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第11章 イオニディア・ゼロ
第70話
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今更ながら……、皆様、新年明けましておめでとうございます。
年頭早々から風邪による体調不良で寝込んでしまい、更新が遅くなってしまい、本当に申し訳ありませんでした。
本年も宜しくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ーーいつから「秀真の國」が嫌いになったのか……? ーー
ロードベルク王国のある方角を見詰めながら、手にしたグラスを傾けて、並の者ならば数ヶ月分の稼ぎが飛んでいくだろう値段の酒を飲む。
ーー”金は力”だ。ーー
幼い頃、まだ「秀真の國」がまだ「秀真の郷」と呼ばれていた頃、”大戦乱”に出征して行く勇ましい父の姿に憧れ、美々しい武者達の烈々たる姿に見惚れ、【黒き武神】の超絶な力に感動した。
戦に勝利し凱旋する父達を大歓声で迎え、その後も事ある毎に父の、【黒き武神】の武勇伝を聞きたくて、何度も強請ったものだった。
いつかは自分も一流のサムライに、”英雄”に成りたくて、必死に剣の修行に打ち込んだ。ただこれは自分ばかりでは無く、その当時の同年代の子供達や年若いダークエルフ達も、皆真剣に剣を振るっていた。
”大戦乱”後、ロードベルク王国の窮地を救い、また勝利へと導いた数々の武勲に対して、時の国王から『辺境伯』を叙爵され、付近一帯の森や平原を領地として安渡された【黒き武神】の元に、”大戦乱”で纏めたエルフ族の近隣氏族や獣人族、またその武名を聞いた者達が続々と集まって来て人口が増え、「秀真の郷」は「秀真の國」と成った。
【微笑む剣鬼】や【剛槍の修羅】ほどではなかったが、父もまた【秀真十本槍】と称えられる程の猛将であった。戦功を立てた父だけで無く、その家族である自分までもが尊敬の眼差しで見られ、それがどれほど誇りであっただろうか。
……だが、それ等は年を追う毎に、だんだんと重荷となっていった。
どれほど刀を振ろうと、精魂尽き果てるまで鍛錬に打ち込もうと、私は…、私には剣術の才能が無かったのだ……。
兄は、里の若衆の中でも屈指の使い手の一人と呼ばれ、「流石はフェルンド家の跡継ぎよ」と持て囃す反面、私を見る目には憐れみが浮かんでいた。
陰で揶揄していた奴等が居た事も知っている。
だが、何より私自身が耐え難い苦痛を感じて居たのだ。理想とした自分、夢見た未来…、それに対して余りにも懸け離れた脆弱な自分の姿……。
悔しかった…、惨めだった…。兄が武術に優れていただけに、それ等は余計に私を苦しめた。
数十年が経ち、私は屋敷の者達の眼から逃れるように別の所に居を移し、また、勤めでは秀真の武官ではなく文官と成った。元々私にはこうした頭脳労働の方が向いていたのだろう。役所の中でも勘定方への配置となり、経理や予算運営等に采配を振るう事に成ったのだった。
更に十数年が経ち、当時まだ当主であったジェイーネに呼ばれ、商人として王都と街道の各街や村、そして秀真を結び、物資等の流通を取り仕切ってもらいたい、との要請を受けた。
『この森から採取できる珍しい魔獣や植物、米等を輸出して、逆に生活に必要な塩や砂糖、生活物資を輸入する役目を受けて欲しい』との事だった。
『算術、交渉術に優れた私ならば、きっと商人として大成し、大きな成果が見込める筈だ。里の未来を担う重要な役目なので、是非』との話だったが、確かに重要な役目なのだろう。しかし、その話を聞いた私の内心は違った。
ーーとうとう私はサムライですらなくなった………。ーー
主従である以上、当主の命は絶対。これは要請ではなく命令なのだ。実質として私には拒否権など最初から無い。
「御主命、謹んで拝領致します…… 」
私の胸に、”ぽっかり”と穴が空き、幼い頃から大事に抱いていた物が、全て零れ落ちていった。
やがて私は商人として王都へと赴き、里とは比較にならない程の欲望を、人の醜さ、闇を見た。人はちっぽけな欲望の為に情に縋り、また簡単に情を捨て去る。
初めこそ戸惑いもしたが、やり手の商人達に騙され、裏切られ、利用されるだけだった私が、逆に騙し、裏切り、利用する側に回るのにそれ程時間はかからなかった。
そして私はひとつの”真理”を知った。即ちーー ”金は力だ”ーー という事だ。
何年も鍛錬を重ねようとも、金が無ければ生きてはいけない。食い詰めれば、どの様な強者で在ろうと”金の力”の前に膝を屈し、誇りすら捨て去る。
私がひたすら追い求めた”強さ”とは、憧れ続け、遂には得られなかった”強さ”とは、これ程までに脆く、儚いものだったのか?と、一晩中涙と共に笑いが止まら無かった。
ならば、こんな物の為に、私は憐れみの目で見られたのか?こんな物の為に蔑まれ、最後の誇りまでも奪われたのか?
その瞬間、「憧れ」は「侮蔑」に「憎悪」へと姿を変え、私の胸にぽっかりと空いた空虚を満たし溢れた。
ならば見ていろ、貴様等が蔑み、侮った私が、”貴様等以上の別の力”で、貴様等の誇りを汚し、蹂躙してやる。そう、”金”という、この世界で最も強力な力の一つを、圧倒的な力を手に入れ、「強者達を跪かせること」が、私の新たな目標と成ったのだった。
セイリアの事にしてもその一端、伝手を使い、あの馬鹿息子に近付き唆した。予想外だったのは、パルケの奴が私の予想を超えたバカだった事だ。
お陰で時間をかけ、奴らの、武の象徴たる【黒き武神】を苦しませてやる計画が泡沫と消えてしまい、あろう事か、私自身までがせっかく蓄えた資産の一部を切り捨てて、こうして国外にまで逃げなければならないハメになってしまった!
だがまあ、いい。エルフ族である自分には、まだまだ時間などいくらでもある。また力を付けて、国外からでもじわじわと苦しませてやる………。
そんな事をひとり思いながら、飲み干し空になったグラスに、新しい酒を並々と満たしたその時だった……!?
ーーゴバァァァァァァァンッ!! ……ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!ーー
突然鳴り響いた深夜にはあり得ない轟音が、重々しい振動と共にアジトを激しく揺り動かした………っ!?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「『零』様!間も無く目標上空です! 何処に降ろしますか!? 」
冒険者ギルド所有の飛竜の首元に座る操竜士が、背後を振り向いて”目的地”への到着を告げて来た。
闇は深く、飛竜から見下ろせば、”ただ一点”を除きただ黒一色の大地が、まるで夜の海のように広がっている。普段ならば煌々と大地を照らす月の明かりも、細く弓形となった月の明かりでは数歩先すら覚束ないほどに暗く、ただのヒト族では今がどれほどの高度を飛行しているかすら判別する事は難しいだろう。
その為か、操竜士を勤めるのは虎の獣人の青年だった。なるほど、本来夜行性である虎の特質を備える彼の目ならば、僅かな月の明かりさえあれば、充分夜闇を見通すことが出来るだろう。
ちなみに、報告の為に振り向いた青年の、怯えを含んだ…と言うか、弱冠引き気味なのは、今の俺は〈ランクB〉冒険者のヒロト、では無く、最高ギルド長直属の〈ランクSS〉の『零』であるからだろう。
おまけに今の俺の格好といえば、上下とも黒革のライダースーツの様な物に、同じく黒革のゴツいブーツにグローブ、これもまた黒色のマントのフードを被っていると言う見事に黒一色の出で立ちなのだが、そんな中でただ一点、フードを覗き込めば、狼の頭骨を模した”白い仮面”を着けているという、実にケレン味溢れる格好だったりする。
何て言うんだったっけ? え~と…?そうそう、「厨二」だ!そんな厨二テイスト満載の格好をしている訳だが…、実はちょっぴり”やっちまった”感は否めない。
正体を隠して”『零』”に成り切るにあたり、俺が選んだ方法はただ単純に”顔を隠す”事だった。実のところを言えば、俺は変化魔法の類いなどは使わずとも、顔を変える事が出来る。やり方は簡単、眼や口等のパーツの大きさは変えられないが、鼻の高さや目の間隔、果ては輪郭や肌の色の濃さまでならある程度変える事が出来るのだ。
これは元々、潜入工作や偵察任務等、特殊部隊員として地球での作戦行動で非常に重宝した義体の可変偽装機能なのだが、今回はただ単に仮面を着けただけだ。
これは以前、婆さんと相談した通り、正体不明にした方が婆さんとしては扱い易い事に加え、「『何処の誰』とも分からない人間が、婆さんの直属として色々と動き回っている」とした方が、叩けば色々と埃の出て来るであろう連中が、勝手に警戒して身動きし辛くなるだろう…という事になったからだ。
ってな訳で、正体不明の凄腕冒険者、謎の男『零』を演出する為に、アレやコレやと凝り出したはいいが、途中から、ついつい楽しくなってしまったんだよなぁ…、楽しいよね?自分じゃない”誰か”に成り切るのって!
でも、まあ、イメージしたのはお察しの通り『死神』なんだが、流石に”狼の頭骨”の仮面まで着けたのはやり過ぎだったかもしれない……。
いや~~、何だか完全に引いちゃってるもんね、彼。
まあ、〈ランクS〉を超える様な連中は、やっぱり変人が多いらしい。確かにあっちの時も、特殊部隊に居る様な奴は、トンデモなく癖の強い奴が多かったな?ま、業務内容に『殺人』が含まれる仕事に自分から居続ける奴にマトモな神経をしてる人間がいる訳は無いわな。
『普通じゃ辿り着けない様な高みに登る様な奴は、基本的に頭のネジが何本か飛んでいる』、なんて事を婆さんは言って笑っていたが、それって周り回って”自分も変人”だ、って告白しているって事に気付いてるんだろうかね?あの婆さん。
まあ、いいや、やっちまったもんは仕方ない。このまま行ってやろう。
「了解した。私はここで降りる。君はこのまま帰投しろ 」
「はっ!? ……いえ!無茶です、『零』様!? 現在当騎は魔法探知や見張りの目などの警戒網を避ける為、約千二百ルグ(メートル)の高さを飛行中です! いくら何でも、この高さから飛び降りるのは!? 」
俺の言葉に驚いた彼が、もう一度慌てて振り向いて制止の声をかけて来る。
「心配無用、何の問題も無い。だが、ここはロゼルダ商国家連合の勢力内だ。まだ夜闇がある内に君は国境を越えて戻れ 」
「ですが!? では帰還はどうなさるのですか!? 」
国境付近…とはいえ、国境を越えてから、ここまで四十キロ程は中に入り込んでいる為、操竜士の青年の懸念は当然と言える。が、俺には他には無い奥の手がある。
「心配は要らん。では……!」
「ゼ、『零』様……っ!? 」
目を白黒させて驚く虎獣人の青年を置いて、乗っていた飛竜の背の上で立ち上がり、そのまま後ろ向きに フワッっと軽く跳び上がると、あっという間に元々の飛竜の飛行速度に置いていかれ、途端にーー ゴオォッ!! ーー という激しい風の音に包まれる。飛竜の上方に展開していた《飛空結界》の範囲から外れたのだ。
夜闇の中を、”ただ一点”の光源を発している「目標地点」を視界に捉えたまま、パラシュートなどの降下用装備ひとつ着けずに落下して行く。この高さでは、例え《身体強化》を施そうと、地上に着いた途端にペシャンコだ。あの虎獣人の青年には嘸かし無謀な行為に見えただろうな?
『アイ、〈擬似強化外殻〉を形成する。〈魔力機動〉開始。《魔導ブースター》噴射 』
『イエス、マイマスター。《魔法回路》起動、〈擬似強化外殻〉展開確認。カウント、高度五十メートルまで、五…、四…、三…、二…、《風魔法》発動、《魔導ブースター》噴射、〈魔力機動〉開始します 』
秀真の國での「大襲来」の時にコツを覚えた〈魔力機動〉による《魔導ブースター》の逆噴射で、落下速度を
減衰させて姿勢制御を行い、難なく空中を滑るように地面へと降り立つ。
アイに任すばかりでなく、念の為、俺の方も既に〈壱乃牙 覚〉から〈伍乃牙 鎧〉までは発動、展開して、降下位置の〈索敵〉も〈身体強化〉による戦闘準備は完璧である。
俺達が降下した位置は、違法奴隷売買組織の奴等のアジトから離れること、およそ五キロ程の位置を選んだ。万が一にも連中に気取られる事を避ける為だ。
念の為、視覚モニターのカメラをズームにして直接目視もしてみたが、見張りの男達が何かを察した様子は無い。実際は気付かれたところで何も問題は無いのだが、もしかすると何人かに逃げられでもしたら面倒だ。やるなら一気呵成に、一網打尽にしてやらないとな。
まあ、俺とアイにはこの位置からでも全てが丸見えだ。この暗闇でも、視覚モニターを暗視モードに切り替えることでまるで問題にならず、そうでなくても〈壱乃牙 覚〉による意識の拡大や《索敵》による〈気配察知〉で、連中のアジト内に居る人数から人員配置、胸クソ悪い話だが、連中が攫ってきた商品を閉じ込めている部屋に至るまで、全て把握し、アイがマップ表示してくれている。
『マスター、敵性個体反応が八十二、非敵性個体…いえ、救出対象個体の反応が三十六です。救出対象個体反応は、ほぼ一箇所にまとまっている様ですが、二~三の反応が別の位置にある様ですが……?』
『いつもと同じさ、攫ってきた相手を”嬲り者”にしてるんだろうさ。クソがっ! …まあいい、連中が好き勝手出来るのも今夜が最後だ。アイ、「状況を開始」する。手始めに見張りを沈黙させるぞ。《魔弾》モード〈狙撃〉弾種は7.62mmだ』
『イエス、マイマスター。「状況開始」《魔弾》モード〈スナイプ〉……術式完了、ターゲットの位置をマップに表示します。…ターゲットロック、マスター、いつでもどうぞ 』
アイの報告を受けて、《魔弾》の発動体に設定してある愛用の大型拳銃の引き鉄を、四度連続して絞る。
本来であれば、五キロも離れたこの位置からでは如何に全身義体のサイボーグといえど、風の影響などで連続しての射撃などはとても無理だ。しかし、今、発射した弾丸は《魔弾》、魔力で形作られた実弾では無い為、風や重力による影響など全く考慮する必要が無い。それどころか、弾丸の軌道すら自由自在に変えられる為に絶対に外れない。
【零】に居た時には、こんな時は風向きや高低差などを弾道計算ソフトで割り出したりして、それなりに苦労していたのに、本当に楽なもんだ。そう考えると、【零】に居た”狙撃専門の連中は、どんな状況下に於いてももっと高度な射撃ソフトに加え、正確な位置情報を割り出す為に衛星にリンクして、今の倍、十キロの彼方から誤差五センチ以内を撃ち抜くという化け物揃いだったなぁ…。
なんて事を考えながら、伸ばした知覚の中で、二箇所の見張り台に居た、合計四人の頭が爆ぜ破れる。
うっし!完璧なヘッドショットだ。
続いて、奴等を誰一人として逃さない為の魔法の行使の指示をアイに出す。
『アイ、《地属性》魔法発動! 奴等を全員封じ込めろ! 』
『イエス、マイマスター! 《岩槍壁》!! 』
ーーゴッバァァァァァァァァァァァァンッ!! ……ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッ! ーー
周囲を警戒し易くする為か、平原の中にポツンと建っていた小さめの”砦”の様な建物の周囲を、巨大な岩槍が次々と地面から飛び出して囲い込んで行く。岩槍の高さは約十メートルほどもあり、《身体強化》を纏ったとしても、そう簡単に脱出は出来ないだろう。おまけに、今迄は外敵の進入を防ぐ為に外側に傾斜していた岩槍が、今回は”逃さない”為の壁なので、内側に傾斜して壁というより半分ドームの様な形状になっている。
『さっすがアイ、仕上がりも完璧だな? 』
『ふふ…っ!お褒めに預かり光栄です、マスター 』
よーし、この世界では《転移魔法》はまだまだ失われた技術で、まだ確立はされていないらしいし、今の”地形操作”で「抜け道」も一緒に潰してやったから、もう誰一人として逃げられはしない。
人を人とも思わず喰い物にする様な連中を、俺は”人間”として扱うつもりは無い。そんな奴は”野の獣”と同じ扱いで構わない。
ならば……、これから行うのは殺し、などでは無く屠殺に過ぎない。
『さあ、行こうかアイ。久々の狩りの時間だ…… 』
俺は一歩一歩、アジトに向かってゆっくりと歩き出した………。
年頭早々から風邪による体調不良で寝込んでしまい、更新が遅くなってしまい、本当に申し訳ありませんでした。
本年も宜しくお願い致します。
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ーーいつから「秀真の國」が嫌いになったのか……? ーー
ロードベルク王国のある方角を見詰めながら、手にしたグラスを傾けて、並の者ならば数ヶ月分の稼ぎが飛んでいくだろう値段の酒を飲む。
ーー”金は力”だ。ーー
幼い頃、まだ「秀真の國」がまだ「秀真の郷」と呼ばれていた頃、”大戦乱”に出征して行く勇ましい父の姿に憧れ、美々しい武者達の烈々たる姿に見惚れ、【黒き武神】の超絶な力に感動した。
戦に勝利し凱旋する父達を大歓声で迎え、その後も事ある毎に父の、【黒き武神】の武勇伝を聞きたくて、何度も強請ったものだった。
いつかは自分も一流のサムライに、”英雄”に成りたくて、必死に剣の修行に打ち込んだ。ただこれは自分ばかりでは無く、その当時の同年代の子供達や年若いダークエルフ達も、皆真剣に剣を振るっていた。
”大戦乱”後、ロードベルク王国の窮地を救い、また勝利へと導いた数々の武勲に対して、時の国王から『辺境伯』を叙爵され、付近一帯の森や平原を領地として安渡された【黒き武神】の元に、”大戦乱”で纏めたエルフ族の近隣氏族や獣人族、またその武名を聞いた者達が続々と集まって来て人口が増え、「秀真の郷」は「秀真の國」と成った。
【微笑む剣鬼】や【剛槍の修羅】ほどではなかったが、父もまた【秀真十本槍】と称えられる程の猛将であった。戦功を立てた父だけで無く、その家族である自分までもが尊敬の眼差しで見られ、それがどれほど誇りであっただろうか。
……だが、それ等は年を追う毎に、だんだんと重荷となっていった。
どれほど刀を振ろうと、精魂尽き果てるまで鍛錬に打ち込もうと、私は…、私には剣術の才能が無かったのだ……。
兄は、里の若衆の中でも屈指の使い手の一人と呼ばれ、「流石はフェルンド家の跡継ぎよ」と持て囃す反面、私を見る目には憐れみが浮かんでいた。
陰で揶揄していた奴等が居た事も知っている。
だが、何より私自身が耐え難い苦痛を感じて居たのだ。理想とした自分、夢見た未来…、それに対して余りにも懸け離れた脆弱な自分の姿……。
悔しかった…、惨めだった…。兄が武術に優れていただけに、それ等は余計に私を苦しめた。
数十年が経ち、私は屋敷の者達の眼から逃れるように別の所に居を移し、また、勤めでは秀真の武官ではなく文官と成った。元々私にはこうした頭脳労働の方が向いていたのだろう。役所の中でも勘定方への配置となり、経理や予算運営等に采配を振るう事に成ったのだった。
更に十数年が経ち、当時まだ当主であったジェイーネに呼ばれ、商人として王都と街道の各街や村、そして秀真を結び、物資等の流通を取り仕切ってもらいたい、との要請を受けた。
『この森から採取できる珍しい魔獣や植物、米等を輸出して、逆に生活に必要な塩や砂糖、生活物資を輸入する役目を受けて欲しい』との事だった。
『算術、交渉術に優れた私ならば、きっと商人として大成し、大きな成果が見込める筈だ。里の未来を担う重要な役目なので、是非』との話だったが、確かに重要な役目なのだろう。しかし、その話を聞いた私の内心は違った。
ーーとうとう私はサムライですらなくなった………。ーー
主従である以上、当主の命は絶対。これは要請ではなく命令なのだ。実質として私には拒否権など最初から無い。
「御主命、謹んで拝領致します…… 」
私の胸に、”ぽっかり”と穴が空き、幼い頃から大事に抱いていた物が、全て零れ落ちていった。
やがて私は商人として王都へと赴き、里とは比較にならない程の欲望を、人の醜さ、闇を見た。人はちっぽけな欲望の為に情に縋り、また簡単に情を捨て去る。
初めこそ戸惑いもしたが、やり手の商人達に騙され、裏切られ、利用されるだけだった私が、逆に騙し、裏切り、利用する側に回るのにそれ程時間はかからなかった。
そして私はひとつの”真理”を知った。即ちーー ”金は力だ”ーー という事だ。
何年も鍛錬を重ねようとも、金が無ければ生きてはいけない。食い詰めれば、どの様な強者で在ろうと”金の力”の前に膝を屈し、誇りすら捨て去る。
私がひたすら追い求めた”強さ”とは、憧れ続け、遂には得られなかった”強さ”とは、これ程までに脆く、儚いものだったのか?と、一晩中涙と共に笑いが止まら無かった。
ならば、こんな物の為に、私は憐れみの目で見られたのか?こんな物の為に蔑まれ、最後の誇りまでも奪われたのか?
その瞬間、「憧れ」は「侮蔑」に「憎悪」へと姿を変え、私の胸にぽっかりと空いた空虚を満たし溢れた。
ならば見ていろ、貴様等が蔑み、侮った私が、”貴様等以上の別の力”で、貴様等の誇りを汚し、蹂躙してやる。そう、”金”という、この世界で最も強力な力の一つを、圧倒的な力を手に入れ、「強者達を跪かせること」が、私の新たな目標と成ったのだった。
セイリアの事にしてもその一端、伝手を使い、あの馬鹿息子に近付き唆した。予想外だったのは、パルケの奴が私の予想を超えたバカだった事だ。
お陰で時間をかけ、奴らの、武の象徴たる【黒き武神】を苦しませてやる計画が泡沫と消えてしまい、あろう事か、私自身までがせっかく蓄えた資産の一部を切り捨てて、こうして国外にまで逃げなければならないハメになってしまった!
だがまあ、いい。エルフ族である自分には、まだまだ時間などいくらでもある。また力を付けて、国外からでもじわじわと苦しませてやる………。
そんな事をひとり思いながら、飲み干し空になったグラスに、新しい酒を並々と満たしたその時だった……!?
ーーゴバァァァァァァァンッ!! ……ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!ーー
突然鳴り響いた深夜にはあり得ない轟音が、重々しい振動と共にアジトを激しく揺り動かした………っ!?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「『零』様!間も無く目標上空です! 何処に降ろしますか!? 」
冒険者ギルド所有の飛竜の首元に座る操竜士が、背後を振り向いて”目的地”への到着を告げて来た。
闇は深く、飛竜から見下ろせば、”ただ一点”を除きただ黒一色の大地が、まるで夜の海のように広がっている。普段ならば煌々と大地を照らす月の明かりも、細く弓形となった月の明かりでは数歩先すら覚束ないほどに暗く、ただのヒト族では今がどれほどの高度を飛行しているかすら判別する事は難しいだろう。
その為か、操竜士を勤めるのは虎の獣人の青年だった。なるほど、本来夜行性である虎の特質を備える彼の目ならば、僅かな月の明かりさえあれば、充分夜闇を見通すことが出来るだろう。
ちなみに、報告の為に振り向いた青年の、怯えを含んだ…と言うか、弱冠引き気味なのは、今の俺は〈ランクB〉冒険者のヒロト、では無く、最高ギルド長直属の〈ランクSS〉の『零』であるからだろう。
おまけに今の俺の格好といえば、上下とも黒革のライダースーツの様な物に、同じく黒革のゴツいブーツにグローブ、これもまた黒色のマントのフードを被っていると言う見事に黒一色の出で立ちなのだが、そんな中でただ一点、フードを覗き込めば、狼の頭骨を模した”白い仮面”を着けているという、実にケレン味溢れる格好だったりする。
何て言うんだったっけ? え~と…?そうそう、「厨二」だ!そんな厨二テイスト満載の格好をしている訳だが…、実はちょっぴり”やっちまった”感は否めない。
正体を隠して”『零』”に成り切るにあたり、俺が選んだ方法はただ単純に”顔を隠す”事だった。実のところを言えば、俺は変化魔法の類いなどは使わずとも、顔を変える事が出来る。やり方は簡単、眼や口等のパーツの大きさは変えられないが、鼻の高さや目の間隔、果ては輪郭や肌の色の濃さまでならある程度変える事が出来るのだ。
これは元々、潜入工作や偵察任務等、特殊部隊員として地球での作戦行動で非常に重宝した義体の可変偽装機能なのだが、今回はただ単に仮面を着けただけだ。
これは以前、婆さんと相談した通り、正体不明にした方が婆さんとしては扱い易い事に加え、「『何処の誰』とも分からない人間が、婆さんの直属として色々と動き回っている」とした方が、叩けば色々と埃の出て来るであろう連中が、勝手に警戒して身動きし辛くなるだろう…という事になったからだ。
ってな訳で、正体不明の凄腕冒険者、謎の男『零』を演出する為に、アレやコレやと凝り出したはいいが、途中から、ついつい楽しくなってしまったんだよなぁ…、楽しいよね?自分じゃない”誰か”に成り切るのって!
でも、まあ、イメージしたのはお察しの通り『死神』なんだが、流石に”狼の頭骨”の仮面まで着けたのはやり過ぎだったかもしれない……。
いや~~、何だか完全に引いちゃってるもんね、彼。
まあ、〈ランクS〉を超える様な連中は、やっぱり変人が多いらしい。確かにあっちの時も、特殊部隊に居る様な奴は、トンデモなく癖の強い奴が多かったな?ま、業務内容に『殺人』が含まれる仕事に自分から居続ける奴にマトモな神経をしてる人間がいる訳は無いわな。
『普通じゃ辿り着けない様な高みに登る様な奴は、基本的に頭のネジが何本か飛んでいる』、なんて事を婆さんは言って笑っていたが、それって周り回って”自分も変人”だ、って告白しているって事に気付いてるんだろうかね?あの婆さん。
まあ、いいや、やっちまったもんは仕方ない。このまま行ってやろう。
「了解した。私はここで降りる。君はこのまま帰投しろ 」
「はっ!? ……いえ!無茶です、『零』様!? 現在当騎は魔法探知や見張りの目などの警戒網を避ける為、約千二百ルグ(メートル)の高さを飛行中です! いくら何でも、この高さから飛び降りるのは!? 」
俺の言葉に驚いた彼が、もう一度慌てて振り向いて制止の声をかけて来る。
「心配無用、何の問題も無い。だが、ここはロゼルダ商国家連合の勢力内だ。まだ夜闇がある内に君は国境を越えて戻れ 」
「ですが!? では帰還はどうなさるのですか!? 」
国境付近…とはいえ、国境を越えてから、ここまで四十キロ程は中に入り込んでいる為、操竜士の青年の懸念は当然と言える。が、俺には他には無い奥の手がある。
「心配は要らん。では……!」
「ゼ、『零』様……っ!? 」
目を白黒させて驚く虎獣人の青年を置いて、乗っていた飛竜の背の上で立ち上がり、そのまま後ろ向きに フワッっと軽く跳び上がると、あっという間に元々の飛竜の飛行速度に置いていかれ、途端にーー ゴオォッ!! ーー という激しい風の音に包まれる。飛竜の上方に展開していた《飛空結界》の範囲から外れたのだ。
夜闇の中を、”ただ一点”の光源を発している「目標地点」を視界に捉えたまま、パラシュートなどの降下用装備ひとつ着けずに落下して行く。この高さでは、例え《身体強化》を施そうと、地上に着いた途端にペシャンコだ。あの虎獣人の青年には嘸かし無謀な行為に見えただろうな?
『アイ、〈擬似強化外殻〉を形成する。〈魔力機動〉開始。《魔導ブースター》噴射 』
『イエス、マイマスター。《魔法回路》起動、〈擬似強化外殻〉展開確認。カウント、高度五十メートルまで、五…、四…、三…、二…、《風魔法》発動、《魔導ブースター》噴射、〈魔力機動〉開始します 』
秀真の國での「大襲来」の時にコツを覚えた〈魔力機動〉による《魔導ブースター》の逆噴射で、落下速度を
減衰させて姿勢制御を行い、難なく空中を滑るように地面へと降り立つ。
アイに任すばかりでなく、念の為、俺の方も既に〈壱乃牙 覚〉から〈伍乃牙 鎧〉までは発動、展開して、降下位置の〈索敵〉も〈身体強化〉による戦闘準備は完璧である。
俺達が降下した位置は、違法奴隷売買組織の奴等のアジトから離れること、およそ五キロ程の位置を選んだ。万が一にも連中に気取られる事を避ける為だ。
念の為、視覚モニターのカメラをズームにして直接目視もしてみたが、見張りの男達が何かを察した様子は無い。実際は気付かれたところで何も問題は無いのだが、もしかすると何人かに逃げられでもしたら面倒だ。やるなら一気呵成に、一網打尽にしてやらないとな。
まあ、俺とアイにはこの位置からでも全てが丸見えだ。この暗闇でも、視覚モニターを暗視モードに切り替えることでまるで問題にならず、そうでなくても〈壱乃牙 覚〉による意識の拡大や《索敵》による〈気配察知〉で、連中のアジト内に居る人数から人員配置、胸クソ悪い話だが、連中が攫ってきた商品を閉じ込めている部屋に至るまで、全て把握し、アイがマップ表示してくれている。
『マスター、敵性個体反応が八十二、非敵性個体…いえ、救出対象個体の反応が三十六です。救出対象個体反応は、ほぼ一箇所にまとまっている様ですが、二~三の反応が別の位置にある様ですが……?』
『いつもと同じさ、攫ってきた相手を”嬲り者”にしてるんだろうさ。クソがっ! …まあいい、連中が好き勝手出来るのも今夜が最後だ。アイ、「状況を開始」する。手始めに見張りを沈黙させるぞ。《魔弾》モード〈狙撃〉弾種は7.62mmだ』
『イエス、マイマスター。「状況開始」《魔弾》モード〈スナイプ〉……術式完了、ターゲットの位置をマップに表示します。…ターゲットロック、マスター、いつでもどうぞ 』
アイの報告を受けて、《魔弾》の発動体に設定してある愛用の大型拳銃の引き鉄を、四度連続して絞る。
本来であれば、五キロも離れたこの位置からでは如何に全身義体のサイボーグといえど、風の影響などで連続しての射撃などはとても無理だ。しかし、今、発射した弾丸は《魔弾》、魔力で形作られた実弾では無い為、風や重力による影響など全く考慮する必要が無い。それどころか、弾丸の軌道すら自由自在に変えられる為に絶対に外れない。
【零】に居た時には、こんな時は風向きや高低差などを弾道計算ソフトで割り出したりして、それなりに苦労していたのに、本当に楽なもんだ。そう考えると、【零】に居た”狙撃専門の連中は、どんな状況下に於いてももっと高度な射撃ソフトに加え、正確な位置情報を割り出す為に衛星にリンクして、今の倍、十キロの彼方から誤差五センチ以内を撃ち抜くという化け物揃いだったなぁ…。
なんて事を考えながら、伸ばした知覚の中で、二箇所の見張り台に居た、合計四人の頭が爆ぜ破れる。
うっし!完璧なヘッドショットだ。
続いて、奴等を誰一人として逃さない為の魔法の行使の指示をアイに出す。
『アイ、《地属性》魔法発動! 奴等を全員封じ込めろ! 』
『イエス、マイマスター! 《岩槍壁》!! 』
ーーゴッバァァァァァァァァァァァァンッ!! ……ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッ! ーー
周囲を警戒し易くする為か、平原の中にポツンと建っていた小さめの”砦”の様な建物の周囲を、巨大な岩槍が次々と地面から飛び出して囲い込んで行く。岩槍の高さは約十メートルほどもあり、《身体強化》を纏ったとしても、そう簡単に脱出は出来ないだろう。おまけに、今迄は外敵の進入を防ぐ為に外側に傾斜していた岩槍が、今回は”逃さない”為の壁なので、内側に傾斜して壁というより半分ドームの様な形状になっている。
『さっすがアイ、仕上がりも完璧だな? 』
『ふふ…っ!お褒めに預かり光栄です、マスター 』
よーし、この世界では《転移魔法》はまだまだ失われた技術で、まだ確立はされていないらしいし、今の”地形操作”で「抜け道」も一緒に潰してやったから、もう誰一人として逃げられはしない。
人を人とも思わず喰い物にする様な連中を、俺は”人間”として扱うつもりは無い。そんな奴は”野の獣”と同じ扱いで構わない。
ならば……、これから行うのは殺し、などでは無く屠殺に過ぎない。
『さあ、行こうかアイ。久々の狩りの時間だ…… 』
俺は一歩一歩、アジトに向かってゆっくりと歩き出した………。
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