上 下
124 / 184
第二部 ダンジョン攻略編

第124話 ルル・リリと一緒

しおりを挟む
クレイ 「断る……と言いたいところだが、二人に訊いてみろ。俺は仲間の意志を尊重しているんでな」

ルル 「いいにゃ。少し遊んでくるにゃ」
リリ 「今度はラルクに勝てるよう練習するにゃ」

クレイ 「身体強化も全部使っていいぞ。ちゃちゃっと片付けてこい」

ルルとリリを二人だけで行かせ、クレイはダンジョンで狩った獲物を査定に出す作業を一人で続行である。

サイモン 「行かなくていいのか?」

クレイ 「二人なら大丈夫だよ。何も心配はしてない」






ツトゾとルル・リリはギルドの訓練場に移動した。

ツトゾは長剣の木剣、ルルは素手、リリは短剣の木剣を取り、模擬戦の開始である。

調子に乗って二人同時に相手してやると息巻いたツトゾであったが…

…結局、猫娘相手にまったく歯が立たず、ボコボコにされてしまった。

ツトゾ 「ちょ…まて…二人がかりで卑きょぐぼっ!」

ルル 「二人同時に相手するって言ったのは自分にゃ」

リリ 「そもそも最初から一度も二人同時には攻撃してないにゃ」

ルル 「一人ずつやっても相手にならないにゃ」

そもそもツトゾは、素の状態の猫娘達にも勝てる実力はなかった。にも関わらず、猫娘達が【思考加速】【動作加速】【身体強化】の魔導具を発動した状態なのだから、まるで歯が立たないのである。

(※奴隷達に装備させている身体強化の魔導具の【加速】の効果ははマックス三倍程度に抑えてある。クレイはリルディオンからの魔力供給を受けられるが、奴隷達は自身の魔力を使うのであまり効果を上げすぎるとすぐに魔力切れになってしまうためである。)

ルル 「まいったかにゃ?」
リリ 「もう終わりかにゃ?」

ツトゾ 「……参リマシタ……」

殴られても打たれてもなんとか戦いを続け、あわよくば逆転を狙おうとしていたツトゾ。周囲の野次馬ギャラリー達からも罵声が飛ぶので、そう簡単に負けを認めるわけにはいかなかったのである。だが、身体は青痣だらけになり、ついに倒れて動けなくなり、負けを認めるしかなかったのであった。

ボロ雑巾状態になったツトゾは、一応、サイモンが認めた模擬戦ということで、ギルドに用意してあった回復薬ポーションで怪我は回復させてもらえたのだが。

ランク認定基準を見直すと言っていたサイモンも、さすがにいきなり降格処分とはしなかった。ここから奮起して実力をつけてくれればというサイモンの親心であったのだが…

ツトゾ 「チクショウ…このままでは済まさねぇぞ……」

…どうやらツトゾは懲りていないようであった。



  * * * *



ギルドの買取カウンターでダンジョンで狩った獲物モンスターの査定依頼を出し、クレイは模擬戦を終えたルル・リリと合流し、帰路についた。

(※ガルム組は買い出しに向かわせている。)

帰るのはクレイの家である。今はルルとリリも今はクレイの家に一緒に住んでいるのだ。

ガルム組はクランベースの周辺にいくつかに分かれて部屋を借りて住んでおり、結局ベースには誰も住んでいない。

ベースの整備リフォームが終わった後、クレイはルルとリリにベースに住まないかと尋ねたのだが……

ルル 「ん~…ベースはいいにゃ」

クレイ 「何故だ? 家賃が浮くぞ?」

リリ 「クランのベースにゃのだから、当然ガルム隊が出入りするにゃ。きっと落ち着かないですにゃ」

言われてみればそうかと思うクレイ。出入りするガルム組は全員むさ苦しい男性である。彼らが頻繁に出入りする場所に少女二人を場所に住まわせると―――奴隷なので自重するよう命じておけば問題は起きないだろうが―――確かに落ち着かないかとは思う。猫娘二人とガルム組もまだ付き合いは短く、打ち解けているというほどでもない。

ルル 「ルルはクレイと一緒に住みたいにゃ」
リリ 「リリもそれがいいにゃ」

クレイ 「それはそれで問題があるだろう?」

ルル 「別になんの問題もないにゃ。ルルとリリはクレイの奴隷にゃ。むしろ一緒に住んで世話をする方が自然にゃ」
リリ 「身の回りの世話や、ベッドの上のお世話もしっかりさせてもらうにゃ」

クレイ 「言ったろ、奴隷ではなく仲間として考えていると。お前達を性奴隷のように扱う気はないよ」

ルル 「ルルはクレイなら構わないにゃよ?」
リリ 「リリもですにゃ」

クレイ 「俺の家は狭いんだよ」

クレイ 「だが…そうだな、研究室だった部屋を空ければ住む事はできるか…」

研究や魔導具制作が必要な時は、資料が揃っているリルディオンで行うようになったので、研究室は不要になった。

ルル 「やったにゃ!」
リリ 「ご奉仕できるにゃ…」

クレイ 「…主として命ずる。俺を性的に誘惑するような行為は一切禁止だ」

ルル・リリ 「そんにゃぁ……」

そうしてルルとリリと一緒に住む事になったクレイ。

奴隷として命令に逆らえないので、特に色っぽい展開はなく、クレイの平穏も守られる。この世界は【クリーン】を使うので風呂やシャワーというものもほとんど普及していないため、偶然ラッキーエッチ的なアクシデントも起きようがないのであった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。

ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった 16歳の少年【カン】 しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ これで魔導まで極めているのだが 王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ 渋々それに付き合っていた… だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである ※タイトルは思い付かなかったので適当です ※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました 以降はあとがきに変更になります ※現在執筆に集中させて頂くべく 必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします ※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください

【完結】ざまぁされた王国の再建計画 ~聖女を追放したせいで崩壊寸前だけれど、今更もう遅い? いやいや、絶望するのはまだ早い!

戸部家尊
ファンタジー
ライランズ王国の聖女クララは王太子の婚約者であったが、侯爵令嬢の讒言により追放されてしまった。そのため、王都に張られていた『結界』は消滅し、魔物の大群が入り込んだ。混乱の中で民衆も蜂起し、国王を始め王族や主だった貴族は逃亡してしまう。 唯一取り残された第七王子のアレンは国王に即位すると、ジリ貧の状況を改善し、王国を再興していく。 「まあ見ていろ。絶望するのはまだ早い」 復興が進むと、逃亡した連中が戻って来るが「お前の席はもうねえから!」 ※小説家になろうにも投稿しています。

【完結】ガラクタゴミしか召喚出来ないへっぽこ聖女、ゴミを糧にする大精霊達とのんびりスローライフを送る〜追放した王族なんて知らんぷりです!〜

櫛田こころ
ファンタジー
お前なんか、ガラクタ当然だ。 はじめの頃は……依頼者の望み通りのものを召喚出来た、召喚魔法を得意とする聖女・ミラジェーンは……ついに王族から追放を命じられた。 役立たずの聖女の代わりなど、いくらでもいると。 ミラジェーンの召喚魔法では、いつからか依頼の品どころか本当にガラクタもだが『ゴミ』しか召喚出来なくなってしまった。 なので、大人しく城から立ち去る時に……一匹の精霊と出会った。餌を与えようにも、相変わらずゴミしか召喚出来ずに泣いてしまうと……その精霊は、なんとゴミを『食べて』しまった。 美味しい美味しいと絶賛してくれた精霊は……ただの精霊ではなく、精霊王に次ぐ強力な大精霊だとわかり。ミラジェーンを精霊の里に来て欲しいと頼んできたのだ。 追放された聖女の召喚魔法は、実は精霊達には美味しい美味しいご飯だとわかり、のんびり楽しく過ごしていくスローライフストーリーを目指します!!

平凡すぎる、と追放された俺。実は大量スキル獲得可のチート能力『無限変化』の使い手でした。俺が抜けてパーティが瓦解したから今更戻れ?お断りです

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
★ファンタジーカップ参加作品です。  応援していただけたら執筆の励みになります。 《俺、貸します!》 これはパーティーを追放された男が、その実力で上り詰め、唯一無二の『レンタル冒険者』として無双を極める話である。(新形式のざまぁもあるよ) ここから、直接ざまぁに入ります。スカッとしたい方は是非! 「君みたいな平均的な冒険者は不要だ」 この一言で、パーティーリーダーに追放を言い渡されたヨシュア。 しかしその実、彼は平均を装っていただけだった。 レベル35と見せかけているが、本当は350。 水属性魔法しか使えないと見せかけ、全属性魔法使い。 あまりに圧倒的な実力があったため、パーティーの中での力量バランスを考え、あえて影からのサポートに徹していたのだ。 それどころか攻撃力・防御力、メンバー関係の調整まで全て、彼が一手に担っていた。 リーダーのあまりに不足している実力を、ヨシュアのサポートにより埋めてきたのである。 その事実を伝えるも、リーダーには取り合ってもらえず。 あえなく、追放されてしまう。 しかし、それにより制限の消えたヨシュア。 一人で無双をしていたところ、その実力を美少女魔導士に見抜かれ、『レンタル冒険者』としてスカウトされる。 その内容は、パーティーや個人などに借りられていき、場面に応じた役割を果たすというものだった。 まさに、ヨシュアにとっての天職であった。 自分を正当に認めてくれ、力を発揮できる環境だ。 生まれつき与えられていたギフト【無限変化】による全武器、全スキルへの適性を活かして、様々な場所や状況に完璧な適応を見せるヨシュア。 目立ちたくないという思いとは裏腹に、引っ張りだこ。 元パーティーメンバーも彼のもとに帰ってきたいと言うなど、美少女たちに溺愛される。 そうしつつ、かつて前例のない、『レンタル』無双を開始するのであった。 一方、ヨシュアを追放したパーティーリーダーはと言えば、クエストの失敗、メンバーの離脱など、どんどん破滅へと追い込まれていく。 ヨシュアのスーパーサポートに頼りきっていたこと、その真の強さに気づき、戻ってこいと声をかけるが……。 そのときには、もう遅いのであった。

王太子に婚約破棄されたので、ぶった斬りました!何を?!出来損ない令嬢の波乱万丈恋愛物語

古里@10/25シーモア発売『王子に婚約
恋愛
「貴様との婚約を破棄する!」学園の卒業パーティーにて皆の前で私は王太子に婚約破棄されてしまった。いくら私が出来損ないと言われているからといってそんな!普通は泣き叫ぶか、許してくれと懇願するかそんなところだと思うのだが、「ヤッターーーー。バンザーイ」私は喜びのあまり飛び上がっていた・・・・だってこの王太子、良いのは顔だけ。いろんな女にうつつを抜かす超遊び人なのだ。しかし、悪巧みを働く力はあるみたいで、あろうことか私を修道院に送る途中で襲わせて慰み者にしようと企んでいたみたいで、ほう、私に対してそのようなことをしようとするとは・・・・。私自身、剣は兄に相手にされず、魔術は姉の足元にも及ばない、辺境伯の出来損ないなのだ。でも、我が武の名門辺境伯の令嬢として、受けた辱めは相手をぶった斬って晴らします!出来損ないの私に出来るのかですって? そんなのやって見ないと判らないじゃない! 南国と国が共同して我が領地に攻めてきたり、帝国皇子がやってきて纏わり付いたりもう大変。でも諦めずに前に向いてがんばります。 HOT女性向けランキング第一位獲得 なろう、カクヨム連載中です

魅了の対価

しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。 彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。 ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。 アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。 淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。

親友に彼女を寝取られて死のうとしてたら、異世界の森に飛ばされました。~集団転移からはぐれたけど、最高のエルフ嫁が出来たので平気です~

くろの
ファンタジー
毎日更新! 葛西鷗外(かさい おうがい)20歳。 職業 : 引きこもりニート。 親友に彼女を寝取られ、絶賛死に場所探し中の彼は突然深い森の中で目覚める。 異常な状況過ぎて、なんだ夢かと意気揚々とサバイバルを満喫する主人公。 しかもそこは魔法のある異世界で、更に大興奮で魔法を使いまくる。 だが、段々と本当に異世界に来てしまった事を自覚し青ざめる。 そんな時、突然全裸エルフの美少女と出会い―― 果たして死にたがりの彼は救われるのか。森に転移してしまったのは彼だけなのか。 サバイバル、魔法無双、復讐、甘々のヒロインと、要素だけはてんこ盛りの作品です。

処理中です...