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第1章 勇者を探して
第20話 港町ルト
しおりを挟む港町ルトは、温暖な気候にも恵まれ、各地との海上交通の要である。
だが、今、街は、この街が始まって以来の危機を迎えている。
きっかけは、小さな出来事だった。
その日、港内に小舟が流され来た、小舟には小さな女の子が倒れていた。
少女は、孤児院に運ばれた。少女は、高熱を発症していて治療が施された。
少女の容態は、中々改善しなかったが、3日目にやっと、熱は収まってきた。
少女が回復してきた頃、他の子供達の間で顔に発疹ができ、発熱する症状が見られてきた。
やがて、年少の子供達のほとんど全員が発熱した。
それから、徐々に周辺の子供達に同様の症状が広がって行った。
街の行政もこの異変に気が付き、対応に乗り出したが、明確な治療法が見つからずにいた。
少女が発見されて、10日も経つと、被害は街全体に広がって行った。
中には、別の街に避難する家族連れもで始めた。
幸いにも、死者は出なかった。が
街からは、外で遊ぶ子供達の声が消えていた。
一方、少女は、孤児院から、神殿に移されて、治療が続けられていた。
少女の意識は、未だ戻らない。
神官によって、治療魔法が施されたが効果はない。
ところが、ある日、少女は目を覚ました。
すると、少女の身体がまばゆいばかりに発光したかと思うと、顔から発疹は消え、熱も下がっていた。
やがて、少女は徐々に回復していった。
少女は、全快したが、何も覚えていなかった。
自分の名前、何故小舟にいたのか?
少女の回復は、皆の希望となった。きっと、他の子供達も回復すると。
だが、他の子供達に回復の兆しはない。
あの時と同じように、治癒魔法を使ってみたが、子供が光を放つ事は、無かった。
全快した少女は、神殿で子供達の治療を手伝う様になった。
そんな様子を見て、大人達は、今回の疫病がこの少女のせいだと、責めることは無かった。
そんな中、聖女様がこの街に向かっているという話が伝わる。
しかも、聖女様は途中の村々で、子供達の治療を行い、子供達は皆、回復しているという。
この知らせを聞いて、街の大人達は喜んだ。
早く、聖女様がこの街に来る事を願った。
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