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ORDER-1.レモン炭酸水

23.魔法が溶けたあと -1-

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 ーーーチュンチュン…チュン…


「ん………」




 小鳥の囀る音、ベランダ窓から差し込む光が眩く思わず顔を手の甲で覆う。

 篠原は目を覚ました。



「…………い、てて…」


 後頭部や背中に鈍い痛みを感じる。
 どうやら床の上で大の字になって眠ってしまっていたらしい。

 上半身を起こすと、ベッドの上にあるはずの掛け布団が優しく身体へかけられていることに気付く。



 ーーーー‼︎‼︎
 同時にハッとして篠原は勢い良く立ち上がった。


「深月くんっっ⁉︎⁉︎」


 慌てて1kの狭い自室を見渡すが人の気配はまったく無い。
 代わりにキッチンの方から香ばしく優しい香りが鼻をついているがそんなこと気に留められないほどに焦る篠原は部屋の中をキョロキョロと探し回る。


「深月くん‼︎深月くん⁉︎深月くんーっ‼︎」

 すると篠原の泣きそうな大声を遮るように、閉め切られたリビングドアが突然開いた。



 ーーーガチャ…

「深月くぅぅぅん‼︎‼︎」

「うわぁーっ⁉︎」

 部屋に入ってきた深月を勢い良くガバッ‼︎と抱きしめる。

(く、クマに襲われてる⁉︎喰われる‼︎)

 抱きしめてギリギリと腕の力を強める篠原に「うぅ」と深月は苦しそうな声を出す。髪の毛からぽたりと水の滴が肩に落ちた。


「し、しの、はら…く、くるし…っ」

「ああぁ‼︎ごめんっ‼︎」

 思わず抱き潰してしまいそうなほど強めてしまっていた腕の力を緩め慌てて離すと、解放された身体にふぅ、と一息つき首に掛けたハーフバスタオルで濡れた頭をごし、と拭く深月。

「ーーなに、突然?ビックリするじゃん…」

(またとって喰われるのかと…)


「いや、…深月くん…居ないから…帰っちゃったんだと思って…」


「えっ?ああ…。いや、だって篠原全然起きないから…。
勝手にシャワー借りたよ、あと、タオルとかも…」

一応起こしたんだけど、と苦笑いする深月をじっと見つめて、
シャワー浴びてたんだ……良かった、と胸を撫で下ろす。


「…………」


昨日と同じ服を纏い、少し申し訳なさそうにしながら自分のいつも使っているタオルに髪の毛を下ろす深月の姿。
同じく自分の部屋の風呂で自分がいつも使っているシャンプー類でその綺麗な身体を浄めてきたのか…といつもよりも一層潤って見える深月の全身をまじまじと見つめ倒す。


「…………」



(なんか、…眼差しが……刺さる、怖い。)



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