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第一章 魔法学校のポンコツ先生
極地会第十七回目(議事録)
しおりを挟む司会:皆様、本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。都市サガンでの痛ましいテロから一ヶ月が経ちました。極地におかれましては、募金やボランティアを募るなど……
ディノス・ディノ公爵:そのような前置きは不要です。ただでさえ我々の時間は他者の時間よりも貴重なのですから。要点だけ話してください。
司会:大変失礼いたしました。それではディノ公爵より指示があったように本日の議題に入らせていただきます。時空警備隊の報告が届きまして、どうやら巻き戻りが発生したそうです。
シャーロット・デボワ伯爵夫人:んまぁ!また巻き戻りですって?私は先日発売された美顔クリームをやっと入手出来たところでしたのよ。どうりで探しても見つからないはずだわ。
ディノス・ディノ公爵:ところでご婦人、本日はデボワ伯爵は何処に?
シャーロット・デボワ伯爵夫人:主人は王宮に出向いておりますの。極地会よりも大切な用事があるのよ。彼は国王陛下からも一目置かれているから、貴方たちのような暇人とは違うのです。
バジル・グリーン公爵:こりゃあ傑作ですな!伯爵家の分際で公爵家に盾付きますか!
シャーロット・デボワ伯爵夫人:あなた方だって一代で築き上げた地位でもないでしょうに。それに比べて我が伯爵家は主人の代で爵位をいただいた正真正銘の実力派貴族です。威張る権利はあるわ。
バジル・グリーン公爵:話になりませんなぁ。おい君、この香水臭い女の上から消臭剤を撒いてくれ。
シャーロット・デボワ伯爵夫人:なんですって!
(グリーン公爵、待機する使用人を呼ぶ。デボワ伯爵夫人が立ち上がった際に水の入ったグラスが倒れたため、しばし進行を中断した。)
司会:ええ、それでは、皆様どうか静粛に。先ほど話に上がりました国王陛下の件ですが、アグリムにおける王国創立祭はテロの影響を受けて中止になったそうです。したがって、創立祭で予定されていたパレードも開催されません。
ベン・ダウ公爵:それは残念だな。オレはあの老ぼれの頭に一発穴を開けるためにとびっきり良い銃を仕入れてたんだが。
司会:どうか次の機会まで大切に仕舞い込んでいただければと思います。
シャーロット・デボワ伯爵夫人:ねぇ、レオン王子は?最近まったく話を聞かないんだけれど、どうなってるのよ。私は非公式ファンクラブに入ってるんだけど、会報の写真が三ヶ月もの間更新されていないの。
バジル・グリーン公爵:これだから庶民は。忌むべき相手のフアンを自称するとは!
シャーロット・デボワ伯爵夫人:うるさいわねぇ。死に損ないの独身貴族がいちいち意見しないで。
バジル・グリーン公爵:お前さんのような娼婦を嫁に迎えるぐらいならワシは一生独身を貫くわい。
司会:お二方とも、静粛に。リンレイ様は何かご意見はありますか?
シン・リンレイ公爵:特にはない。歴史あるセレスティア王国の上位貴族がこの程度では、極地会も先が思いやられる。
司会:皆様!お座りください。この部屋内においては魔力の使用は禁じられています。極地会は尊い目的の達成を共に目指す存在。私たちはお互い敵同士ではありませんので、歪み合うのは……
(司会がダウ公爵の放った銃弾に被弾したため、会議の続行を断念する。リンレイ公爵を始め、極地会のメンバーはそれぞれのタイミングで離脱。)
【タスク】新しい司会者の調達。
【出費】メンバー五人への水代。破損した部屋の修繕費用はダウ公爵家に請求予定。
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