ほのぼのの魔法

おやつの時間

「ありがとう」
　幼い末娘がそう言った。
「ららちゃん、ありがとうって言ってくれてありがとう」
　せなの笑顔に私は思わず二人をぎゅっと抱きしめた。長女のせなはお姉さんだからと言って、最後のクッキーをゆずったのだ。
「まま、ありがとうって言葉大好きよ」
　優しく柔らかな髪をなでていると、二人はくすくすと恥ずかしそうに笑いだした。
「明日のおやつはね、ららちゃんがお姉ちゃんにいっこ多くあげるの」
　末娘のららがそう言うと、お姉ちゃんのせなは、
「じゃあ、ららちゃんに明日のありがとうを言わなきゃだね」
　と言ってにこにこ笑う。その言葉を聞いて、ららは誇らしげにクッキーを食べていた。
「ららちゃん、ありがとう」
「どういたしまして」
「お姉ちゃんありがとう」
「うふふ、どういたしまして」
　二人とも照れくさそうにココアを飲んで、ごちそうさまをしていた。
　明日のおやつは何にしようかしら。小分けのチョコなら分けやすいかな。本当は冷蔵庫にゼリーがあったのだけれど、分け合いっこできるものに変更しましょう。
　今はとりあえず食器洗いよね。台所に立っておそろいのマグカップをお湯で流していると、仲良くテレビを見る二人が目に入った。