115 / 115
第六章 ミト
第115話 モニカの後悔、それぞれの旅立ち
しおりを挟む
コジローと離婚れたモニカ。
自らの愚かな行為が招いた結果であり、あの時はコジローの事などそれほど重要だとは感じていなかったのであるが……
…全てが終わった後、時間が経つほどに、コジローへの思いが募っていくのをモニカは痛感していた。
今更遅いが、コジローと過ごした時間は、モニカにとっても人生で一番楽しい時間であった、振り返ってみればそう思うのであった。
最初はごく親しい友達程度にしか思っていなかったのは事実である。だが、一緒に過ごした時間が長いほど「情」は湧いてくるものである。
コジローに対する思いは、最初は「恋」ではなかったのは間違いない。だが、情が、やがて、別れた後になって、コジローを慕う気持ちとなり、恋心になるのに時間は掛からなかったのであった。皮肉にも別れた後になって、モニカはコジローに恋するようになったのであった。。。
モニカは、コジローに謝ろうと決心していた。
もちろん、コジローとやり直せるとは思っていなかったが。せめて、良き友人に戻れないか、そのために必死で努力しようと考えていたのである。
良き友達に、いずれは親友に、そしていつかはまた……
そう決心してからしばらくして、ある時、アルテミルの街の近くでモニカはコジローを見かけた。
思わず嬉しくなって声をかけようとしたのだが……
コジローの傍に一人の女性が立って居たのである。珍しい黒髪で、東洋的な顔をしている美しい女性であった。
(この世界では黒髪は珍しい。ただし、少ないだけで居ないわけではない。コジローの髪が黒いのは、ゼフトが転生前に合わせただけなのだが、モニカが黒髪なのは、黒髪だった祖父からの遺伝であった。子供の頃は金髪が良かったと思っていたモニカであったが、コジローが黒髪が好きだと以前言っていたので、今となっては良かったと思っていたのだが……)
親しげに黒髪の女性と話しながら歩いていくコジロー。妙に楽しそうに見える。
そしてなんと、その後その女性は、コジローの家に寝泊まりするようになったのである。(孤児院が完成するまでの間、ミトがコジローの家に押しかけた形であった。)
モニカはコジローに対して、裏切られたという思いも湧いてしまうのであったが、そもそも先に裏切ったのはモニカである。離婚した以上、こうなっても、自分には何も言う権利がないのは理解していた。
ただ、村の中で、コジローと仲良さそうに話しているミトの様子様子を見るのが辛かった。
本当は、コジローに謝り、友達として仲良くすればよかったのであるが、今コジローと話せば、おそらく涙しか出てこない。
泣いて縋るような真似は、コジローにとって迷惑なだけであろう。コジローが別の女性と幸せになろうとしているのなら、それを邪魔しないのが、せめてもの自分の償いであると思い、モニカは身を引く決心をしたのである。
やがて、マドネリ村に孤児院が完成し、ミトが子供たちと住むようになった頃には、村にモニカの姿はなくなっていた。
モニカは、再びコジローと良き友人として付き合うことができる日が来る事を目指して、心の整理をつけるために旅出ったのであった。
+ + + + +
コジローは、シーラとマルスを助けるため、バネダス共和国に入っていた。
とはいえ、政治的にコジローに何かする事があるわけでなく、ただ、護衛として近くに居るだけであったが。
やがて、旧王政が復活し、シーラが戴冠、国が安定する頃には、コジローはもう王子・王女の傍に居る時間はほとんどなくなって居た。
王女と王子には、国から立派な護衛が何人もついている。彼らにしてみれば、王女・王子の恩人であると知っては居ても、他国の人間がいつまでも傍にいるのはあまり気持ちよく思ってはいないだろう事は、コジローも理解していた。
シーラとマルスは多忙を極め、もうコジローが二人と顔を合わす機会がない事も当たり前になっていたので、コジローは旅立つ事にした。
別れの挨拶もせずに姿を消せばマルスは怒るだろうが、別に今生の別れというわけでもない。今は忙しいだろうから、国が落ち着いたらまた遊びに来ると伝言をメイドに渡し、城を出たのであった。
旅に出たコジロー
コジローの異世界での人生の旅路は始まったばかりである。
第一部 完
+ + + + +
あとがき
これにてコジローの物語は一旦終了とさせて頂くことにしました。
続きを書きかけていました、読んだ方もいらっしゃったと思いますが、新しい作品のアイデアが思いつき、そちらを書き始めてしまったところ、こちらに手が回らなくなってしまいました。
同時に複数の作品を書き進める器用さがないようで、新しい作品に注力しております。
こちらの作品も、どれだけ先になっても、いずれ続きを書くつもりだったのですが。新しい作品を書いているうちに、作風が変わってきてしまった部分があり、続き(第二部)を書くにしても、一度仕切り直して新しい作品としたほうが良いと思いました。
私の人生初めての拙い作品をお読み頂きありがとうございました。
m(__)m
またいつか、コジローとマロの旅を書く、それは諦めてはおりません、その日まで、さようならコジロー、さようならマロ。
また会う日まで。
自らの愚かな行為が招いた結果であり、あの時はコジローの事などそれほど重要だとは感じていなかったのであるが……
…全てが終わった後、時間が経つほどに、コジローへの思いが募っていくのをモニカは痛感していた。
今更遅いが、コジローと過ごした時間は、モニカにとっても人生で一番楽しい時間であった、振り返ってみればそう思うのであった。
最初はごく親しい友達程度にしか思っていなかったのは事実である。だが、一緒に過ごした時間が長いほど「情」は湧いてくるものである。
コジローに対する思いは、最初は「恋」ではなかったのは間違いない。だが、情が、やがて、別れた後になって、コジローを慕う気持ちとなり、恋心になるのに時間は掛からなかったのであった。皮肉にも別れた後になって、モニカはコジローに恋するようになったのであった。。。
モニカは、コジローに謝ろうと決心していた。
もちろん、コジローとやり直せるとは思っていなかったが。せめて、良き友人に戻れないか、そのために必死で努力しようと考えていたのである。
良き友達に、いずれは親友に、そしていつかはまた……
そう決心してからしばらくして、ある時、アルテミルの街の近くでモニカはコジローを見かけた。
思わず嬉しくなって声をかけようとしたのだが……
コジローの傍に一人の女性が立って居たのである。珍しい黒髪で、東洋的な顔をしている美しい女性であった。
(この世界では黒髪は珍しい。ただし、少ないだけで居ないわけではない。コジローの髪が黒いのは、ゼフトが転生前に合わせただけなのだが、モニカが黒髪なのは、黒髪だった祖父からの遺伝であった。子供の頃は金髪が良かったと思っていたモニカであったが、コジローが黒髪が好きだと以前言っていたので、今となっては良かったと思っていたのだが……)
親しげに黒髪の女性と話しながら歩いていくコジロー。妙に楽しそうに見える。
そしてなんと、その後その女性は、コジローの家に寝泊まりするようになったのである。(孤児院が完成するまでの間、ミトがコジローの家に押しかけた形であった。)
モニカはコジローに対して、裏切られたという思いも湧いてしまうのであったが、そもそも先に裏切ったのはモニカである。離婚した以上、こうなっても、自分には何も言う権利がないのは理解していた。
ただ、村の中で、コジローと仲良さそうに話しているミトの様子様子を見るのが辛かった。
本当は、コジローに謝り、友達として仲良くすればよかったのであるが、今コジローと話せば、おそらく涙しか出てこない。
泣いて縋るような真似は、コジローにとって迷惑なだけであろう。コジローが別の女性と幸せになろうとしているのなら、それを邪魔しないのが、せめてもの自分の償いであると思い、モニカは身を引く決心をしたのである。
やがて、マドネリ村に孤児院が完成し、ミトが子供たちと住むようになった頃には、村にモニカの姿はなくなっていた。
モニカは、再びコジローと良き友人として付き合うことができる日が来る事を目指して、心の整理をつけるために旅出ったのであった。
+ + + + +
コジローは、シーラとマルスを助けるため、バネダス共和国に入っていた。
とはいえ、政治的にコジローに何かする事があるわけでなく、ただ、護衛として近くに居るだけであったが。
やがて、旧王政が復活し、シーラが戴冠、国が安定する頃には、コジローはもう王子・王女の傍に居る時間はほとんどなくなって居た。
王女と王子には、国から立派な護衛が何人もついている。彼らにしてみれば、王女・王子の恩人であると知っては居ても、他国の人間がいつまでも傍にいるのはあまり気持ちよく思ってはいないだろう事は、コジローも理解していた。
シーラとマルスは多忙を極め、もうコジローが二人と顔を合わす機会がない事も当たり前になっていたので、コジローは旅立つ事にした。
別れの挨拶もせずに姿を消せばマルスは怒るだろうが、別に今生の別れというわけでもない。今は忙しいだろうから、国が落ち着いたらまた遊びに来ると伝言をメイドに渡し、城を出たのであった。
旅に出たコジロー
コジローの異世界での人生の旅路は始まったばかりである。
第一部 完
+ + + + +
あとがき
これにてコジローの物語は一旦終了とさせて頂くことにしました。
続きを書きかけていました、読んだ方もいらっしゃったと思いますが、新しい作品のアイデアが思いつき、そちらを書き始めてしまったところ、こちらに手が回らなくなってしまいました。
同時に複数の作品を書き進める器用さがないようで、新しい作品に注力しております。
こちらの作品も、どれだけ先になっても、いずれ続きを書くつもりだったのですが。新しい作品を書いているうちに、作風が変わってきてしまった部分があり、続き(第二部)を書くにしても、一度仕切り直して新しい作品としたほうが良いと思いました。
私の人生初めての拙い作品をお読み頂きありがとうございました。
m(__)m
またいつか、コジローとマロの旅を書く、それは諦めてはおりません、その日まで、さようならコジロー、さようならマロ。
また会う日まで。
0
お気に入りに追加
239
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(8件)
あなたにおすすめの小説
私のスローライフはどこに消えた?? 神様に異世界に勝手に連れて来られてたけど途中攫われてからがめんどくさっ!
魔悠璃
ファンタジー
タイトル変更しました。
なんか旅のお供が増え・・・。
一人でゆっくりと若返った身体で楽しく暮らそうとしていたのに・・・。
どんどん違う方向へ行っている主人公ユキヤ。
R県R市のR大学病院の個室
ベットの年配の女性はたくさんの管に繋がれて酸素吸入もされている。
ピッピッとなるのは機械音とすすり泣く声
私:[苦しい・・・息が出来ない・・・]
息子A「おふくろ頑張れ・・・」
息子B「おばあちゃん・・・」
息子B嫁「おばあちゃん・・お義母さんっ・・・」
孫3人「いやだぁ~」「おばぁ☆☆☆彡っぐ・・・」「おばあちゃ~ん泣」
ピーーーーー
医師「午後14時23分ご臨終です。」
私:[これでやっと楽になれる・・・。]
私:桐原悠稀椰64歳の生涯が終わってゆっくりと永遠の眠りにつけるはず?だったのに・・・!!
なぜか異世界の女神様に召喚されたのに、
なぜか攫われて・・・
色々な面倒に巻き込まれたり、巻き込んだり
事の発端は・・・お前だ!駄女神めぇ~!!!!
R15は保険です。
喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜
田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。
謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった!
異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?
地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。
冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。
生活魔法しか使えない少年、浄化(クリーン)を極めて無双します(仮)(習作3)
田中寿郎
ファンタジー
壁しか見えない街(城郭都市)の中は嫌いだ。孤児院でイジメに遭い、無実の罪を着せられた幼い少年は、街を抜け出し、一人森の中で生きる事を選んだ。武器は生活魔法の浄化(クリーン)と乾燥(ドライ)。浄化と乾燥だけでも極めれば結構役に立ちますよ?
コメントはたまに気まぐれに返す事がありますが、全レスは致しません。悪しからずご了承願います。
(あと、敬語が使えない呪いに掛かっているので言葉遣いに粗いところがあってもご容赦をw)
台本風(セリフの前に名前が入る)です、これに関しては助言は無用です、そういうスタイルだと思ってあきらめてください。
読みにくい、面白くないという方は、フォローを外してそっ閉じをお願いします。
(カクヨムにも投稿しております)
錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。
いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成!
この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。
戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。
これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。
彼の行く先は天国か?それとも...?
誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。
小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中!
現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。
神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく
霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。
だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。
どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。
でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!
魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”
どたぬき
ファンタジー
ある日乗っていた飛行機が事故にあり、死んだはずの井原は名もない世界に神によって召喚された。現代を生きていた井原は、そこで神に”ダンジョンマスター”になって欲しいと懇願された。自身も建物を建てたい思いもあり、二つ返事で頷いた…。そんなダンジョンマスターの”はじまお”本編とは全くテイストの違う”普通のダンジョンマスター物”です。タグは書いていくうちに足していきます。
なろうさんに、これの本編である”はじまりのまおう”があります。そちらも一緒にご覧ください。こちらもあちらも、一日一話を目標に書いています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
最近のまとめ。
変なことになってたけどスキルの条件開放には良かったのかも知れない。
あと、減速は育ってなかった……。
まあ、あまり使わないみたいだしなー。
……もはや転移バレは確定だと思うけど、壁抜けでごまかせるだろうか……。
というより、転移キャンセルで千里眼効果が多少出てきたね(行き先確認ができる)。
感想頭に話数でも書けば良いだけだし。
指定無しの感想はたいてい最新話。
システム的なやつの注文なら、アプリに表紙拡大が付いてないのが最大よなー。
名刺バリヤはパンチにも付与されますかっ!?
丁重にな!
陰険口調で丁重にな、頂きました!
とりあえず、ゆるざまぁの出番ですね。
(……ぽややんかますのかなぁ)
というより素手でもやれるように訓練したほうが良いですね。
斬は無理でも次元殴りくらいは出来た方がいいてすねー。
まあ、加速も成長したし、敵の減速も成長したんだろうけど。
いつもコメントありがとうございます。アルファポリスの仕様で、どの話に対するコメントなのかが分からないため、返信が難しい面があったりしますが、今後ともよろしくお願いします。(運営に問い合わせてみたのですが、現状では分からない仕様だそうです。)