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汚くて臭いからと言われ領主の息子に大切な孤児院が潰されそうになったので婚約破棄を決意する令嬢
第四話 言い訳
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「ソフィア様、そんな老いぼれの言うことなど聞いてはなりません。私たち親子を陥れようとしているのです。子供たちは遊びに行っているだけでしょう」
ペイント伯爵は息子をかばうように嘘で取り繕った。
「そうです! きっと遊びに行っているだけですよ」
オリバーもそれに追随した。
「……ジゼル、あなたはここで育ったのだから孤児院のことを誰よりも詳しいわよね? 子供たちの生活環境をみたいから案内してちょうだい」
ソフィアは侍女のひとりにそう言うと、その侍女は教会の奥へ歩き出そうとした。
「ならん!!」
ペイント伯爵は大きな声で叫んだ。
「そ、そうであった。このシスターが人減らしのために子供たちを追い出したと報告を受けていたのだ。我が領地で勝手なことをしおって」
ペイント伯爵は年配のシスターを睨みつけた。
「やれやれ、思った以上にひどいな……」
ソフィアの後ろに立っていたひとりの騎士が小さな声でそう呟くと、被っていた兜を取った。その長身な騎士は、おおよそ騎士に似つかわしくない真っ白な肌をしていた。日光の下で長時間過ごすよりも、図書館や書斎で過ごす時間が長いことがわかる。
「ペイント伯爵、ご挨拶が遅れました。私は王都からやってきた監察官です。税務当局の内部監査を行っている中で、こちらの領地から賄賂をもらっている役人の裏帳簿が見つかりましてね。もしや税に関する不正を握りつぶそうとしているのではとの疑惑があって伺いました」
監察官は冷静な口調で説明した。
「なんだ貴様は! いきなり不正だなどと! 馬鹿馬鹿しい、騎士の分際で立場をわきまえろ!」
ペイント伯爵は怒りのまなざしで監察官を睨んだ。
「ペイント伯爵、騎士の格好をしていますがこちらのウィリアムズ侯爵はあなたより高位の貴族ですよ。あなたこそ言葉遣いには気を付けた方がよろしいかと……」
ソフィアの指摘でペイント伯爵は驚きの表情を浮かべ、それ以上文句を言うことが出来なかった。
「ではいくつか質問を、こちらの領地では慢性的な不作で農作物の収穫量が年々減っていると記録にあります。それなのに教会へ寄付、孤児院への寄付を含んだ各方面への多額の寄付を行っている記録があります。間違いないですね?」
「そうです。確かに領民の幸せのために積極的に寄付を行っております!」
「それは素晴らしい。国王様も同じお気持ちなので寄付を行った場合は本来国に納めるべき税金が大幅に減額される制度になっています。しかし……おかしいですね。そもそも農地は不作が続いているようには見えなかったですし、孤児院は廃止したと先ほど聞こえてきました、さらにこちらの教会はとても多額の寄付が行われているようには見えません」
ウィリアムズ侯爵はペイント伯爵とその息子オリバーに疑いの目を向けた。
「そ、それは……。このシスターだ! このシスターが寄付を横領しているに違いない」
ペイント伯爵はまたしても年配のシスターにすべての責任を押し付けようとした。
「いい加減にして!!」
今まで精一杯穏やかな口調を保っていたソフィアが突然叫んだ。その表情は怒りに満ちていた。
ペイント伯爵は息子をかばうように嘘で取り繕った。
「そうです! きっと遊びに行っているだけですよ」
オリバーもそれに追随した。
「……ジゼル、あなたはここで育ったのだから孤児院のことを誰よりも詳しいわよね? 子供たちの生活環境をみたいから案内してちょうだい」
ソフィアは侍女のひとりにそう言うと、その侍女は教会の奥へ歩き出そうとした。
「ならん!!」
ペイント伯爵は大きな声で叫んだ。
「そ、そうであった。このシスターが人減らしのために子供たちを追い出したと報告を受けていたのだ。我が領地で勝手なことをしおって」
ペイント伯爵は年配のシスターを睨みつけた。
「やれやれ、思った以上にひどいな……」
ソフィアの後ろに立っていたひとりの騎士が小さな声でそう呟くと、被っていた兜を取った。その長身な騎士は、おおよそ騎士に似つかわしくない真っ白な肌をしていた。日光の下で長時間過ごすよりも、図書館や書斎で過ごす時間が長いことがわかる。
「ペイント伯爵、ご挨拶が遅れました。私は王都からやってきた監察官です。税務当局の内部監査を行っている中で、こちらの領地から賄賂をもらっている役人の裏帳簿が見つかりましてね。もしや税に関する不正を握りつぶそうとしているのではとの疑惑があって伺いました」
監察官は冷静な口調で説明した。
「なんだ貴様は! いきなり不正だなどと! 馬鹿馬鹿しい、騎士の分際で立場をわきまえろ!」
ペイント伯爵は怒りのまなざしで監察官を睨んだ。
「ペイント伯爵、騎士の格好をしていますがこちらのウィリアムズ侯爵はあなたより高位の貴族ですよ。あなたこそ言葉遣いには気を付けた方がよろしいかと……」
ソフィアの指摘でペイント伯爵は驚きの表情を浮かべ、それ以上文句を言うことが出来なかった。
「ではいくつか質問を、こちらの領地では慢性的な不作で農作物の収穫量が年々減っていると記録にあります。それなのに教会へ寄付、孤児院への寄付を含んだ各方面への多額の寄付を行っている記録があります。間違いないですね?」
「そうです。確かに領民の幸せのために積極的に寄付を行っております!」
「それは素晴らしい。国王様も同じお気持ちなので寄付を行った場合は本来国に納めるべき税金が大幅に減額される制度になっています。しかし……おかしいですね。そもそも農地は不作が続いているようには見えなかったですし、孤児院は廃止したと先ほど聞こえてきました、さらにこちらの教会はとても多額の寄付が行われているようには見えません」
ウィリアムズ侯爵はペイント伯爵とその息子オリバーに疑いの目を向けた。
「そ、それは……。このシスターだ! このシスターが寄付を横領しているに違いない」
ペイント伯爵はまたしても年配のシスターにすべての責任を押し付けようとした。
「いい加減にして!!」
今まで精一杯穏やかな口調を保っていたソフィアが突然叫んだ。その表情は怒りに満ちていた。
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