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第二部 ダンジョン攻略編
第126話 転移ゲート設置
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クレイ達―――クラン【クレイと愉快な仲間達】(略してクレユカ)―――のダンジョンの攻略は順調に進んでいた。
数日ダンジョンに潜っては、ギルドに戻り状況報告。そして狩った魔物を買い取り(査定)に出し、前回の査定分の金を受け取る。そのルーティーンを繰り返しながら、踏破階層の記録が更新されていく。
これまでのペイトティクバの最高踏破記録は五十五階層であった。それも数十年前の冒険者が成し遂げた事である。だが、その程度の階層はあっというまに突破してしまったクレイ達。
その快進撃に、冒険者ギルドでは、クラン・クレユカの話題で持ち切りであった。
突然現れた凄腕の冒険者クラン。特徴的なのは、全員が奴隷の首輪(ただしちょっとおしゃれなデザイン)をしている事。
領主の方針で奴隷が好まれないこの街で、奴隷を冒険者にするというのは最初はかなり白い目で見られていた。奴隷を酷使し(時には使い捨てにしながら)ダンジョンを攻略する冒険者も稀に居る。当然、そのような冒険者パーティなのかと疑う者が多いのだ。
しかしクレユカのメンバーは仕事から戻ってくれば酒場で酔っ払って他の冒険者と喧嘩をする、休日には街を散歩しショッピングなどしている、そんな姿が度々目撃される。そんな自由な奴隷など普通はありえない。首輪はついている事を除けば、まるで普通の冒険者である。なんなら街の人間達とも仲良くなっていっている。その様子を見ているうち、冒険者達と街の住民達のクレユカを見る目は徐々に刺々しさがなくなっていったのであった。
(余談だが、二人の猫娘は、冒険者達のみならず街の住民達の間で男女問わず密かな人気となっていた。)
だが、クレユカのダンジョン攻略の成果を疑う者も絶えなかった。そしてそれは当然の事であった。なぜなら、ペイトティクバは他のダンジョンに比べて攻略がやや難しいダンジョンとなっている。それは、階層ボスを倒しても、帰還用魔法陣が現れないからである。
つまり、ダンジョンに潜った冒険者は、往路と同じ距離を戻らなければ帰ってこられないのである。そのため、深い階層まで潜るのには数週間から数ヶ月にも及ぶ遠征となる事が多い。にも関わらず、クレユカは数日おきに戻ってくるのである。
仮に1日3階層進んだとして、9階層を踏破して戻ってくるのに往復6日掛かる。90階層なら60日掛かる計算である。だが、既にクレユカは百階層目に到達しようとしているのだ。にも関わらず、数日おきにクレユカはギルドに戻ってくるのだ。これはおかしいと思われても不思議はない。
もちろんこれは、クレイの転移魔法陣によっていつでも帰還・元の場所に戻ってリスタートが可能なためであるが―――転移が使えることを知られるわけにはいかない。
頻繁に戻ってこなければ良いのだが、既に戻ってきているのを知られてしまっているので、急に長期戻らなくなるのもそれはそれで不自然である。
そこで、クレイは、迷宮都市リジオンで手に入れた転移用魔導具を使っているという設定にした。
実際、そのような魔導具を作ることは現在のクレイならリルディオンの力を借りずとも難しくなく、転移ゲートがすぐに完成した。二個セットの扉で、到達した階層にそのゲートを置いてくれば、対となる転移ゲートとの間をいつでも自由に行き来できるわけである。
当然、これ自体がこの時代においてはとんでもない超技術になるのだが……。
あくまで古代遺跡ダンジョンから出た超レアな魔導具を入手したのだと言い張る事で、クレイの転移能力は秘匿できる。
セキュリティ機能ももちろん搭載している。転移ゲートを使用できる人間は登録制で、一度登録したら解除はもうできない。そして登録枠はすべてクレユカのメンバーで埋まってしまっている。…という情報を流したのである。
情報を精査せずに奪おうと狙ってくる者も居るかも知れないが、ホーム側ゲートはクランベースに設置している。クランベースはこれでもかとセキュリティ対策を施してあるので、クレイは侵入されない自信があった。むしろ無理に侵入しようとした者の身がどうなるのか、そちらを心配したほうがよいだろう。
ダンジョン側に設置してあるゲートが盗まれる可能性はあるが、既に並の冒険者では到達できないほど深層にゲートは置かれている。そこまで到達できるの冒険者は現在は居ないはずである。
ただ、『転移ゲートがある』と言っても、信じない者も多かった。もし本当にそんなモノがあったら、売れば国家予算級の値がつく代物だからである。話だけで実物を見られるわけでもないので信じられないのだ。
だが、そういう者達も、クレユカの狩ってくる獲物が日に日に見た事もない上級の魔物に変わっていくので、何も言えなくなっていった。
話題のクランとなったクレユカであるが、そのリーダーであるクレイについても、色々な噂が流れるようになった。当たり障りのない範囲で情報を流しているクレイであったが、ある日、冒険者ギルドで女冒険者に話しかけられた。
ミレイ 「あの! クレユカのリーダーのクレイさんですよね?」
クレイ 「そうだが?」
ミレイ 「少しお話を聞かせてもらえませんか?」
クレイ 「あんたは?」
ミレイ 「私は情報屋をしているミレイと言います」
クレイ 「情報屋…?」
冒険者の格好をしているが、それは情報を集めるのに便利だからだそうだ。必要であればダンジョンの中にでも取材に行くし、普通に冒険者として狩りをする事もあるそうだが。
また、ミレイは情報の売買を行っている傍ら、街で売られている情報誌(不定期発行)の発行者でもあるという。情報誌の内容は、直接売買するに値しないようなゴシップ専門だとのことだが。クレイとも情報の売買を今後させてほしいようだが、その前に、まずはゴシップ誌に乗せるようなどうでもよい情報を聞かせてほしいという事であった。
ただ、ミレイのその話の中で、クレイは情報誌の部分に興味を持った。何故なら、紙はこの世界では貴重だからである。新聞のようなものがあるというのは初耳であったからである。
―――――――――――――――――――――
余談だが、安価な紙の製造も印刷技術もない世界であり、新刊の本一冊が金貨百枚くらいするのは当たり前である。(それも最低価格であり、内容に価値のある本であれば価格は青天井となる。)だいたい月給に金貨(小金貨)十枚くらい貰えれば高給取りなので、本一冊が給料十ヶ月分というわけである。
―――――――――――――――――――――
聞けば、ミレイはこの世界にもある魔物の皮を薄く伸ばした魔皮紙(地球で言うところの羊皮紙である)に手書きしているそうだ。ただ、ミレイが考案した落ちやすいインクを使って書いており、【クリーン】をかける事で消して再利用する事ができるのだそうだ。
新聞の売値は銀貨五枚。ただ、その値段の大半は魔皮紙の代金であり、読み終わった後、ミレイに魔皮紙を返すと銀貨三枚が返金される仕組みなのだとか。つまり新聞一部(四ページ)の情報料が銀貨二枚分の値段ということになる。
銀貨一枚でエールが3杯程度飲めるので、大判の紙二枚の新聞が生ビール六杯分と考えると高い気もするが、娯楽が少なく通信手段も乏しいこの世界で、ミレイのゴシップペーパーは意外と人気なのだとか。
話を聞き、なるほどと感心するクレイ。そう言えば、地球の古代に使われていた羊皮紙もインクをほとんど吸い込まないため、文字を間違えた場合は乾いた後削り落として修正できたという話を思い出した。
日本で生きていた記憶があるクレイなら植物系の紙を製造するとか印刷技術を作り出すとか、生活を改善する色々なアイデアも出そうなものだが、クレイはこの世界に生まれてから自分の事で必死に生きてきた(魔法陣の研究漬けだった)ので、あまりそういう生活・文化には目が向いていなかったのであった。
ミレイ 「それで、今話題のクランのリーダーであるクレイさんにお話を聞かせて頂きたいなぁと思いまして…」
数日ダンジョンに潜っては、ギルドに戻り状況報告。そして狩った魔物を買い取り(査定)に出し、前回の査定分の金を受け取る。そのルーティーンを繰り返しながら、踏破階層の記録が更新されていく。
これまでのペイトティクバの最高踏破記録は五十五階層であった。それも数十年前の冒険者が成し遂げた事である。だが、その程度の階層はあっというまに突破してしまったクレイ達。
その快進撃に、冒険者ギルドでは、クラン・クレユカの話題で持ち切りであった。
突然現れた凄腕の冒険者クラン。特徴的なのは、全員が奴隷の首輪(ただしちょっとおしゃれなデザイン)をしている事。
領主の方針で奴隷が好まれないこの街で、奴隷を冒険者にするというのは最初はかなり白い目で見られていた。奴隷を酷使し(時には使い捨てにしながら)ダンジョンを攻略する冒険者も稀に居る。当然、そのような冒険者パーティなのかと疑う者が多いのだ。
しかしクレユカのメンバーは仕事から戻ってくれば酒場で酔っ払って他の冒険者と喧嘩をする、休日には街を散歩しショッピングなどしている、そんな姿が度々目撃される。そんな自由な奴隷など普通はありえない。首輪はついている事を除けば、まるで普通の冒険者である。なんなら街の人間達とも仲良くなっていっている。その様子を見ているうち、冒険者達と街の住民達のクレユカを見る目は徐々に刺々しさがなくなっていったのであった。
(余談だが、二人の猫娘は、冒険者達のみならず街の住民達の間で男女問わず密かな人気となっていた。)
だが、クレユカのダンジョン攻略の成果を疑う者も絶えなかった。そしてそれは当然の事であった。なぜなら、ペイトティクバは他のダンジョンに比べて攻略がやや難しいダンジョンとなっている。それは、階層ボスを倒しても、帰還用魔法陣が現れないからである。
つまり、ダンジョンに潜った冒険者は、往路と同じ距離を戻らなければ帰ってこられないのである。そのため、深い階層まで潜るのには数週間から数ヶ月にも及ぶ遠征となる事が多い。にも関わらず、クレユカは数日おきに戻ってくるのである。
仮に1日3階層進んだとして、9階層を踏破して戻ってくるのに往復6日掛かる。90階層なら60日掛かる計算である。だが、既にクレユカは百階層目に到達しようとしているのだ。にも関わらず、数日おきにクレユカはギルドに戻ってくるのだ。これはおかしいと思われても不思議はない。
もちろんこれは、クレイの転移魔法陣によっていつでも帰還・元の場所に戻ってリスタートが可能なためであるが―――転移が使えることを知られるわけにはいかない。
頻繁に戻ってこなければ良いのだが、既に戻ってきているのを知られてしまっているので、急に長期戻らなくなるのもそれはそれで不自然である。
そこで、クレイは、迷宮都市リジオンで手に入れた転移用魔導具を使っているという設定にした。
実際、そのような魔導具を作ることは現在のクレイならリルディオンの力を借りずとも難しくなく、転移ゲートがすぐに完成した。二個セットの扉で、到達した階層にそのゲートを置いてくれば、対となる転移ゲートとの間をいつでも自由に行き来できるわけである。
当然、これ自体がこの時代においてはとんでもない超技術になるのだが……。
あくまで古代遺跡ダンジョンから出た超レアな魔導具を入手したのだと言い張る事で、クレイの転移能力は秘匿できる。
セキュリティ機能ももちろん搭載している。転移ゲートを使用できる人間は登録制で、一度登録したら解除はもうできない。そして登録枠はすべてクレユカのメンバーで埋まってしまっている。…という情報を流したのである。
情報を精査せずに奪おうと狙ってくる者も居るかも知れないが、ホーム側ゲートはクランベースに設置している。クランベースはこれでもかとセキュリティ対策を施してあるので、クレイは侵入されない自信があった。むしろ無理に侵入しようとした者の身がどうなるのか、そちらを心配したほうがよいだろう。
ダンジョン側に設置してあるゲートが盗まれる可能性はあるが、既に並の冒険者では到達できないほど深層にゲートは置かれている。そこまで到達できるの冒険者は現在は居ないはずである。
ただ、『転移ゲートがある』と言っても、信じない者も多かった。もし本当にそんなモノがあったら、売れば国家予算級の値がつく代物だからである。話だけで実物を見られるわけでもないので信じられないのだ。
だが、そういう者達も、クレユカの狩ってくる獲物が日に日に見た事もない上級の魔物に変わっていくので、何も言えなくなっていった。
話題のクランとなったクレユカであるが、そのリーダーであるクレイについても、色々な噂が流れるようになった。当たり障りのない範囲で情報を流しているクレイであったが、ある日、冒険者ギルドで女冒険者に話しかけられた。
ミレイ 「あの! クレユカのリーダーのクレイさんですよね?」
クレイ 「そうだが?」
ミレイ 「少しお話を聞かせてもらえませんか?」
クレイ 「あんたは?」
ミレイ 「私は情報屋をしているミレイと言います」
クレイ 「情報屋…?」
冒険者の格好をしているが、それは情報を集めるのに便利だからだそうだ。必要であればダンジョンの中にでも取材に行くし、普通に冒険者として狩りをする事もあるそうだが。
また、ミレイは情報の売買を行っている傍ら、街で売られている情報誌(不定期発行)の発行者でもあるという。情報誌の内容は、直接売買するに値しないようなゴシップ専門だとのことだが。クレイとも情報の売買を今後させてほしいようだが、その前に、まずはゴシップ誌に乗せるようなどうでもよい情報を聞かせてほしいという事であった。
ただ、ミレイのその話の中で、クレイは情報誌の部分に興味を持った。何故なら、紙はこの世界では貴重だからである。新聞のようなものがあるというのは初耳であったからである。
―――――――――――――――――――――
余談だが、安価な紙の製造も印刷技術もない世界であり、新刊の本一冊が金貨百枚くらいするのは当たり前である。(それも最低価格であり、内容に価値のある本であれば価格は青天井となる。)だいたい月給に金貨(小金貨)十枚くらい貰えれば高給取りなので、本一冊が給料十ヶ月分というわけである。
―――――――――――――――――――――
聞けば、ミレイはこの世界にもある魔物の皮を薄く伸ばした魔皮紙(地球で言うところの羊皮紙である)に手書きしているそうだ。ただ、ミレイが考案した落ちやすいインクを使って書いており、【クリーン】をかける事で消して再利用する事ができるのだそうだ。
新聞の売値は銀貨五枚。ただ、その値段の大半は魔皮紙の代金であり、読み終わった後、ミレイに魔皮紙を返すと銀貨三枚が返金される仕組みなのだとか。つまり新聞一部(四ページ)の情報料が銀貨二枚分の値段ということになる。
銀貨一枚でエールが3杯程度飲めるので、大判の紙二枚の新聞が生ビール六杯分と考えると高い気もするが、娯楽が少なく通信手段も乏しいこの世界で、ミレイのゴシップペーパーは意外と人気なのだとか。
話を聞き、なるほどと感心するクレイ。そう言えば、地球の古代に使われていた羊皮紙もインクをほとんど吸い込まないため、文字を間違えた場合は乾いた後削り落として修正できたという話を思い出した。
日本で生きていた記憶があるクレイなら植物系の紙を製造するとか印刷技術を作り出すとか、生活を改善する色々なアイデアも出そうなものだが、クレイはこの世界に生まれてから自分の事で必死に生きてきた(魔法陣の研究漬けだった)ので、あまりそういう生活・文化には目が向いていなかったのであった。
ミレイ 「それで、今話題のクランのリーダーであるクレイさんにお話を聞かせて頂きたいなぁと思いまして…」
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