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第四章 マドネリ村

第72話 撃退2

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サイクロプスやギガンテスの体から採れる素材は、倒したコジローのものという事になるが、ネビルの街で解体と買取を行ってもらい、その金は街の復興費として寄付すると言ったのだが、それは無欲過ぎてかえって怪しまれるとリエに助言され、また、ネビルのギルドマスター・ヘデナも、魔物を退治してもらっただけで十分、何もお礼ができないと固辞されてしまったので、金だけ受け取ることにした。

ただ、サイクロプスもギガンテスも、1つ目の目玉が錬金術に使用できる非常に高い素材であったのだと知って、コジローは恰好つけて頭頂から真っ二つにしてしまった事を後悔したのであった。

魔物の頭部には使える素材が非常に多いので、頭はなるべく斬らないほうがいいと、初めて知ったのであった・・・。



金は、解体・買取が終了したらギルドの自分の口座に振り込んでくれるよう頼んでおいた。

実はギルドが銀行のような業務もしており、金を預かってくれるのでそれを利用している。

ただ、基本的にはコジローは、所持金の何割かはギルド銀行に預けているが、大半は現金(貨幣)でもらい、自分の収納魔法で持ち歩くようにしている。
ギルドカードを銀行のキャッシュカードのように使って、キャッシュレスで決済などもできるのであるが、ギルドで金が下ろせない(現金がギルドにない)とか、システム不具合でキャッシュレス決済が使えない、または、自分のギルドの口座が停止され理由できなくなるというケースを想像して不安があったからである。理由もなく貴族の命令で簡単に住民を逮捕・処刑ができてしまう世界である、やはり、何があるか分からないとコジローは考えていた。

コジローの収納魔法は、コジロー自身の時空間魔法によって生成されており、コジローにしか在り処が分からず、コジローにしか開閉できない。(もしかしたらゼフトならできるかも知れないが・・・)

マジックポーチなどの空間魔法が掛けられた収納袋に入れて持ち歩いている人は居るが、その場合はその袋を盗まれてしまうという可能性があるが、モノに依存しない空間魔法を使える人間は現状この世界にはほとんど存在しないので、そもそも金を持っている事が他人からは分からないのであった。

唯一問題があるとすれば、コジローが意識不明、または死亡したときに、そのままその金は亜空間に保管されたまま、誰にも知られずに忘れられてしまう事になるということだろうか。



その後、偵察隊によって持たされていた情報により、トロールの集落の追撃戦が行われたが、追撃隊が集落に到着したときには、すぐに白旗が掲げられ無抵抗の意志を示して来たため、戦闘は起きなかった。

なんと、トロールの集落の中には、先の戦闘でいち早く逃亡していたのだろう、トロールキングが隠れていた。

キングがいち早く逃亡するというのもどうなのかと思うが・・・

非常に拙い片言ではあるが、トロールキングは若干言葉が通じる。
捕らえて話を聞き出したところ、どうやら何者かにそそのかされ、サイクロプスやギガンテスを貸し出されたということらしい。

結局、トロールは二度と人間を襲わないと約束したので、破ったら全滅させると脅した上で許されることになった。トロール達は約束を守り、その後、ネビルの街で従魔として使役されるトロールが見られるようになるのであった。

トロールキングから断片的に聞き出せた情報から、バネダス共和国という名前が浮上した。バネダス共和国は、ウィモア領の北に隣接する国で、ウィルモア領とは山脈によって隔てられた隣国である。

バネダス共和国は、以前、代官への恨みからアルテミルの街にスタンピードを起こそうとしたべブルの居た国である。どうも、バネダス共和国では魔獣を使った攻撃方法を研究しており、また、ウィルモア領を侵略したがっているようである。

これは当然、ウィルモア辺境伯より国王に報告がなされたが、国が動くという事はない。

そもそも辺境伯というのは、隣国との国境や魔物から国を守る役割を与えられている。それ故に、高い地位と非常に強い権限も与えられているのである。

いざ、侵略を受けたとなれば、辺境伯は王の判断を仰ぐことなく挙兵し戦争に突入する権限も与えられている。

辺境伯が対応できないような侵略が始まったとなれば、国としても軍隊を送り対処するということになるだろう。だが、辺境伯が対応できないほどの事態と言うことは、国の存亡を掛けたような大事という事になるが。

明確に戦争をする気がない、所謂「冷戦状態」であれば、小競り合いであれば領地を統べる領主の裁量で対処する事になるのであった。


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