出かしていらっしゃる。」


アディライトに何か仕出かす事間違いなしだったもの。
暴力か。
はたまた、処刑になった可能性もある。


「皆さんからアディライトに対して謝罪はありませんの?」


笑顔のまま、首を傾げる。


「それとも、アディライトから海竜様へお願いして、鉄槌を下される方をお望みですか?」


暗に海竜を盾に、住人達を脅す。
自業自得である。


「っっ、すまなかった、アディライト。」
「貴方の事を『厄災の魔女』と呼んで貶めた事を心から謝る!」
「どうか、俺達の事を許してくれ!」


次々に謝り始める住人達。
は?
私の目が細まる。


「え?アディライトの謝罪はそれだけ?」


だが、そんな事で住人達を簡単に私が許す訳がない。
不思議そうな表情を私は作る。


「それが謝罪なのですか?へー、貴方達の誠意ある謝罪は、そんなものなんですね。」


言ったよね?
アディライトへ心からの謝罪をしろって。


「この街を救った英雄でもあるアディライトへの謝罪何ですよ?ふふ、額を地面に擦り付けてでも許しを乞うのが誠意ある謝罪なのでは?」


所謂、土下座。
これこそ、正しい誠意ある謝罪でしょう?
住人達の全員の顔が凍った。
固まる住人達。
何を、そんなに驚いているのか。


「何もしていないのに、急に私達が泊まる宿へ武器を手に押しかけて?貴方達の謝罪はそれだけなんですか?」


ごめんなさいで済むのは、小さい子供だけだ。
彼らがした事は、立派な犯罪。
サフィアの時とは違い、私は貴方達の事を許すなんて一言も言ってないからね?
 

「皆さん、アディライトに悪いと思っているんですよね?」


良い大人が見本を見せろ?


「心からの誠意を見せて下さい。皆さん、今、この場で。」


どう?
断罪される側に立つ気分は?


「心からの謝罪として、皆さん、アディライトへ土下座してくださいな。」


満面の笑みを浮かべた。


「それとも、海竜様の怒りを鎮めて、この街を救ったアディライトは敬う人間ではないと言います?」


あら、大変。


「そう皆様が言うなら、自分の事を鎮めてくれた海竜様は、何と言うでしょうか?」


嵐の再来かしら?


「ふむ、我も乙女を貶められて憤りを感じているな。」


住人達への謝罪要求に、海竜様が参戦。
ナイスなアシストです。


「と、海竜様も言っておりますが?」


この機に追撃。
無礼な襲撃者達に情けなどなく、容赦なく徹底的に住人達を追い詰めていく。


「「「すみませんでした!」」」


屈する街の人達。
アディライトへと、サフィアを除く全員が地面に額を付けて土下座した。


「っっ、申し訳ありませんでした!」
「どうか、お許し下さい!!」


海竜様のご威光が効いたのか、全員が一斉にアディライトへ土下座の謝罪を始める。
また怒らせたくないもんね、海竜様を。
皆さん、とても素直な事だ。


「最初から、そうやって誠心誠意性の謝罪をしてくださればよかったんですよ。」


いい大人が、情けない。
謝罪の仕方さえ、忘れてしまったのかしらね?


「っっ、申し訳ありませんでした!」
「どうか、お許し下さい!!」


繰り返し何度も頭を地面に擦り付け、必死にアディライへ謝り続ける住人達。
大人も子供も関係なく、アディライトへ許しを請う為に平伏している。
サフィアだけが、蒼白な表情で座り込んでいたが。


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