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第四章 マドネリ村
第84話 村創立→早速トラブル襲来1
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コジローはモニカと一緒に料理の開発や店の手伝いをしており、そのおかげで二人の距離はかなり縮まっていた。だが、その関係は恋人のそれではなく親友のようであった。
コジローは最初からモニカに惹かれていたが、モニカのほうは―――コジローを嫌っているという事はない、むしろ好感を持っていたが―――それはあくまで「友人」としてであり、恋には至っていなかったのである。
だが、モニカのジョニーに対する態度は、明らかにコジローに対するそれとは違っていた。
・・・モニカは面食いだったのである。
十人並みの平凡な顔立ちでしかなコジローには成すすべもなかった。日本に居た頃も、極端に悪くはなかったが、至って平凡な顔立ちでしかなかったコジローは、女にモテた事はなく、恋の駆け引きなど経験皆無であり、指を咥えて見ているしかなかったのである。
そんな時、一人の少年が従業員として雇って欲しいと尋ねてきた。少年は事情があって家族を亡くし天涯孤独になってしまい、苦労していたのだと言う。少年は、従業員寮があると聞いて応募してきたのである。
少年はマルスと名乗った。まだ十歳程度であったが、この世界では子供が働いているのは珍しくもなかった。
この世界には学校というものはない。いや、貴族や金持ちの子供などが通う学校はあるのだが、庶民の子供は学校には行かず、幼い頃から親を手伝って働いているというもの珍しい話ではなかったのである。
既に従業員は十分な数が雇用されていたのであるが、事情を聞いたマドリーとネリーは同情し、少年を雇うことになった。
この少年、ネリーにとって印象的だったのは、言葉遣いや物腰から、かなり教養がある様子が伺えた事であった。おそらく、両親が生きている時はかなり裕福で高等な教育を受けたのであろう。
それが、なぜ一人で生きていく事になったのか?
しかし、そこは誰も深くは追求しない。
この世界ではよくある事なのである。常に魔物と戦い続けなければならない世界である、人も簡単に死んでいく。皆、悲しい事情を背負って頑張って生きている。いちいち詮索しないのはマナーのようなものであった。
だが、この少年にコジローは見覚えがあった。いつぞや、アルテミルの市場で弟子にして欲しいとコジローに声を掛けてきた少年だったのである。
少年はコジローの姿を発見して目を輝かせていた。
「弟子にはしないよ!」
早速、弟子入りを申し出ようした少年の機先を制してコジローが断る。
マルス:「なぜですか?!」
コジロー:「教えられる事が何もないからだよ。俺は剣聖などではない、剣術は苦手なただの魔法使い見習いなんだよ。大体、俺は短剣しか持ってないだろ?」
マルス:「数々のご活躍の話を耳にしておりますが。」
コジロー:「噂というのは大げさになるものなんだよ」
コジローは魔法の補助とゼフトの道具で多少の活躍はできていたが、それはコジロー自身の力ではない。剣技については、コジローに人に教えられるような実力はない、むしろ、コジローが教えてほしいくらいなのだ。
コジロー:「俺はテイマーでもある。噂の元になった活躍の話は、従魔がやったことであって俺がやったことではないんだよ。」
そう言って、コジローは傍に居たマロを撫でた。少年もマロを見たが、納得できないのか無言であった。とりあえず、コジローが一切拒否したので、その場は終わったのであった。
――――――――――――
村に空き家が建つと、噂を聞いて(意外にも)入居希望者が何人か来るようになった。
どうするか話し合ったが、とりあえず、村長が面接して入居の許可を出すべき、と言う事になった。
だが、そのためには村長を選ばなければならない・・・
コジローが任命されそうになったが、コジローはあくまで冒険者の立場を主張した。冒険者であれば村を留守にする事が多いので、村長はできないと固辞したのである。
結局、マドリーが村長ということで落ち着いた。
ちなみに、村の名前は暫定で「マドネリ村」になった。
もっと良い案があれば変えるという話であったのだが、代替案が出ることもなくそのまま固定されてしまう事になる。
そして、新しい村ができたという噂が広まると、予想通り、トラブルがやってきた。
マドリー&ネリーの家に、数人の風体の悪い男たちが予約なしでやってきて騒ぎ始めたのである。
「へへへボス、なかなか良さそうな村じゃないですかい?」
村に入り様子を見渡していた男達の中で下っ端風の男がリーダー格の男に言った。
ボスと言われた髭面の厳しい顔の男は、フンと満足げに鼻をならす。
男たちは、アジトを追われ流れてきた盗賊であった。人里離れた山中に新しい村ができたという噂を聞き、乗っ取って自分たちのアジトにしてしまおうと考えたのである。
村の中の目ぼしい建物は、マドリー&ネリーの家とその別館、そして寮がある。それ以外は小さな家が建ち並んでいるだけである。
男たちはマドリー&ネリーの家の食堂に入り、空いていた席にどっかと座り込んだのである。
飯を食わせろと大声で騒ぐと男たちに、マドリーが出てきて対応した。
マドリー:「悪いが、席は予約で一杯なんだ。食事がしたいなら予約をとって来てくれるか?」
手下1:「ああ?!席開いてるじゃねぇか!」
マドリー:「そこももうすぐ客が来るんでな。どうしてもというなら、席が空くまで外で待っててくれるか。予約はいっぱいなので、かなり待つことになるだろうが。」
手下2:「予約~?!じゃぁ予約取らせてもらうよ、5人、今からな!!はいおっけ~!!」
マドリー:「・・・他の客に迷惑だ、出ていってもらおうか?」
マドリーも元冒険者である、それもランクはBだった。
Bランクというのは冒険者としては相当な凄腕である。おそらく盗賊5人程度は一人で倒せるであろう。
そのマドリーが静かに、だが殺気を込めて凄んだ事で、男たちは少し怯んだ。
ボスはそんなマドリーを見て「ほう」と呟いた。
ボス:「そうかい、悪かったな。」
と言ってボスは席を立った。
「ボス?!」
手下の男達は不満げだが、ボスに睨まれて渋々立ち上がった。
「きゃ!何?!」
声を上げたのはモニカである。
少し離れた場所で店内を眺めていた手下3が、料理を運んでいたモニカが近くを通りかかった時に尻を触ったのである。
コジローは最初からモニカに惹かれていたが、モニカのほうは―――コジローを嫌っているという事はない、むしろ好感を持っていたが―――それはあくまで「友人」としてであり、恋には至っていなかったのである。
だが、モニカのジョニーに対する態度は、明らかにコジローに対するそれとは違っていた。
・・・モニカは面食いだったのである。
十人並みの平凡な顔立ちでしかなコジローには成すすべもなかった。日本に居た頃も、極端に悪くはなかったが、至って平凡な顔立ちでしかなかったコジローは、女にモテた事はなく、恋の駆け引きなど経験皆無であり、指を咥えて見ているしかなかったのである。
そんな時、一人の少年が従業員として雇って欲しいと尋ねてきた。少年は事情があって家族を亡くし天涯孤独になってしまい、苦労していたのだと言う。少年は、従業員寮があると聞いて応募してきたのである。
少年はマルスと名乗った。まだ十歳程度であったが、この世界では子供が働いているのは珍しくもなかった。
この世界には学校というものはない。いや、貴族や金持ちの子供などが通う学校はあるのだが、庶民の子供は学校には行かず、幼い頃から親を手伝って働いているというもの珍しい話ではなかったのである。
既に従業員は十分な数が雇用されていたのであるが、事情を聞いたマドリーとネリーは同情し、少年を雇うことになった。
この少年、ネリーにとって印象的だったのは、言葉遣いや物腰から、かなり教養がある様子が伺えた事であった。おそらく、両親が生きている時はかなり裕福で高等な教育を受けたのであろう。
それが、なぜ一人で生きていく事になったのか?
しかし、そこは誰も深くは追求しない。
この世界ではよくある事なのである。常に魔物と戦い続けなければならない世界である、人も簡単に死んでいく。皆、悲しい事情を背負って頑張って生きている。いちいち詮索しないのはマナーのようなものであった。
だが、この少年にコジローは見覚えがあった。いつぞや、アルテミルの市場で弟子にして欲しいとコジローに声を掛けてきた少年だったのである。
少年はコジローの姿を発見して目を輝かせていた。
「弟子にはしないよ!」
早速、弟子入りを申し出ようした少年の機先を制してコジローが断る。
マルス:「なぜですか?!」
コジロー:「教えられる事が何もないからだよ。俺は剣聖などではない、剣術は苦手なただの魔法使い見習いなんだよ。大体、俺は短剣しか持ってないだろ?」
マルス:「数々のご活躍の話を耳にしておりますが。」
コジロー:「噂というのは大げさになるものなんだよ」
コジローは魔法の補助とゼフトの道具で多少の活躍はできていたが、それはコジロー自身の力ではない。剣技については、コジローに人に教えられるような実力はない、むしろ、コジローが教えてほしいくらいなのだ。
コジロー:「俺はテイマーでもある。噂の元になった活躍の話は、従魔がやったことであって俺がやったことではないんだよ。」
そう言って、コジローは傍に居たマロを撫でた。少年もマロを見たが、納得できないのか無言であった。とりあえず、コジローが一切拒否したので、その場は終わったのであった。
――――――――――――
村に空き家が建つと、噂を聞いて(意外にも)入居希望者が何人か来るようになった。
どうするか話し合ったが、とりあえず、村長が面接して入居の許可を出すべき、と言う事になった。
だが、そのためには村長を選ばなければならない・・・
コジローが任命されそうになったが、コジローはあくまで冒険者の立場を主張した。冒険者であれば村を留守にする事が多いので、村長はできないと固辞したのである。
結局、マドリーが村長ということで落ち着いた。
ちなみに、村の名前は暫定で「マドネリ村」になった。
もっと良い案があれば変えるという話であったのだが、代替案が出ることもなくそのまま固定されてしまう事になる。
そして、新しい村ができたという噂が広まると、予想通り、トラブルがやってきた。
マドリー&ネリーの家に、数人の風体の悪い男たちが予約なしでやってきて騒ぎ始めたのである。
「へへへボス、なかなか良さそうな村じゃないですかい?」
村に入り様子を見渡していた男達の中で下っ端風の男がリーダー格の男に言った。
ボスと言われた髭面の厳しい顔の男は、フンと満足げに鼻をならす。
男たちは、アジトを追われ流れてきた盗賊であった。人里離れた山中に新しい村ができたという噂を聞き、乗っ取って自分たちのアジトにしてしまおうと考えたのである。
村の中の目ぼしい建物は、マドリー&ネリーの家とその別館、そして寮がある。それ以外は小さな家が建ち並んでいるだけである。
男たちはマドリー&ネリーの家の食堂に入り、空いていた席にどっかと座り込んだのである。
飯を食わせろと大声で騒ぐと男たちに、マドリーが出てきて対応した。
マドリー:「悪いが、席は予約で一杯なんだ。食事がしたいなら予約をとって来てくれるか?」
手下1:「ああ?!席開いてるじゃねぇか!」
マドリー:「そこももうすぐ客が来るんでな。どうしてもというなら、席が空くまで外で待っててくれるか。予約はいっぱいなので、かなり待つことになるだろうが。」
手下2:「予約~?!じゃぁ予約取らせてもらうよ、5人、今からな!!はいおっけ~!!」
マドリー:「・・・他の客に迷惑だ、出ていってもらおうか?」
マドリーも元冒険者である、それもランクはBだった。
Bランクというのは冒険者としては相当な凄腕である。おそらく盗賊5人程度は一人で倒せるであろう。
そのマドリーが静かに、だが殺気を込めて凄んだ事で、男たちは少し怯んだ。
ボスはそんなマドリーを見て「ほう」と呟いた。
ボス:「そうかい、悪かったな。」
と言ってボスは席を立った。
「ボス?!」
手下の男達は不満げだが、ボスに睨まれて渋々立ち上がった。
「きゃ!何?!」
声を上げたのはモニカである。
少し離れた場所で店内を眺めていた手下3が、料理を運んでいたモニカが近くを通りかかった時に尻を触ったのである。
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