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第13章〜帝国編〜
全勢力の利用
しおりを挟む善は急げ。
てな事で、私達はガルムンド王国へと飛ぶ。
リュストヘルゼ帝国がガルムンド王国の領土に侵攻する前に、私達がいる事が大事だもの。
「っっ、愛し子様!?なぜ、貴方様が、我が国にいらっしゃるのですか!?」
王宮へ突撃した私達を見て、ヒューイットや側近の人達が顔を蒼白にする。
信仰するニュクスお母様の愛し子である私。
その私が、もう次期戦火に巻き込まれるかも知れない自国にいる事を心配している様だ。
自分達のせいで、愛し子を傷付けてしまう事を。
「あら、この国の王族を引き摺り落としたのは私ですよ?この国の行く末を気にして、今日は確認に来たのです。」
本心を覆い隠し、私は笑う。
「・・ですが、早急に帰られた方が御身の為かと。」
「どうしてですか?」
「リュストヘルゼ帝国が各国に宣戦布告をしたのです。そして、1番最初に狙われるのは、我が国、ガルムンド王国でしょう。」
「だから、ここに居ては危険だと?」
「はい、もう間も無く、リュストヘルゼ帝国の兵が、我が国の領土の国境を超えるとの情報が届きました。これから我が国は、リュストヘルゼ帝国と戦争になるでしょう。」
「まぁ、それは大変。」
歓喜を表す。
「では、今ニュクスお母様の愛し子である私がいるガルムンド王国が襲われたら、反撃してしまうのも仕方ないですよね?」
「「「は?」」」
ぽかんと間抜けな顔を晒すヒューイット達。
意味を理解しかねる様だ。
「ふふ、微力ながら私もお手伝いいたしますわ。えぇ、偶然居合わせた者として、リュストヘルゼ帝国の行いは見過ごせないですもの。」
偶然と言う名の、誘導なのだが。
まぁ、そんな事は言わないでも良いよね?
「しかし、」
「うふふ、こう見えて、私達はSランク冒険者なのですよ?この国のお役に立てると思いますが?」
躊躇うヒューイットに囁く。
「それに自国を守る為、ニュクスお母様の愛し子である私の力はあった方が有利なのでは?」
「っっ、それは、」
「危なくなっら時は、きちんと逃げますから、私の事はご心配なく。例え今回の戦で私の身に何があろうと、この国に厄災は降りかかりませんので。」
逆に厄災を被るのは、リュストヘルゼ帝国の方だと思うが。
ヒューイット達の顔が緩む。
「そう言われるのでしたら、お止めいたしません。ですが、尊い御身を大事になさいませ。」
「ありがとうございます、ヒューイット様。」
よし、言質いただきました。
これで、リュストヘルゼ帝国への撃墜が可能に。
リュストヘルゼ帝国の対応に慌ただしいヒューイット達と別れ、私達は用意してくれた王宮内の部屋で寛ぐ事に。
「んー、で、リリス、あちらの様子は?」
「はい、ディア様。リュストヘルゼ帝国の全勢力をガルムンド王国へ向けております。」
「あら、敵さんも本気で落としにきているのね。」
リュストヘルゼ帝国の両隣の片方が過酷な砂漠に面しているから、そちらからの他国の侵攻はないと踏んでいるから、自国の全勢力をガルムンド王国投入したのだろう。
「それでも、全勢力って事には驚くわ。クーデターに備える必要は無いって事かしら?」
自分に逆らう者は粛清を。
ただの民であろうと、粛清の対象。
「私なら、そんな愚王を倒す為に、この期に必ずクーデターを起こすわね。だって、今なら皇帝を守る兵も少数だろうし。」
皇帝を玉座から引き摺り落とすなら、絶好の機会。
私なら、この機会に動く。
「どうなの、リリス?動きそうな人はいるのかしら?」
「います。まだリュストヘルゼ帝国の皇帝、ガルドフェインが王宮にいる間に捕らえようと目論んでいる様ですね。」
「あら?その作戦、成功しないんじゃ無い?」
ガルドフェインの側には、魔族であるマリア、マリージュアがいるのだから。
「恐らくは、寵妃に返り討ちに遭うかと。」
「そうね、寵妃様がガルドフェインの側にいる以上、何があっても勝ち目がない。無駄死にだわ。」
マリージュアがガルドフェインを切り捨てるのは、この世界が壊れる時。
戦火が開かれたぐらいでは、利用価値のあるガルドフェインの事をマリージュアは殺させはしないだろう。
「リリス、その反逆者達を救えるかしら?」
「出来ますが?」
「ふふ、なら、私の駒として利用して、ガルドフェインと寵妃様を戦場へ誘き出しましょう?」
全勢力を投入したリュストヘルゼ帝国。
その全勢力を倒したのが、ガルムンド王国に味方した自国の兵達だったら?
「企みが潰える、なんて、寵妃様は許せるのかしら?」
口角が上がる。
苛立ちは、短慮な行動へ。
そしてーーー
「私なら、使えない駒に見切りをつけて自分の手で戦火を広げるわね。自分の本来の姿を見せて、でも。」
敵がリュストヘルゼ帝国でも、魔族でも、寵妃のする事は変わらない。
この世界の破壊だ。
「だから、炙り出しましょう。リュストヘルゼ帝国の皇帝、ガルドフェインの寵妃様を。」
全員の前に。
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