ほのぼのの魔法

ぼくのクリスマスイブ

　今日は絶対ぜーったい起きててやるんだ。ぼくの誓いはかたいぞ。パパとママが早く寝なさいって言ったら素直にベッドには入る。そうじゃないといい子じゃなくなっちゃうから。でも、ぼくはどうしてもサンタさんを見てみたいんだ。同じクラスの友達に見たってやつがいた。だったらぼくにだって見えるはずだ。
「しょう、もう寝なさーい」
　ママの声だ。
「今寝ようとしてたところ」
　いつもよりすんなりベッドに入ったものだから、ママは何だか嬉しそうだった。部屋が暗くなって、ママとパパの話し声だけが少し聞こえていた。そのうちシーンとなって、危うくぼくも寝かけた。だけど、ちゃんと起きれたからセーフだ。窓の外をぼんやり眺めていると、雪が降ってきたんだ。目を凝らしてよぉく見ていた。そろそろ来るって思ったんだ。でも、ぼくんちには煙突がないんだ。サンタさんはどうやって入ってくるんだろう。
「イテッ」
　うとうとしてたら、窓にぶつけちゃった。外は真っ白になっていた。雪合戦できそうなくらいに。何か音が聞こえる。すず？　の音みたいだ。そのとき遠くに動く影が見えた。
「サンタ、サンタさんだ！」
　どんどん窓に近づいてくる。
「ぼくの家に来て！」
　赤い衣装が見え始めた。
「今年もいい子にしてたから！」
　トナカイの鼻って本当に赤なのか？
「おーい！」
　どうしよう。このまま来たら、ぶつかっちゃう！
「メリークリスマス！　ぼうや」
　ねぇ、知ってた？　サンタさんって窓を通り抜けられるんだ。会ったらね、色々なことを聞こうって思ってたんだ。だけど、どうしても声が出せなかった。その場から動けなかったんだ。サンタさんはトナカイとソリごとぼくの部屋に入ってきたんだけど、プレゼントは置いていかなかった。きっと一階に行ったんだ。
「今年もいい子にしていたね」
　サンタさんは帰り際そう言って頭をなでてくれた。
「でも来年からはちゃんと寝てなきゃいけないよ。プレゼントを持ってこられなくなっちゃうからね」
　最後に困った顔で言うと、ソリに乗って空へ飛び立った。
　学校に行ったらね、今夜は寝ちゃったことにしようと思うんだ。日記に書いておいて、ぼくだけの思い出にする。プレゼントはね、明日の朝のお楽しみにしてるんだ。だから今日はもう寝るね！　メリークリスマス！