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第28章 動乱 ロードベルク王国 前奏曲(プレリュード)

第259話 狂"騒"曲 (カプリチオ〉

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 ザッコー達のオーダウラ攻めが失敗に終わり、敗北が決定していたのとほぼ同時刻、ボージャックによって攻略を計画された衛星都市、「ザイダーマ」と「ウツルノミア」でもその勝敗はほぼ同じ、反乱軍の敗北という運命を辿っていた。


 ーーーー「 ザイダーマ」

 当てにしていた【黒い魔獣】の軍団も役には立たず、頼みのゴーレム軍団も【ランドロアー改】の砲撃と、戦場を駆け回る【アンバークロス】によって次々と倒されて行く。
 そんな光景を呆然として眺めながら、がっくりと膝をついてコモーノは呟く。
 
「な、何故だ…⁉︎ 我々のゴーレムは、《土属性魔法》は無敵だったはずなのに……‼︎」

 既に部隊は潰滅、命がけでコモーノを守ると豪語していた部下達も、【ランドロアー改】の砲撃が始まるや否や、肝をつぶし、悲鳴を上げて我れ先にと逃げ出していった。

「居たぞ!コモーノだ、捕まえろ‼︎」
「誰か!王国の騎士様達に知らせて来い‼︎ 」

 そんな声にハッとして顔を上げて見回せば、革鎧を着た一般下級兵が、槍の穂先を自分に向けて取り囲んでいた。

「ひっ!な、何だ貴様等は⁉︎ げ、下賤の者の分際で、高貴なる私に槍を向けるとは無礼であろう‼︎ 」

「はんっ!みっともなく尻餅をついてる奴のどこが高貴だ!」
「王様に逆らったんだ、お前はもうなんだよ‼︎」
「今すぐブッ殺してやりてえが、騎士様がお前を王様の所に連れて行くと仰ってるから我慢してやる。おとなしくしやがれ‼︎」

 尻餅をついて後退りしながらも、精一杯の虚勢を張るコモーノ。だが、彼等下級兵は、無理矢理戦いへと徴発された農民や町人などの一般人、加えて言えば、長年に渡りコモーノの圧政や横暴に苦しめられて来た人々である。その怒りは収まるはずもない。

「殺すのはダメだが、って言われてるんでな、覚悟しやがれ‼︎」
「心配すんな、俺は《回復魔法》持ちだ。ちゃあんと治してやる 」

「ひ、ひいいいいいい…っ⁉︎」

 たった一発、されど一発。身分制度がある世の中では、庶民が直接貴族に対してやり返せる機会などはまず有り得ない。

 下級兵達が悲鳴を上げるコモーノを引きずって、騎士団のところまで来た時には、コモーノは顔も分からないほどボコボコになっていたという。

「ん?もういいのか?まだ時間はあるぞ?」
「いいんですかっ?おぉーーい!まだの奴は早く来い、まだいいそうだ!」

 「ヒイイイイイイイイイイイイイイ…っ‼︎⁉︎ も、もう、許ひて下ふぁいぃぃぃぃぃっ‼︎ 」

 どんどん集まってくる兵士達に顔を青くして悲鳴を上げるコモーノだが、全ては因果応報。自らの蒔いた種である。

 コモーノは王都へと連行されるまでの間、延々とその身を以てそのことを思い知らされるのであった。



 ーーーー「ウツルノミア」


「こんな………、こんな馬鹿なことがっ!認めん!こんな事、私は絶対に認めんぞおおおおおおっ‼︎ 」

 次々と崩壊していく自軍を見詰めながら、震える拳を握りしめて、ハンカグッサ伯爵は絶叫する。

 その絶叫を搔き消すかのように、ハンカグッサの頭上をゴウッ!と反転して来た飛竜ワイバーンの編隊が通り過ぎ、【黒い魔獣】の群れにバラバラと"炎の球"を落として行く。

 そしてまた轟音と共に爆炎が噴き上がり、強力なはずの魔獣達が木っ端の如くバラバラに弾け飛んで行く。

「今だ!押し返せぇっ‼︎」
「負けるな!俺達のウツルノミアを守るんだ‼︎」
「一般兵は抵抗を止めろ!今すぐ武器を捨てるならば攻撃はしない。俺達の敵はハンカグッサに与する反逆者だけだ‼︎ 」

 オーダウラと同じく、救援を得たウツルノミア防衛隊が、一気呵成に討って出る。

 ーー ギュラギュラギュラギュラギュラ…!ーー

 波打つ丘陵の向こうからは、中、大型ゴーレムを駆逐した戦車型ゴーレム【ランドロアー改】による機甲師団が隊列を組んで戦場に迫る無限軌道の音が響き、眼下では魔導装甲へとバイク型ゴーレム【アンバークロス】を変形させた騎兵隊が、最後の望みの綱であった小型ゴーレムの攻撃を物ともせずに蹂躙を続けている。

「認めん、認めるものか……………… 」

 それでも尚、頑なに現状を受け入れることを拒む言葉を口にするハンカグッサだったが、その言葉にはもはや力は無く、うわ言のように繰り返すだけであった…。


「やったあああっ!俺達の勝利だっ‼︎ 」

「勝ち鬨を上げろ‼︎ 」

『『『『『 おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお………っ‼︎‼︎ 』』』』』

 戦いにもほぼ決着が着き、それぞれに武器を振り上げ、肩を組み、涙を流して喜び合いながら、勝ち鬨を上げるウツルノミア防衛隊。
 見れば、気の早いウツルノミア市民達は防御壁の上に詰めかけて、防衛隊や救援に駆け付けてくれた騎士達や、空を舞う飛竜に向けて手を振り、歓声を上げていた。

 捕縛され、魔法封じの戒めを嵌められ項垂れるハンカグッサと〈回帰主義派〉の貴族達のもとに、ズシュン、ズシュン、と重い足音をひびかせながら、魔導装甲を着込んだままの騎士団の中隊長ノミシが二人の部下を連れて近付いて行く。

 と、それに気付いたハンカグッサは顔を真っ赤にして激怒し、唾を飛ばしながらノミシに向かって激昂する。

「この下郎め等が!貴様等は、いったいどれだけゴーレム術を穢せば気が済むのだ‼︎ 偉大なる先達より営々と我等が受け継ぎし偉大なるゴーレム術の歴史に、そのような紛い物で疵を入れるとは不届きの極み、許しがたい暴挙なのだぞ‼︎ だいたい、我等がこれまで巨獣の脅威から、この国をどれだけと思っているのか!この恩知らず共め、恥を知れ‼︎ 」

 激昂するハンカグッサに対して、心底侮蔑を含んだ冷たい目で見下ろしながら、ノミシはその勝手な言い分に一喝する。

「黙れ、ガタガタと騒ぐな見苦しい。ゴーレム術を穢した?営々と受け継いで来た?笑わせるな。貴様等など偉大な先人の功績の上に胡座をかいていただけだろう。自分達の力では何百年と発展させる事すら出来なかったくせに、これらの新しい技術を紛い物だと?偉大な方々の功績を穢しているのはな、一歩も先に進められなかった貴様等の方だと知れ!それに何だと?"守ってやった"だと?王国を、民を守ることこそ貴族という"特権"を許された者のだ。守ってやったなどと思い上がりも甚だしい!貴様の方こそ恥を知れ‼︎ 」

「ぶ、無礼な!わ、私は伯爵だぞ!その私に向かって何たる口の利き方だ! 」

 ノミシの言葉に、更にハンカグッサは激昂して詰め寄ろうとするが、即座に同行した二人の部下に取り押さえられ、地面に引き倒される。

「何か勘違いしているようだな?貴様等に爵位を授けて下さったのは誰だ?貴族でいられたのはどなたのお陰だ?その恩義を忘れ、王国に、陛下に剣を向けた時点で貴様等の爵位などとっくに剥奪されている。もはや貴様等は貴族でも何でもない。犯罪者だ。裁きが下る日まで、これまでの行いを悔いながら大人しくしているんだな」

「そ、そんな………⁉︎ ま、待て、待ってくれ!そ、そうだ、望むだけの金をやろう!騎士などでは一生拝めないほどの大金だ!どうだ?なあ?なあっ?」

 冷たく言い放ち、立ち去ろうとするノミシに向かい、往生際悪く今度は金銭で懐柔しようとするハンカグッサ。だが、ノミシの歩みは止まらない。

「自分達は『青い血』を持つ高貴な者だと言うならば、せめて最後くらいは高貴な者らしく潔くして見せろ 」

 もう振り返る事もなく、その一言だけを残して立ち去って行くノミシ。
 その背後でハンカグッサはがっくりと膝をつき、やっと自分がしでかしてしまった事の重大さを噛み締めて、啜り泣きを始めるのだった。


 

 同じ頃、オーダウラ、ザイダーマ、ウツルノミアの周辺に点在する、小さな町や村にも脅威が迫ろうとしていた。

「…あの村だな? よし、バケモノ共を放て!」

 指揮官である下級貴族の男が、引き連れて来た手勢の者達へと命令を下す。

 この男、ズッコィ準男爵もまた〈回帰主義派〉に属する者ではあるが、家柄が良い訳でも魔法の能力が高い訳でも無い。
 普段は高位貴族の腰巾着としておべっかを使い、その威を借りて威張り散らす、小狡くイヤな男であった。

「ですがズッコィ様、よろしいので?コイツらを放てば男は皆殺し、女共は皆んなしまいますが。勿体無くはありませんか?」

 そう答えたのは侍従のコスーイ。ズッコィに輪をかけて威を借るイヤな奴だ。

「心配するなコスーイ。バケモノ共を御する魔道具は頂戴しておる。せっかくの女共を台無しにするような真似はせん。こんな田舎まで出張って来たのだ、それくらいの楽しみがなくてはな!」
「さすがはズッコィ様!このコスーイ、感服致しました」
「で、あろう?ぐふふふふっ!」
「はい、それはもう!どゅふふふふ!」

 下衆でクズな発言を、如何にも名案のように胸を張って語るズッコィに、コスーイは仰々しく、大袈裟に芝居がかった仕草で応えながら、気持ちの悪い声でほくそ笑む二人。
 主人が主人なら侍従も侍従。まったくもってクズな主従であった。

「では行け、バケモノ共!兵達も、村の中の物は好きにして良いぞ!ただし、器量の良さげな女は連れてこい、私が検分する。かかれ!」

 改めて村への襲撃を命じるズッコィ。その内容は、事実上の略奪、蹂躙である。到底、祖国を同じくする者に対しての命令では無い。だが、ズッコィに追従する兵士達の目や顔は欲望にギラつき、醜悪な喜びに満ちている。

 明らかに、ズッコィに付き従い、もう何度もそうした事を繰り返して、のは明白であった。


 ーーーーだが、世の中そうは上手くは回らない。
 これから今、正に村に襲い掛かろうとしていたズッコィ達を遮るように、数人の男女の一団が村の前へとズラリと並ぶ。

「お~お~~、見ろよマブーシ、頭の悪そうな顔した奴等が、ゾロゾロと汚ねえガン首並べてやがんなぁ?」
「フッ、ヒーツよ、反乱を企だて、何の罪もない自国の民を襲おうなんて連中だ。頭が悪くて当然だろう?」
「何言ってんのよ、二人とも。見なさいよ、顔だってすっごく悪いわよ?」
「うん、いま…までみたなかでも………すっ………………………………………………………………………………っごく、……ぶさいく………」

が長いわ、無礼者ぉっ!」

 突然現れたかと思えば、好き勝手にディスりまくってくる一団にキレるズッコィ。

「貴様等、何者だ!」

「何者だ?って、見りゃ分かんだろ、冒険者だよ 」
「俺達は王都の〈ランクC〉冒険者パーティだ。『バカな連中が村を襲うのを阻止しろ』って依頼を受けてここに来た。覚悟するんだな 」

 村の入り口を塞ぐように立ち並んだのは、ソニア達の押し掛け舎弟にしてヒロトの。ヒーツ&マブーシのそれぞれをリーダーとした冒険者パーティ、「劔の風」「剣狼」の面々であった。

「冒険者だとぉ?冒険者風情が貴族である我の行く手を遮るとは無礼千万!即刻その非礼を詫び、跪かぬか愚か者共‼︎」

「"愚か者"だってよ?頭も顔も悪い奴が何か言ってるぜマブーシ?」
頭も顔も悪い奴はこれだから困るな、ヒーツ 」
「……おしえて、あげた…ほう…がいい。それが………しんせつ…」
「だよね~~!思ってたより、ずぅ~~~~~~っと悪かったもんね、頭も、顔も!っ‼︎」

「き、き、き、貴様等ああああああああっ‼︎」

 ズッコィの言葉に対して、恐れて罵倒をやめるどころか、ますます調子に乗ってディスり始めたヒーツ&マブーシ以下、パーティメンバー。その容赦無い罵倒に顔を真っ赤にしてズッコィは激怒しだす。

「許さん!貴様等全員、嬲り殺しにしてくれるわ‼︎ 魔獣を放て!奴等を殺せええええっ‼︎ 」
「は!おい、魔獣共の鎖を外せ!」

 ズッコィの命令を受けたコスーイが兵士達に命じて、〈黒化〉したゴブリンやオークの首輪に繋いでいた鎖を外す。すると、今までまるで"生ける屍アンデッド"のようにユラユラと身体を揺らしていただけの魔獣達の目にギラリとした光が灯りだした。

 ーーー「グギャギャギャギャギャッ!」ーーー
 ーーー「ブゴオオオオオオオオッ‼︎」ーーー

 途端、口から泡を飛ばして咆哮を上げながら、冒険者パーティに向かって突進を始める二十体の魔獣達。

「ぐふぁっはっはぁっ!いかに貴様等が〈ランクC〉の冒険者だとて、この数の魔獣には敵うまい!この高貴なるズッコィ様を罵倒した事を後悔しながら死んでゆけぇ!」

 勝利を確信し、高笑いを始めるズッコィ達だったが、突進してくる【黒い魔獣】を前にしても、ヒーツやマブーシを始めとした「劔の風」「剣狼」のメンバーの表情は変わらない。いや、余裕ですらあった。

「あ~あ、馬鹿のひとつ覚えみてぇによ、【黒い魔獣】を出せば勝てると思ってやがんよ 」
「仕方がないだろう、馬鹿なんだから 」
「確かに【黒い魔獣】は一匹でも〈ランクC〉の冒険者パーティが必要、って評価だけど………?」
「あたしたち…には、ひろとのあに…きからもらった……、が…ある……… 」

 ーー ジャキンッ! と、冷たく黒光りするを、魔獣の群れに向かって一斉に突き出すパーティメンバー達。

「くくくっ、よぉーし、お前等!セイレン様からは、「捕縛でいい」と聞いている。遠慮は要らねえ、派手にブッ放せええええっ‼︎ 」
えええええええっ‼︎ 」

『『『『『ィィィイャッハアアアアアアアアアアアアアアア……っ‼︎‼︎ 〉』』』』』

 ーーー ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガ………ッ‼︎ ーーー
 ーーー ドカドカドカドカンッ‼︎ーーー
 ーーー ズガンッ‼︎ ズバムッ‼︎ ズドンッ‼︎ ーー
 ーーー タタタン!タタタン!バラタタタタタタ………‼︎ ーーー
 ーーー ズパンッ!………キュドムンッ‼︎ ーーー

 ーー「グギ…⁉︎」「ブ、ゴォッ⁉︎」「グギャアァァッ⁉︎ 」ーー

 ヒーツ&マブーシの号令一下、パーティメンバー全員か手にしたが、一斉に火を吹く。
 耳をつんざくような激しい轟音は破壊の嵐となって【黒い魔獣】へと襲い掛かり、強力なはずの魔獣達を蹂躙して、ほぼ一瞬のうちに潰滅させた。

「ひゅ~~!さっすが、凄え威力だな!」
「ああ、最初に渡された時はどうかと思ったが…、とんでもない魔道具だな 」

 もうお分かりであろう。彼等がヒロトから"
渡された物"とは「魔導銃」である。しかも、"アサルトライフル"タイプだけでなく、"ショットガン"や"ハンドガン"、果ては"グレネード"など、様々な種類の魔導銃の性能試験のモニターとして「劔の風」と「剣狼」のメンバー達に、依頼としてヒロトから渡されていたのだ。

 先程「もらった」と称していたが、魔導銃などは今のイオニディアではあまりにオーバースペックな武器である為、無論"譲渡"ではなく"貸与"である。

「う~~!気っ持ちいい~~~~っ‼︎ はぁ…、ヒロトの兄貴、本当にコレくれないかなぁ………?」
「一応、機密らしいからなぁ…?でも、この戦いで活躍すればもしかしたら………⁉︎」
「だよね?だよね!よぉーし、皆んな、頑張ろーーーーーー!」

『『『『『おおぉーーーーーーっ‼︎ 』』』』』』

 彼等は冒険者。強力な武器はいつだって何だって欲しい。しかし、彼等は使用しているうちに、すっかり魔導銃の魅力に取り憑かれてしまったようだ。
 ヒロトに"おねだり"する為に、頑張って活躍することを誓い合うパーティメンバー達であったが、彼、彼女等の望みが叶うかどうかは分からない。


 ーーーー  一方、突如として響き渡った落雷の如き爆音に、肝を潰したのはズッコィ達である。

「ヒッ⁉︎ ヒイイイイイイ!な、何だ、何なのだこの音は…っ⁉︎」
 
 耳を押さえてしゃがみこみ、恐怖による震えの為に身動きすらままならない。

「セコーイ、セコーイ!何なのだこれ…は?」

 ズッコィは必死になって大声でセコーイを呼ぶが、一向に返事が返ってこない。見れば、セコーイは白目を剥き、股間から湯気を立ち上らせてとっくに気絶していた。

「ぐくっ!誰か!誰かっ!」

 周囲の兵士達に呼び掛けても、青い顔で蹲ったまま、誰一人として動こうとしない。ズッコィは仕方なく、恐怖に震えながら音が収まるのを待つしかなかった。
 そしてその激しい轟音が止んだ時、目の前に広がっていたのは惨憺たる有り様、ズタボロになって転がる【黒い魔獣】達の屍であった。

「何が…、いったい何が⁉︎」

「あん?やっぱりバカだなお前、俺達が倒したに決まってンだろうが 」
 
「き、貴様等…!」

 いつの間にかすぐ側まで近付いていたヒーツとマブーシの姿に驚くズッコィだったが、そもそも何が起こったのかを理解していないズッコィは、立ち上がってヒーツ達に食ってかかろうとするが………、

 ーーー ズガガガガガガッ!ーーー

「ひ…っ⁉︎」

 ヒーツが担いだ魔導ライフルでその足元に威嚇射撃をしたことで、やっと理解したのか、短い悲鳴と共に自らが作ったもの中へ、ヘナヘナとしゃがみ込んだ。

「さって…、おい、生き残ったヤツ全員を縛り上げろ!その後は逃げ出したヤツを捕まえに行くぞ!それが終わったら、今夜は宴会だああああっ‼︎」

『『『『『 ィヤアアアアアアアアアアアアッ‼︎ 』』』』』

 ヒーツの宣言に、歓声を上げ、一斉に動き出す「劔の風」と「剣狼」のパーティメンバー達。
 彼等は冒険者、反乱軍との戦いには直接は関係ない。ひとつの依頼が終われば、待っているのは次の依頼に向かって英気を養う為の宴会だ。

 項垂れるズッコィ達とは対照的に、満面の笑みで動き始めるヒーツ&マブーシ達であった。





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