海と聖女とサムライと

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第4章 王都へ

第63話 おにぎり

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【おう、帰ったぞ。開けてくれ。】

「おかえりなさい。随分遅かったね。」

【ああ、ちょっと色々有ってな。それよりも飯に行こうぜ。】

「外食とか大丈夫なの?」

【まあ、何とかなるだろう。店は決めてある。】

私達は、ムサシの後について行く。

途中、繁昌している大きな居酒屋の前を通り過ぎて、その先の小さな店に入った。

その店は、席はカウンター席だけで、カウンターの中に老婆がひとりだけ立っている。

私達の他には客はおらず、私達が入ると店内はいっぱいになった。

【ここは、米はあるかい?】

あるよ。老婆は、無愛想に答える。

【よし、じゃあ、米を拳くらいに握ったのをくれ。】

ニギリだね。味付けは、塩でいいかい。

【ニギリと言うのか、それで頼む。7人分だ。後は、焼魚を適当に。そのニギリに合うスープがあればそれも人数分だ】

老婆は眼の前でテキパキと料理を始めた。

「良くこんな店知ってたわね。」

【ああ、ギルドマスターに聞いてきた。】

「冒険者ギルドに行ってたの?」

【さて、後は食べながらにしよう。ちょっと運動してきたから、腹が減った。】

運動?何か気になるな?

直ぐに、料理は出来た。ニギリが3つと焼いた小魚が3匹ずつ載ったお皿が、とスープがそれぞれの前に並べられた。

魚は、丸ごと食べられるよ。

【よし、食うぞ。これは手づかみで食うんだ。】

サキは、おにぎりを手に取ると一口食べる。

やがて、ムシャムシャと勢い良く食べ始めた。

『おじちゃん、凄く美味しい。なんか懐かしい。』

【いっぱいあるからな、好きなだけ食え。】

【俺も食うか。やっぱり、米はおにぎりが一番良いな。ほら、みんなも食べてみろ。】

私達は、おにぎりを食べてみる。

美味しい。柔らかく噛むと甘みを感じる。魚と一緒に出てきた魚にも合う。

【婆さん。米で作った酒をひとつくれ。】

サーケだね。あいよっ。

ムサシの前に、四角い木の容器に入れられた透明のお酒が出てきた。

ムサシは、匂いを嗅ぐと無言で少しずつ飲んでいる。

【婆さん。サーケをもう一杯くれ。】

珍しい、ムサシが静か過ぎる。

黙々と飲んでいるムサシを放っといて、私達は、おにぎりを存分に食べた。

「ふー、お腹一杯、サキも眠そうだし帰りますよ。」

いつまでも、静かに飲んでいるムサシを引っ張って帰路についた。

翌日、私達は北街に移動し、旅の準備を整えてそのまま、出発する事ににした。

そして、北街へ渡る橋まで時、何と橋が綺麗サッパリと無くなってしまっていた。

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