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第一部 転生編
第37話 戦うメイドさんと執事
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パンハヤと分かれて屋敷の奥に侵入した別働隊であるが、廊下でバッタリとメイドに鉢合わせしてしまった。クレイが赤ん坊の頃から世話をしてくれていたメイドのハンナである。
ハンナ 「何者?!」
侵入者A 「ちっ、なんでこんな夜中にウロウロしてやがる!」
剣を抜きハンナに襲いかかってくる侵入者A。
ハンナ 「強盗?!」
とっさに持っていたトレイを侵入者に投げつけるハンナ。クレイが今夜は徹夜すると言うので、ハンナは夜食をクレイに届けようとしていたのだ。
良い判断であった。侵入者Aは放り投げられたトレイと食器を剣で払い除けるが、その一瞬の間隙のおかげでポケットから武器を取り出す時間が稼げたのだ。
トレイを叩き斬った侵入者Aはすぐに剣を振り上げハンナに襲いかかってきたが、その瞬間にはハンナの手の中にあった小型魔導拳銃からパンと発砲音がしていた。
この魔導銃も、クレイが残していった初期の頃の試作品の一つである。幼い頃から世話になっていたハンナに護身用にとクレイが渡していたのだ。ハンナはそれをお守り代わりにいつも身につけていた。
初期の試作品なので今ほどの破壊力はないのだが、相手も飛び抜けて魔力が豊富というわけではなかったため、ストッピングパワーとしては十分であった。
胴体に弾丸を受け、激しい衝撃で侵入者は後方に吹き飛ばされた。致命傷ではないがかなりのダメージがあったようで、侵入者Aはうめき声をあげてうずくまり動けなくなった。
侵入者B 「なんだ!? 魔法?!」
ハンナがもう一人の侵入者Bに銃口を向けるが、Bは仲間を置いて脱兎のごとく逃げ出してしまった。逃げる男を背後からハンナが撃つが、距離が遠くなり弾は外れてしまった。
銃声を聞いたクレイが奥の部屋から飛び出してくる。
クレイ 「どうした?! …ハンナ?」
ハンナ 「坊ちゃま、侵入者です!」
クレイが即座に銃を構え、倒れている男に向ける。男は倒れているものの、まだ意識はあって動けるようだ。油断すれば反撃を食う可能性がある。
クレイ 「動くな。これはハンナが使った銃とは違う、動けば即死ぬ事になるぞ?
…ハンナ、警備の人間を呼んできてくれ」
男が弱々しく手をあげ抵抗する気がない事を態度で示したので、クレイは銃を片手で持ち、空いた片手でもう一丁、マジックポーチから銃を取り出した。こちらは殺傷力のない、相手を捕獲するための銃である。(発射するとネットが飛び出し相手に絡みついて動きを止める。)
二丁の拳銃を構えながら適度な距離を保ちつつ、クレイは警備の騎士達が来るのを待つ事にした。
・
・
・
侵入者B 「くそう、だから貴族の屋敷を襲うのは嫌だって言ったんだ。メイドですら強力な魔法を使いやがる…」
一方、逃げた男は正面玄関へと向かった。そこにはパンハヤが居る。パンハヤならば貴族相手であっても勝てる。以前にも男爵家を襲うよう命じられた事があったのだが、その時、パンハヤ一人で屋敷の人間を皆殺しにしてしまったのだ。こうなったら今回もパンハヤに屋敷の人間を殲滅してもらうしかない。
・
・
・
玄関ホールではパンハヤとセバスが対峙していた。既にアレスはパンハヤの次撃によって戦闘不能に陥っている。
パンハヤ 「護衛の騎士より執事のほうが強いってどういう事だよ」
セバスは男爵家の出身である。それも武闘派として名高い家の出身であったのだ。平民や弱小貴族出身者が多い護衛の騎士よりも魔力量は多かったのである。
パンハヤ 「面白い、魔力比べと行くか?」
パンハヤが再び呪文詠唱に入る。即座に反応したセバスも呪文を唱える。
この世界(この時代)は、皆同じ呪文を唱え、発動する魔法も同じである。先に呪文詠唱を始めたほうが魔法の発動は先になる。だが、パンハヤが放った火球に一瞬遅れたもののセバスの火球も間に合い、二人の間でぶつかりあった。
呪文も同じ、発動する魔法もまったく同じ。そして魔法の強さは術者の魔力量に比例する事となる。
二人の間で火球がぶつかり合い、拮抗している。
必死で魔力を込めるセバス。
だが、徐々に押されている。
どうやらパンハヤのほうが魔力はやや上のようである。
このままでは押し切られてしまうだろう。
だが、セバスはポケットから魔導拳銃を取り出し、火球に向かって撃った。
魔導銃から発射される弾丸は魔法ではなく物理的なモノである。
弾丸はぶつかりあう火球の中を抜け、パンハヤの身体に当たった。火球の中から突然出てきた弾丸に、パンハヤもさすがに反応できなかったのである。
パンハヤ 「なんだ?! 礫!?」
弾丸はパンハヤの身体の防御を破る事はできなかったが、それでもかなりの衝撃があったようで、パンハヤの火球の魔力が弱まる。そこを一気にセバスの火球が押し切った。
セバスの火球がパンハヤを襲う。だが、パンハヤの火球によって相殺されて威力はそれほど大きくはなく、パンハヤを怯ませる程度でしかなかった。
パンハヤ 「なんだ、それは? 魔力勝負にちゃちな飛び道具を使うとか、卑怯者かよ。正々堂々と自分の魔力で勝負しろよ」
セバス 「強盗にそのような事を言われる筋合いはありませんな」
セバスがさらに魔導銃を連射した。
ハンナ 「何者?!」
侵入者A 「ちっ、なんでこんな夜中にウロウロしてやがる!」
剣を抜きハンナに襲いかかってくる侵入者A。
ハンナ 「強盗?!」
とっさに持っていたトレイを侵入者に投げつけるハンナ。クレイが今夜は徹夜すると言うので、ハンナは夜食をクレイに届けようとしていたのだ。
良い判断であった。侵入者Aは放り投げられたトレイと食器を剣で払い除けるが、その一瞬の間隙のおかげでポケットから武器を取り出す時間が稼げたのだ。
トレイを叩き斬った侵入者Aはすぐに剣を振り上げハンナに襲いかかってきたが、その瞬間にはハンナの手の中にあった小型魔導拳銃からパンと発砲音がしていた。
この魔導銃も、クレイが残していった初期の頃の試作品の一つである。幼い頃から世話になっていたハンナに護身用にとクレイが渡していたのだ。ハンナはそれをお守り代わりにいつも身につけていた。
初期の試作品なので今ほどの破壊力はないのだが、相手も飛び抜けて魔力が豊富というわけではなかったため、ストッピングパワーとしては十分であった。
胴体に弾丸を受け、激しい衝撃で侵入者は後方に吹き飛ばされた。致命傷ではないがかなりのダメージがあったようで、侵入者Aはうめき声をあげてうずくまり動けなくなった。
侵入者B 「なんだ!? 魔法?!」
ハンナがもう一人の侵入者Bに銃口を向けるが、Bは仲間を置いて脱兎のごとく逃げ出してしまった。逃げる男を背後からハンナが撃つが、距離が遠くなり弾は外れてしまった。
銃声を聞いたクレイが奥の部屋から飛び出してくる。
クレイ 「どうした?! …ハンナ?」
ハンナ 「坊ちゃま、侵入者です!」
クレイが即座に銃を構え、倒れている男に向ける。男は倒れているものの、まだ意識はあって動けるようだ。油断すれば反撃を食う可能性がある。
クレイ 「動くな。これはハンナが使った銃とは違う、動けば即死ぬ事になるぞ?
…ハンナ、警備の人間を呼んできてくれ」
男が弱々しく手をあげ抵抗する気がない事を態度で示したので、クレイは銃を片手で持ち、空いた片手でもう一丁、マジックポーチから銃を取り出した。こちらは殺傷力のない、相手を捕獲するための銃である。(発射するとネットが飛び出し相手に絡みついて動きを止める。)
二丁の拳銃を構えながら適度な距離を保ちつつ、クレイは警備の騎士達が来るのを待つ事にした。
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侵入者B 「くそう、だから貴族の屋敷を襲うのは嫌だって言ったんだ。メイドですら強力な魔法を使いやがる…」
一方、逃げた男は正面玄関へと向かった。そこにはパンハヤが居る。パンハヤならば貴族相手であっても勝てる。以前にも男爵家を襲うよう命じられた事があったのだが、その時、パンハヤ一人で屋敷の人間を皆殺しにしてしまったのだ。こうなったら今回もパンハヤに屋敷の人間を殲滅してもらうしかない。
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パンハヤ 「面白い、魔力比べと行くか?」
パンハヤが再び呪文詠唱に入る。即座に反応したセバスも呪文を唱える。
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呪文も同じ、発動する魔法もまったく同じ。そして魔法の強さは術者の魔力量に比例する事となる。
二人の間で火球がぶつかり合い、拮抗している。
必死で魔力を込めるセバス。
だが、徐々に押されている。
どうやらパンハヤのほうが魔力はやや上のようである。
このままでは押し切られてしまうだろう。
だが、セバスはポケットから魔導拳銃を取り出し、火球に向かって撃った。
魔導銃から発射される弾丸は魔法ではなく物理的なモノである。
弾丸はぶつかりあう火球の中を抜け、パンハヤの身体に当たった。火球の中から突然出てきた弾丸に、パンハヤもさすがに反応できなかったのである。
パンハヤ 「なんだ?! 礫!?」
弾丸はパンハヤの身体の防御を破る事はできなかったが、それでもかなりの衝撃があったようで、パンハヤの火球の魔力が弱まる。そこを一気にセバスの火球が押し切った。
セバスの火球がパンハヤを襲う。だが、パンハヤの火球によって相殺されて威力はそれほど大きくはなく、パンハヤを怯ませる程度でしかなかった。
パンハヤ 「なんだ、それは? 魔力勝負にちゃちな飛び道具を使うとか、卑怯者かよ。正々堂々と自分の魔力で勝負しろよ」
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