49 / 115
第三章 アルテミルの街とその領主
第49話 リヴロットと仮想対決
しおりを挟む
その後、豪華な料理が用意された別室に案内されたコジロー。室内では、領主の娘であるリヴロットと、妹のアナスタシアが待っていた。
コジローはアレキシに、マロを連れてこられないのか尋ねた。
室内で一緒にと希望したつもりだったのだが、厩舎に押し込められてしまっている。
まぁコジローとしても、室内に動物(ましてや魔獣)を入れるのは無理なお願いであるかも知れないのは分かっていたので、ダメというなら諦めるつもりもあったのだが、アレキシは執事を呼び、急ぎマロを連れて来いと命じた。
一緒にコジローも迎えに行こうかと思ったが、部屋からコジローを出したくないのか執事が大丈夫だと言うので
「マロは人間の言葉が分かる、言えばちゃんと分かるよ。」
と言って任せた。
程なくして、マロが室内に小走りで入ってきた。
妹のアナスタシアが目を輝かせて、撫でてもいいか?と聞くので許可する。アナは大喜びでマロを撫で始めた。マロもまんざらでもないようである。
アナがマロに料理を食べさせている間、コジローはリヴロットと話をしていた。
リヴロットはコジローの剣を見せてほしいと言ったが、盗難防止の魔法が掛かっている事を説明して、コジローが手に持ったまま見てもらう。自在に伸縮し、なんでも斬れるとの説明に、リヴは非常に驚いていた。
リヴもミスリルの剣を見せてくれた。ウィルモア家の家宝だそうである。細身でキレイな装飾が施されているが、実用制のある節度を弁えたデザインとなっていた。
そして、話題はお互いの能力の話になる。
リヴも、コジローの事はずっと気になっていたらしい。本気で戦ったどうなるか?勝てるか?色々と妄想していたのは、コジローと同じであったようだ。ここから、お互いの仮想対戦の予想を語り合うことになった。
試合をもう一度シてみれば良いのだが、本気でお互いに殺すつもりで戦ったら?という想定の話なので、それもできないのであった。
コジローとしては、「未来予知」が相手では、正直、勝ち目はなさそうだと思っていた。行き先が分かっている転移など怖くはないだろう、出現する予定の場所を斬ってしまえばよい事なのだから。
実際、リヴロットは転移攻撃に関しては、驚きはしたが先を読んで対応できるので、通常の攻撃とあまり変わらなかったのである。ただし、驚異だったのはコジローの攻撃速度であったようだ。予知で先が読めていたとしても、あまりの速さに防ぐのが精一杯で、先を読んでカウンター攻撃を仕掛けるまでの余裕はなかったのである。
コジローとしては、もし本気で戦うのであれば、峰打ちをやめ、本気で斬りに行くことになるわけで。次元剣なら、受け止めた剣ごと斬ることが可能なので、倒せるのではないかと考えた。だが、予知で読まれて、受け止める事を避けられた意味はない。空振りさせられてカウンターを食らうのは最悪なので避けたいと考えていた。
リヴとしては、ある程度速度にも慣れてしまえば、そのうちカウンター攻撃をするチャンスも生まれるのではないかとは確かに思っていた。しかし、そうであっても自分が攻撃をしかけたタイミングで「転移攻撃」をカウンターで発動されるとやっかいかもしれないと思った。
リヴが転移攻撃を待って、そこに合わせて予知でカウンターを仕掛け、空を斬らせてリヴの斬撃を当てられるなら、リヴが勝てるかもしれない。
逆に、リヴが先に仕掛けたところに、転移斬りをカウンターで発動されれば、コジローが勝つ可能性がある。
攻撃を仕掛けている間が、もっとも防御がしにくい瞬間であるのだから・・・
結論としては、リヴがコジローの速度に対応できればリヴの勝ち、対応できないほどの速度で攻撃ができればコジローの勝ちという事になりそうだという話に落ち着いた。
結局、リヴの予知がどこまで正確に、どこまで詳細に先が読めるのかによって変わってくることになる。
ただ、まだ考えることはある。コジローは、最後にリヴの攻撃を受けた際に、マジックシールドが発動していた。コジローはうまく斬撃にあわせて飛び退いてみせたので気付かれていないかと思ったのだが、リヴはちゃんとマジックシールドの淡く光る小さな盾を見逃していなかった。
そうなると、話が変わってくる。
コジローは防御を捨て、相打ち覚悟で斬り込んでも勝てることになるのであるから・・・
試しに、コジローの体に軽く攻撃を加えて、マジックシールドが発動するのを見せてもらったリヴは
「それはズルい・・・」
と言った。。。
結局、二人は食事もそこそこに、裏庭に出てお互いの技を見せあい、想定通りの結果になるか試してみる事になるのだった。
コジローの転移斬にリヴロットがどこまで予知で対応できるのか、試してみるのは大変興味深い対決であった。
予知には勝てそうにないと思っていたコジローであったが、どうやら結論としては、最終的にコジローが勝つことになるようであった。
リヴロットが防御に徹している限りはリヴロットの予知が転移斬を防ぎきっているのだが、そこにカウンターを合わせようとすると、マジックシールドに阻まれてしまうのである。どうやら、マジックシールドが予知には現れないらしいのである。
コジローが防御を捨てて(マジックシールドに任せて)相打ちのような攻撃をとると、リヴロットは対応できない。
結局、マジックシールドが破れない限り、コジローに負けはないのである。
マジックシールド様様である。
リヴと技の確認・実験は、コジローにとっても楽しい体験であった。お互いに、手の内をバラし合う展開となってしまったのだが。本来、奥の手は隠しておいたほうがよいわけだが、そもそも、コジローがリヴと戦う機会もなさそうであるから、問題はないだろう。
だが、後にギルドマスターリエと一緒に、訓練のために模擬戦を繰り返す事になるのであるが。
コジローはアレキシに、マロを連れてこられないのか尋ねた。
室内で一緒にと希望したつもりだったのだが、厩舎に押し込められてしまっている。
まぁコジローとしても、室内に動物(ましてや魔獣)を入れるのは無理なお願いであるかも知れないのは分かっていたので、ダメというなら諦めるつもりもあったのだが、アレキシは執事を呼び、急ぎマロを連れて来いと命じた。
一緒にコジローも迎えに行こうかと思ったが、部屋からコジローを出したくないのか執事が大丈夫だと言うので
「マロは人間の言葉が分かる、言えばちゃんと分かるよ。」
と言って任せた。
程なくして、マロが室内に小走りで入ってきた。
妹のアナスタシアが目を輝かせて、撫でてもいいか?と聞くので許可する。アナは大喜びでマロを撫で始めた。マロもまんざらでもないようである。
アナがマロに料理を食べさせている間、コジローはリヴロットと話をしていた。
リヴロットはコジローの剣を見せてほしいと言ったが、盗難防止の魔法が掛かっている事を説明して、コジローが手に持ったまま見てもらう。自在に伸縮し、なんでも斬れるとの説明に、リヴは非常に驚いていた。
リヴもミスリルの剣を見せてくれた。ウィルモア家の家宝だそうである。細身でキレイな装飾が施されているが、実用制のある節度を弁えたデザインとなっていた。
そして、話題はお互いの能力の話になる。
リヴも、コジローの事はずっと気になっていたらしい。本気で戦ったどうなるか?勝てるか?色々と妄想していたのは、コジローと同じであったようだ。ここから、お互いの仮想対戦の予想を語り合うことになった。
試合をもう一度シてみれば良いのだが、本気でお互いに殺すつもりで戦ったら?という想定の話なので、それもできないのであった。
コジローとしては、「未来予知」が相手では、正直、勝ち目はなさそうだと思っていた。行き先が分かっている転移など怖くはないだろう、出現する予定の場所を斬ってしまえばよい事なのだから。
実際、リヴロットは転移攻撃に関しては、驚きはしたが先を読んで対応できるので、通常の攻撃とあまり変わらなかったのである。ただし、驚異だったのはコジローの攻撃速度であったようだ。予知で先が読めていたとしても、あまりの速さに防ぐのが精一杯で、先を読んでカウンター攻撃を仕掛けるまでの余裕はなかったのである。
コジローとしては、もし本気で戦うのであれば、峰打ちをやめ、本気で斬りに行くことになるわけで。次元剣なら、受け止めた剣ごと斬ることが可能なので、倒せるのではないかと考えた。だが、予知で読まれて、受け止める事を避けられた意味はない。空振りさせられてカウンターを食らうのは最悪なので避けたいと考えていた。
リヴとしては、ある程度速度にも慣れてしまえば、そのうちカウンター攻撃をするチャンスも生まれるのではないかとは確かに思っていた。しかし、そうであっても自分が攻撃をしかけたタイミングで「転移攻撃」をカウンターで発動されるとやっかいかもしれないと思った。
リヴが転移攻撃を待って、そこに合わせて予知でカウンターを仕掛け、空を斬らせてリヴの斬撃を当てられるなら、リヴが勝てるかもしれない。
逆に、リヴが先に仕掛けたところに、転移斬りをカウンターで発動されれば、コジローが勝つ可能性がある。
攻撃を仕掛けている間が、もっとも防御がしにくい瞬間であるのだから・・・
結論としては、リヴがコジローの速度に対応できればリヴの勝ち、対応できないほどの速度で攻撃ができればコジローの勝ちという事になりそうだという話に落ち着いた。
結局、リヴの予知がどこまで正確に、どこまで詳細に先が読めるのかによって変わってくることになる。
ただ、まだ考えることはある。コジローは、最後にリヴの攻撃を受けた際に、マジックシールドが発動していた。コジローはうまく斬撃にあわせて飛び退いてみせたので気付かれていないかと思ったのだが、リヴはちゃんとマジックシールドの淡く光る小さな盾を見逃していなかった。
そうなると、話が変わってくる。
コジローは防御を捨て、相打ち覚悟で斬り込んでも勝てることになるのであるから・・・
試しに、コジローの体に軽く攻撃を加えて、マジックシールドが発動するのを見せてもらったリヴは
「それはズルい・・・」
と言った。。。
結局、二人は食事もそこそこに、裏庭に出てお互いの技を見せあい、想定通りの結果になるか試してみる事になるのだった。
コジローの転移斬にリヴロットがどこまで予知で対応できるのか、試してみるのは大変興味深い対決であった。
予知には勝てそうにないと思っていたコジローであったが、どうやら結論としては、最終的にコジローが勝つことになるようであった。
リヴロットが防御に徹している限りはリヴロットの予知が転移斬を防ぎきっているのだが、そこにカウンターを合わせようとすると、マジックシールドに阻まれてしまうのである。どうやら、マジックシールドが予知には現れないらしいのである。
コジローが防御を捨てて(マジックシールドに任せて)相打ちのような攻撃をとると、リヴロットは対応できない。
結局、マジックシールドが破れない限り、コジローに負けはないのである。
マジックシールド様様である。
リヴと技の確認・実験は、コジローにとっても楽しい体験であった。お互いに、手の内をバラし合う展開となってしまったのだが。本来、奥の手は隠しておいたほうがよいわけだが、そもそも、コジローがリヴと戦う機会もなさそうであるから、問題はないだろう。
だが、後にギルドマスターリエと一緒に、訓練のために模擬戦を繰り返す事になるのであるが。
0
お気に入りに追加
239
あなたにおすすめの小説
私のスローライフはどこに消えた?? 神様に異世界に勝手に連れて来られてたけど途中攫われてからがめんどくさっ!
魔悠璃
ファンタジー
タイトル変更しました。
なんか旅のお供が増え・・・。
一人でゆっくりと若返った身体で楽しく暮らそうとしていたのに・・・。
どんどん違う方向へ行っている主人公ユキヤ。
R県R市のR大学病院の個室
ベットの年配の女性はたくさんの管に繋がれて酸素吸入もされている。
ピッピッとなるのは機械音とすすり泣く声
私:[苦しい・・・息が出来ない・・・]
息子A「おふくろ頑張れ・・・」
息子B「おばあちゃん・・・」
息子B嫁「おばあちゃん・・お義母さんっ・・・」
孫3人「いやだぁ~」「おばぁ☆☆☆彡っぐ・・・」「おばあちゃ~ん泣」
ピーーーーー
医師「午後14時23分ご臨終です。」
私:[これでやっと楽になれる・・・。]
私:桐原悠稀椰64歳の生涯が終わってゆっくりと永遠の眠りにつけるはず?だったのに・・・!!
なぜか異世界の女神様に召喚されたのに、
なぜか攫われて・・・
色々な面倒に巻き込まれたり、巻き込んだり
事の発端は・・・お前だ!駄女神めぇ~!!!!
R15は保険です。
喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜
田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。
謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった!
異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?
地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。
冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。
生活魔法しか使えない少年、浄化(クリーン)を極めて無双します(仮)(習作3)
田中寿郎
ファンタジー
壁しか見えない街(城郭都市)の中は嫌いだ。孤児院でイジメに遭い、無実の罪を着せられた幼い少年は、街を抜け出し、一人森の中で生きる事を選んだ。武器は生活魔法の浄化(クリーン)と乾燥(ドライ)。浄化と乾燥だけでも極めれば結構役に立ちますよ?
コメントはたまに気まぐれに返す事がありますが、全レスは致しません。悪しからずご了承願います。
(あと、敬語が使えない呪いに掛かっているので言葉遣いに粗いところがあってもご容赦をw)
台本風(セリフの前に名前が入る)です、これに関しては助言は無用です、そういうスタイルだと思ってあきらめてください。
読みにくい、面白くないという方は、フォローを外してそっ閉じをお願いします。
(カクヨムにも投稿しております)
錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。
いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成!
この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。
戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。
これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。
彼の行く先は天国か?それとも...?
誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。
小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中!
現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。
ダラダラ異世界学校に行く
ゆぃ♫
ファンタジー
「ダラダラ異世界転生」を前編とした
平和な主婦が異世界生活から学校に行き始める中編です。
ダラダラ楽しく生活をする話です。
続きものですが、途中からでも大丈夫です。
「学校へ行く」完結まで書いてますので誤字脱字修正しながら週1投稿予定です。
拙い文章ですが前編から読んでいただけると嬉しいです。エールもあると嬉しいですよろしくお願いします。
神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく
霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。
だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。
どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。
でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる