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第14章 冒険者な日々 1

第88話

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「『酒は飲んでも呑まれるな』って言うだろう、酒飲みとして、お前はマナーが悪過ぎる!お前みたいな奴が宴会の雰囲気を打ち壊しにするんだぞ?分かってんのか?」

 ……ねちねちねち……くどくどくどくど………説教は続くよ、どこまでも……。

 現在、項垂れ完全に萎縮して涙目になっているヴォトカを説教中である。
 
 あの後、戦闘によって滅茶苦茶になってしまった場所から離れ、ヴォトカに案内させて、俺達は例のヴォトカが変質させてしまったという村の水源だという泉まで来ていた。
 
 非常に美しい場所で、こんな所でキャンプをしたら、さぞかし良い気分だろうな?と思えるような、それなりに大きな泉だった。
 本来なら森の中という事もあって清涼な空気が漂う場所なんだろうが、今は甘い香りに包まれている。
 泉の水を一掬い、試しに飲んでみれば、やや甘口ながらも非常に美味い”酒”になっていた。そう、ヴォトカが変質させてしまった水質とは”毒”では無く、「ゲンノの昔ばなし」にあった通り【龍泉酒】と呼ばれる酒だったのだ。
 ただし、甘口ではあってもかなり強い酒で、相当にアルコール度数が高そうだ。大人が飲む分には何も問題無いだろうが、そりゃあ畑の作物は育たないだろうし、子供が飲もうものなら体調も崩すだろう。

 ヴォトカが「ゲンノの昔ばなし」に登場する竜だと分かった時点で半ば予想していた事だが、これで変質した泉の水の水質調査と原因究明は終了である。

 で、今は何をやっているか?と聞かれれば、冒頭でも言った通り、その泉の前でヴォトカを正座?させて説教をしている真っ最中だ。

 陽は既に中天を指し、表現こそ多少は変えてはいるが、同じような事を何度も何度も、さっきまでの戦闘でポッキリと折れてしまったヴォトカの心を、更に粉砕して磨り潰すかの如く延々と説教している訳だ。

 ちなみにソニア達は付き合わせるのも可哀相だし、得にもならないので、各自で自主トレをやらせている。
 先程のヴォトカとの一戦を見ていた所為か、四人共非常にやる気満々で、特に〈呼吸法)と〈魔力操作〉に意欲的に取り組んでいるようだ。
 ……それはさておき……。

「だいたいなぁ!お前等”竜”は、概ね皆んな酒好きだが、実はそんなにだろ!弱いクセにガバガバと呑みまくった挙句にフラフラに酔っ払って、その後は大概寝こけている内にだろうが!今回だってな、「小さき者」とか言って油断している間に、頸を刎ねてやってもよかったんだぞ?ちったあ反省しろ!! 」

 事実、地球のヒッタイト神話で退治された竜神『イルルヤンカンシュ』や、有名な素戔嗚の『八岐大蛇』退治など、伝説や昔ばなしの竜の酒による失敗談は数知れない。
 人間だって三国志の張飛なんかの宴席での失敗談は有名だし、かの軍神上杉謙信も、酒の飲み過ぎで早死にしたんだそうな。
 それに限らず一般人レベルの話でも、酒で身を持ち崩したり、エリートコースから転落したなんてよくある話だしな。
 まあ、素戔嗚の八岐大蛇退治や、桃太郎の原型と言われる吉備津彦命の鬼退治は、当時の朝廷による”異民族征伐”を暗喩しているとも言われているのだが、今はそれはいいだろう。

「い、いや、しかし、わ、我は”酒”を司どる【酔竜ドランクドラゴン】ですので……っ!? 」
「ァあ”ん…っ!?」
「ひぃっ! な、な、何でも御座いませんっ!! 」

 言い訳をしようとするヴォトカをひと睨みで黙らせる。
 「説教」と言っても、これが部下や後輩に対してなら、こんなやり方ははっきり言って悪手だ。今のヴォトカのように萎縮して意欲を無くしてしまったり、逆にイライラや不満ばかりを募らせて、話を理解しようとしなくなってしまうからだ。
 たが、これは言ってみれば捕虜への”尋問”、容疑者への”取り調べ”である。そういった場合は、”相手の精神を如何に疲弊させるか?”が重要なので、こうしてネチネチと嫌らしく続けているのだが、ただ淡々とやっているだけでは意味が無い。緩急をつけ、硬軟織り交ぜるのがポイントだ。

 本当ならこういった場合は二人でやるのが一番効果的で望ましい。つまり……、

ーーー ドン!
『白状しろ!ネタは上がってるんだ!お前がやったんだろう!』
『まあまあ、◯◯さん、お前さんも腹が減っただろう、どうだ、カツ丼でも食うか?』
『…け、刑事さん!? ……ううっ、すいません、俺がやりました!』

 という刑事ドラマでお馴染みのである。
 ”あるあるネタ”と笑うなかれ、実際、実にコレは有効で、効果的な手段なのだ。
 孤立無縁の状態で「鬼の◯◯」が執拗に、精神的に追い詰め、弱り切った所に「仏のXXさん」が優しく接する。人の心は弱い物で、苦痛から解放されたい一心で縋り付いてしまう。
 拷問、尋問は責め立てるばかりでは無く、こうした一瞬の解放こそがだったりするのだ。
 苦痛の連続の中で与えられる、ほんの僅かな優しさや希望、または快楽。
 ソフトに言うなら「飴とムチ」。身も蓋も無い言い方をしてしまえば”調教・洗脳”。
 麻薬やカルト宗教にハマってしまうのも同じ手法かな?
 あまり大きな声じゃ言えないが、まだあっちにいた頃に、”零”での作戦行動中に、大輔と二人でよく使った手口だ。
 ちなみに、そこまでヤバい話じゃ無くても、最初に無茶な注文をつけて、その後に譲歩するという交渉も、『さっきの条件に比べれば、この条件ならまだいいかな?』なんて思わせる事が目的の、言ってしまえばコレに当たるので、もしも心当たりのある方は御用心あれ。

 さて、時刻も既に昼を過ぎ、ヴォトカの様子もに仕上がって来た。腹も減って来た事だし、そろそろ仕上げと行きましょうかね?

(「聞こえるか、ノア?」)
(「はははは、はい!何用でごじゃいまひたか我が主!? 」)
(「『ごじゃいまひたか』って…、まあいいや、あ~、今こっちに来れるか?」)
(「はい!すぐに参ります!」)

 暫くすると、俺の影が色濃く”闇”へと変化し、一匹の黒猫が飛び出して来た。……口の周りにクッキーの食べカスを付けて。

「我が主、お呼びにより闇精霊ノアまかり越しました 」

 ピンと背筋を伸ばして胸を張り、やや気取った感じで頭を下げて礼をしているが、残念ながら口の周りの食べカスが全てを台無しにしている事に気付いて無い。

「……ノア、クッキーは美味かったか?」
「…っ!? あ、主、ななな、何故それを!? 」
「口の周り。食べカスだらけだぞ 」
「こ、これは失礼をば!?セイリアと食後のお茶をしておりましたので!」
「楽しそうで何よりだよ、ノア 」
 
 慌ててコシコシと、猫が顔を洗うように食べカスを拭うノア。こいつもアレだよな、すっかり黒猫の姿が板に付いちまって、最初に出逢った頃の威厳とか精悍さとか、どっかに行っちゃったよなぁ……。

「して、我が主、何やら”竜族”の者と争われているようでしたが?」
「ああ、後ろにいるぞ?」
 
 ノアが振り向くのと同時に視線を戻すと、ポカンと口を開けて、驚きに目を見開くヴォトカの姿が。

「ん…?お前は酔竜ドランクドラゴンのヴォトカではないか?」
「き、貴様こそ、こんな所で何をやっているのだ!? 」
「クーガでは無い。我には既に主より頂いた『ノア』という素晴らしい名前がある。次からはノアと呼べ 」
「ノア?頂いただと!? まさか、上級精霊である貴様が、人間と契約したというのか!? 」
「たかが人間っ!? 無礼者!! 口の利き方に気を付けんか、この阿呆ぅ!! …ヒロト様、こ奴はいったい何を?」
「ん?酔っ払って絡んで来たんで、ボコった 」
「……っ!? 」

 肉球を額に押し当てて、”あちゃー”といったジェスチャーをするノア。だが、次にキッ!とヴォトカを睨みつけると、厳しい口調でヴォトカを叱りつけ出した。

「何を…やっておるのだお前はぁぁぁぁぁっ!」
「ひぃ……っ!? 」
「この御方はな、アフィラマゼンダ様から直接”加護”を賜わってる御方だぞ! それに、お前は以前にも【蒼麟水竜王】殿から酒の事で厳しくお叱りを受けているだろう!何を戯けた事をやっておるのだ、この大虚つけめがぁっ!! 」
「ひうっ!? ご、ごめ…っ! ごめんなさいぃぃぃぃっ!」

 ノア、大激怒。はたから見ると、「毛を逆立てて怒る小さな黒猫の前で、頭を抱えて縮こまる巨大な竜」という非常にシュールな光景なのだが、今の見た目は小さくともノアの正体は【上級闇精霊】、しかもどうやらとしてはヴォトカよりノアの方が格上らしい。
 しかし、打ち合わせをした訳でもないのに、上手い事”鬼の◯◯”の配役を演じてくれたのと同じ状況を作ってくれた。ノア、グッジョブ!
 さて、じゃあ”仏のヒロさん(笑)”の登場と行きますかね?

「まあまあ、ノア、それくらいで勘弁してやれよ?」
「いーえっ!我が主、この様な者は竜族の面汚しです。いっその事、一思いに頸を刎ねてしまいましょう!」
「あーーーーんっ!ごめんなさいぃぃぃぃっ!! 」
「いいから、ヴォトカ、もう充分お前も反省しただろ?」
「…! はい!しました、しました!」

 目に涙をいっぱいに溜めながら、ブンブンと首を縦に振るヴォトカ。俺の方を見るその目はウルウルと潤み、助けを求める懇願の願いに満ちていた。

ーー(クックックッ!な……っ!) ーー

「まあ、それでも実際に村の人達は難儀した訳だし、ただ許す訳にはいかないけどな? 」
「ど、どうすればよろしいですか!? 許してもらえるのなら何でもします!」
のか?」
「はい!」

 これが最後の”頼みの綱”とばかりに、縋り付くように俺ににじり寄ってくる。

「分かった。そうだな……、じゃあヴォトカ、お前、俺と契約して配下になれ 」
「へ……っ!? け、契約です…か!? 」
「嫌なのか?」
「いえ!? なります!いえ、是非ヒロト様の契約竜にならせて下さい!お願いしますっ!! 」

 嫌か?と尋ねた時に、ノアからギロリと睨まれて、大焦りのヴォトカ。実に必死である。

「よし、とは言っても、俺は”契約”の仕方を知らないんだが、ノアの時みたいに名前をつければいいのか?」
「いえ、もともと私達精霊には個体名は有りませんので、”名付け”をされ、それを精霊側が受け入れることで契約となるのですが、本来は精霊界に住まい、肉体の無い我等精霊と違い、此奴ら”竜族”も含めた現界の者達は、血を媒介とした〈契約術〉が必要で御座います 」
「なるほど……、そうなると、二点程問題があるんだが、まずひとつは俺はその〈契約術〉を知らんのだが?」
「それは問題ありません、私が知っておりますので、私が仲介して施術致します 」
「そうか、ならそれはいいな。(『ノア、もう一点なんだがいいか?』)」
(『念話で?何か内密なお話ですか?』)

 別に匿す事じゃないのかもしれないが、それでもやっぱりこの世界では俺は異質な存在には違いない。あまり公けにはしない方が良いかもしれないしな。

(『まあな?ノア、お前はは知ってるんだな?』)
(『ヒロト様が異世界より参られた事でしょうか?それともの事ですか?』)
(『それも知ってたか…。まあ、それもあるが、実はな、俺の身体は脳や内臓の一部を除く約八割は、異世界の”科学”という技術で作られた義体……、あ~つまり魔道具の様な物で出来ていてな、指先をちょいと切って血を出すとかは出来ないんだよ 』)
(『何と!? それは存知ませんでした!しかし、そこも問題ありません。体内であれば闇の中、私の触手であれば、痛みも傷も付けず血液を採取する事が出来ます 』)

 なるほど、〈空間移動〉を自在に扱えるノアなら、内部に直接触る事も出来るのか。ちょっと気色悪い気がしないでもないが……?

(『ではヒロト様、ヒロト様の身体にお詳しいであろうアイ様とお話をさせて頂いて宜しいですか?』)
(『出来るのか!? 分かった、アイ!』)
(『はい。初めましてノアさん』)
(『お初にお声掛けさせて頂きます、アイ様。闇精霊ノアに御座います。ヒロト様のお身体が”魔道具のような物”とお聞きして、良く御存知であろうアイ様に何処をどうすれば良いのかお尋ねしたいのです』)
(『なるほど、分かりました。では、私がサポートしますので、指示に従って下さい』)
(『御意にございます 』)

 アイの指示に従って、ノアは俺の身体の内側に直接触手を伸ばし、生体部分の一部から極少量の血液を採取した。普通は最低コップ一杯分くらい必要らしいのだが、大量の魔力が溶け込んだ俺の血ならば、五~六滴程度で構わないそうだ。
 
 しかし、ノアがアイと直接会話出来たのはだった。その内にはセイリア達にも本当の事を伝えるつもりはしているが、聞かれても上手く説明出来る気がしないので、今は黙っているしかないと思っていたが、俺の他にアイと話せる存在がいるという事は、きっとアイにとっても嬉しく、いい影響を与える事にもなるだろう。

(『ノア、これからはいちいち俺に許可を求めなくていい。いつでもアイと話してやってくれ 』)
(『ノアさん、私ももっとお話したいです。よろしくお願いしますね!』)
(『はっ!アイ様、私などで良ければいくらでも。ではヒロト様、契約術を行ないます。よろしいですか?』)
(『ああ、よろしく頼む 』)

 念話を終了して、ヴォトカへと向き直ったノアは、俺の血をヴォトカに与えると契約術の呪文詠唱を始める。すると、ヴォトカの足元に魔法陣らしきものが浮かび上がり、眩い光を放ちながら回転を始めた。

「………………~今、新たなる契約の契り、此れなる血を以って取り交わさん。汝の名は【ヴォトカ】、そして血を授けし汝の主は名は【玖珂大翔ヒロト・クーガ】なり。《血命契約ブラッドコントラクト》……!」

 お?おお……お?今、確かにヴォトカと感覚があったな?

 眩い光に包まれながら、ヴォトカの姿が変容して行く。羊の様な巻角が美しく長く伸び、更にその上にもう一対、優美な角が長く張り出していた。さっきまでメタリックな輝きを放っていた碧麟は、美しく透き通るエメラルドの輝きに満ちていく。

「おお……っ!? 我が碧麟がこれほどまでに美しい輝きを……!? この麟の美しさ、まるで竜王様方のようではないかっ!? それに、契約をした今だからこそ解る……、この魔力、私は何という御方に無礼を働いてしまったのか……っ!? 」
「やっと理解したか、このめ。お前の様な酔いどれと同輩に成るは業腹だが、ヒロト様と契約して頂いたこと、身に余る栄誉と思うが良い!」

 いやいや、ノア、俺は異世界人だから。そんな大したモンじゃ無いから!?

「それは元より! ヒロト様、数々のご無礼御許し下さい。改めまして、【狂酔碧麟】酔竜ドランクドラゴンのヴォトカ、此れよりはこの生命果つるまでヒロト様に忠誠をお誓い致します!」

 美しく、ひと回り大きくサイズアップしたヴォトカが頭を垂れ、忠誠の誓いの言葉を宣う。さっきまでの態度とはエラい違いだ。

 まあ……いいか? これで依頼も完了出来るし、昨晩から考えていた、も実行出来る。



「ああ、こちらこそ頼むぞヴォトカ。……で、早速だががあるんだ……、  ーーーーーー 」







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