龍馬が【異世界を】ゆく

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第1章 龍馬と異世界

第7話 綿花の村

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翌朝、龍馬達は、少し早めに出立した。

予定では、昼過ぎには村に到着する。

子供達は、今日は両親に会えると喜んでいる。

やがて、村付近になると景色が大きく変わる。

辺り一面に綿花畑が広がる。

綿花畑の中の道を進むと、小さな村が見えてきた。

正面には、村の入口らしい粗末な門がある、

村の入口が見えると、子供達が一斉に走り出す。

その様子を見て、村人達が集って来た。

あちこちで我が子との再会に喜ぶ声が、聞こえてくる。

龍馬は、そんな様子を微笑ましく眺めていた。

集まった村人達の中から、1人の老人が龍馬に近づき話し掛けてきた。

「これは、どうした事でしょうか?子供達は、何故戻ってこれたのでしょう。」

「この子らは売られちょったき、買うて送ってきた。」

龍馬は、ぶっきらぼうに答えた。

老人は、龍馬の話が理解できずにポカンとしている。

何となく彼らが恩人だとは、理解出来たようで、老人は自宅に龍馬達を招いてくれた。

こじんまりとした家で、ひとり暮らしのようだ。

「どうも、挨拶が遅れてしもた、この村の長老のセトですじゃ。」

「坂本龍馬や」
「エマです。」

エマは、子供達との経緯を長老に話した。

「それで、どいて、子供達を売ったがか?」

龍馬は、いきなり本題を切り出した。
だた、その口調は優しく静かだ。

「実は、最近、綿花が値下がりしておって、商人に安く買い叩かれおりますのじゃ。そんな時に商人が子供達を出稼ぎに出さないか?と言って来まして。」

「奴隷として売った訳では無いがよねや?」

「もちろんです。大切な子供達を売るなど絶対にありません。」

「ところで、どいて、商人を信じたがか?自分達で売りに行ったら良かったろう?」

「それが、何度か売りにやったのですが、誰も戻ってこないのですじゃ。」

龍馬は彼らが赤狼の森のオオカミにやられてしまったのだと理解した。

だが、商人は、どうやって赤狼の森の横を抜けたのだろう?

「エマさんよ、ちっくとこの辺りの地図を描いてくれんか?」

エマとセトは協力して、この辺りの地図を描いて、龍馬に見せた。

「そうか.で、その商人はいつ、やってくるがよ?」

「そろそろ、綿花の収穫が始まりますのでもうすぐですじゃ。」

「こりゃ、面白うなってきた。それじゃあ、鬼退治と行こうか。」

「ところで、綿花の相場は、なんぼだい?」

長老セトは、不思議な事を聞く御仁じゃと思った。

それでも、商人にはいつもの半額程度で買い叩かれていることなどを話した。

さらに、エマに綿花が衣服になる迄の工程や、エマの店で加工品を購入する際の、相場などを詳しく質問した。

最後にこの辺りで綿花を生産しているのは、この村だけだと知り、大いにほくそ笑んだ。

「わしには、商人の血が半分混ざっちゅーらしい。」

と呟く、エマは、龍馬が、また、何かをやろうとしてると直感している。
それも、途方もない事を。

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