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二話
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ソフィアが手配されているだと?そんな馬鹿なことがあるはずない!だってあいつは俺と一緒に旅をするって言ったんだ!
「何を黙り込んでいる!早くその手を離せ!」
兵士が怒鳴り散らしているが全く耳に入らない。頭が真っ白になって何も考えられない。どうしてこうなったんだろう。ただ俺はソフィアと一緒にいたかっただけなのに。
するとその時だった。突如として目の前に黒い霧が現れたかと思うとそれは瞬く間に広がっていった。そしてあっという間に視界が全て塞がれてしまった。
一体何が起きたのか理解できずにいると耳元で囁かれた。「ユウキさん、落ち着いてください」
聞き慣れた声に振り返るとそこには見知った顔があった。
「ソフィア!?お前…」
そこまで言いかけたところで異変に気付いた。彼女は確かにそこにいる。しかしその姿はまるで別人のように変わっていたのだ。美しい銀髪は黒に染まっており瞳の色も赤く染まっている。
「ふぅー、まさかこんなことになるなんてね。まああなたが大人しくしてれて良かったわ」
彼女は溜息をつくと俺の手を取った。
「とりあえず場所を変えましょう。話はその後です」
そう言うと彼女は歩き出した。俺は混乱しながらもなんとかついていくことができた。しばらく歩くと人気のない路地裏へとたどり着いた。
「ここなら大丈夫そうですね」
「あの、説明してくれないか?これはどういうことなんだ?」
「実は私、ある組織に追われてるんです。理由は簡単、私が魔族だからです」
「は?魔族?それってつまり……」
「はい、私は魔王の娘です」
「マジか……」
正直言ってかなり驚いた。だが同時に納得もしていた。彼女が只者でないことは出会った時からわかっていたことだ。
「信じてもらえましたか?」
「ああ、信じるよ。そもそもこの状況じゃ疑う方が無理があるしな」
「そう言ってくれて嬉しいですよ。それともう一つお伝えしなければならないことがあります」
「なんだ?」
「おそらくですがもうじきここに兵士の連中がやって来ます」
「なっ!?」
「私のことはいいので逃げてください」
「ふざけるな!お前を置いて行けるわけないだろうが!」
「気持ちはありがたいですが足手まといです。それにこのままでは共倒れになる可能性が高い。ですからどうかお願いします」
「嫌だ!絶対に行かない!」
「まったく、強情な人ですね。なら仕方ありません」
次の瞬間、俺は彼女に抱きしめられていた。「な、何してんだよ!」慌てて引き剥がそうとするが力が入らない。それどころかどんどん意識が遠退いてきた。やばい、この感覚には覚えがある。これは睡眠魔法だ。
「安心してください。目が覚めた時には全て終わっていますから」
薄れゆく意識の中で最後に見た彼女の笑顔はとても美しかった。
目を覚ました時最初に感じたのは違和感だった。なんだろうと思い周囲を見渡すとそこは見知らぬ部屋だった。どうやらベッドに寝かされていたらしい。
「ここはどこだろう?確か俺は街に来てすぐに兵士から逃げて、それで……そうだ!ソフィアは無事なのか?」
慌てて起き上がり部屋の外へ出ようとすると扉が開かれた。現れた人物を見て思わず目を見開く。そこに立っていたのは耳の尖った謎の少女であった。
「何を黙り込んでいる!早くその手を離せ!」
兵士が怒鳴り散らしているが全く耳に入らない。頭が真っ白になって何も考えられない。どうしてこうなったんだろう。ただ俺はソフィアと一緒にいたかっただけなのに。
するとその時だった。突如として目の前に黒い霧が現れたかと思うとそれは瞬く間に広がっていった。そしてあっという間に視界が全て塞がれてしまった。
一体何が起きたのか理解できずにいると耳元で囁かれた。「ユウキさん、落ち着いてください」
聞き慣れた声に振り返るとそこには見知った顔があった。
「ソフィア!?お前…」
そこまで言いかけたところで異変に気付いた。彼女は確かにそこにいる。しかしその姿はまるで別人のように変わっていたのだ。美しい銀髪は黒に染まっており瞳の色も赤く染まっている。
「ふぅー、まさかこんなことになるなんてね。まああなたが大人しくしてれて良かったわ」
彼女は溜息をつくと俺の手を取った。
「とりあえず場所を変えましょう。話はその後です」
そう言うと彼女は歩き出した。俺は混乱しながらもなんとかついていくことができた。しばらく歩くと人気のない路地裏へとたどり着いた。
「ここなら大丈夫そうですね」
「あの、説明してくれないか?これはどういうことなんだ?」
「実は私、ある組織に追われてるんです。理由は簡単、私が魔族だからです」
「は?魔族?それってつまり……」
「はい、私は魔王の娘です」
「マジか……」
正直言ってかなり驚いた。だが同時に納得もしていた。彼女が只者でないことは出会った時からわかっていたことだ。
「信じてもらえましたか?」
「ああ、信じるよ。そもそもこの状況じゃ疑う方が無理があるしな」
「そう言ってくれて嬉しいですよ。それともう一つお伝えしなければならないことがあります」
「なんだ?」
「おそらくですがもうじきここに兵士の連中がやって来ます」
「なっ!?」
「私のことはいいので逃げてください」
「ふざけるな!お前を置いて行けるわけないだろうが!」
「気持ちはありがたいですが足手まといです。それにこのままでは共倒れになる可能性が高い。ですからどうかお願いします」
「嫌だ!絶対に行かない!」
「まったく、強情な人ですね。なら仕方ありません」
次の瞬間、俺は彼女に抱きしめられていた。「な、何してんだよ!」慌てて引き剥がそうとするが力が入らない。それどころかどんどん意識が遠退いてきた。やばい、この感覚には覚えがある。これは睡眠魔法だ。
「安心してください。目が覚めた時には全て終わっていますから」
薄れゆく意識の中で最後に見た彼女の笑顔はとても美しかった。
目を覚ました時最初に感じたのは違和感だった。なんだろうと思い周囲を見渡すとそこは見知らぬ部屋だった。どうやらベッドに寝かされていたらしい。
「ここはどこだろう?確か俺は街に来てすぐに兵士から逃げて、それで……そうだ!ソフィアは無事なのか?」
慌てて起き上がり部屋の外へ出ようとすると扉が開かれた。現れた人物を見て思わず目を見開く。そこに立っていたのは耳の尖った謎の少女であった。
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