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第二章 街へ
第21話 忍び寄る影
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リエ:「昨日のアレ、あなたの奥の手。見えないほど高速で移動した・・・わけじゃなくて、あれは "転移" ね?」
コジロー:「・・・そうです。」
見られてしまったのだから仕方ない。
昨日はドジル達の前でも使ってしまったし、バレないわけはないか。
リエ:「隠したい気持ちは分かるわ、知られていたら切り札にならないものね。」
端切れが悪い反応のコジローを見てリエが笑う。
おそらく、ネタバレしてしまった以上、リエは転移斬にも対処できるのだろう・・・
リエ:「それに、本当に使える転移魔法なら、利用しようといろんな人間が寄ってくるでしょうからね。」
コジロー:「いや、自分のは大したことはないですから、短距離、見える範囲で数メートル移動できるくらいです。」
リエ:「ふーん・・・本当に?」
コジロー:「本当ですよ(笑)」
嘘はついていない。今の所、自分の転移は大した事はない。今のところは・・・
リエ:「まぁ、いいけどね。王都あたりでは、転移魔法が使える者は国の専属として高額でスカウトされるらしいわよ。他に取られないように囲い込みね。」
多分、それはあまり嬉しくはない話なのだろう。「高額報酬」とか「保護」とか言いながら、実際は自由を奪わる、カゴに押し込められた形になるのだろうから・・・
まぁ、本当に転移魔法が自在に使いこなせる者であれば、囚えておく事などできるわけはないのだが。この時代には、そこまでの凄腕の転移魔法使いは存在していないのであった。
「ドジル達はあなたが目にもとまらぬ速さで移動したと思ってるみたいだけどね(笑)でも、この街の冒険者に転移魔法が使える人間が居るのはとてもありがたいわ。隠しておくのはもったいない。ギルドとしてもあなたの事は守るから安心して。せっかくの能力、使わない手はないものね。って、私も利用しようとしてるだけか?」
でもどう?あなたの意思を尊重するけれど、と言ってリエは笑った。
まぁ、ギルドで守ってくれるというのは、ありがたい話ではあるかもしれない。
ギルドは、国や貴族(領主)からも独立した組織である。冒険者がいなくなれば街が困る事なので、あまり口を出すことができないのだ。転移魔法が使える事を隠す必要がなくなるなら、すこしありがたいかもしれない。
リエ:「転移魔法が使えるなら、ダンジョン攻略などでも重宝するから、パーティの臨時参加だけでひっぱりだこになるでしょう、魔法が使えなくても、ね(笑)」
コジロー:「いや、ダンジョンから脱出する能力とかないですから!」
これは、もう少し転移魔法を使いこなす必要があるな、とコジローは思った。
これまでのところ、自分自身を短距離転移させた経験しかないのである。
他の人間を一緒に転移できるのか?他の人間だけを転移できるのか?物は?
色々と試してみる必要があるだろう。
カラン
レベルが上がる音が頭の中に響く。
服の中にあるオーブのペンダントにさりげなく手をあてて、レベルアップの内容をチェックしてみる
【長距離転移】が加わったようだ・・・
ただ話していただけなのに、レベルが上がる?
どうやら自分が自覚して強く求める事でも、能力が高まったりすることもあるらしい。
後でレベルアップした転移を確かめてみよう。
ギルドマスターの執務室から出てきたコジローは、依頼の貼ってある掲示板に行ってみた。
掲示板はランク別に現在募集されている依頼が貼ってある。
コジローはランクEなので、あまり高難度の依頼(クエスト)は受けられないが。
何はともあれ、まずは生活費を稼ぐ必要がある。
冒険者としての仕事は、税金が免除されている事などもあり、一般の仕事よりも稼ぎやすい。この世界は、常に魔物の脅威に備えておく必要があるため、地球(日本)よりもずっと税金が高いのである。領主の裁定に任されているが、収入の5割以上などという事もこの世界では普通である。それが免除されているのだから、冒険者は儲かる仕事なのである。もちろん、報酬の多い仕事は危険を伴う事が多いのではあるが。
だが、コジローはこの世界について慣れていない事も多いので、報酬が安くとも、なるべく簡単な仕事からこなしていく事にした。できれば外に出る依頼(クエスト)がよい、町中ではなかなか魔法の練習もできない。
初心者向けクエストだと「薬草摘み」が定番だとギルドの受付嬢が教えてくれた。
薬草について何も知らないコジローだったが、脳内データベースを確認したところ、ある程度は植物の知識もあるようなので、なんとかなるだろう。
とりあえず、薬草採集の依頼を受けて街の外に出てみることにした。
初めて依頼を受けると言ったら、受付でどの当たりに薬草があるか教えてくれた。
薬草摘みなどの初級者向け依頼は常設で特に期間もないらしい。ベテランの冒険者はこのような簡単だが実入りの少ないクエストは受けなくなるので、新人が少ない街だと薬草が不足気味になったりする。そこで、上級者にも、他のクエストのついでに取ってきてもらう事が推奨されているそうだ。そのため、いちいち依頼を受けずに採集してきても大丈夫だそうだ。
とりあえず、この街の周辺の森がどんな感じか、様子見だけでも少し歩いてみようと思い、コジローとマロは町の外に出てみることにした。
コジロー達が門を出た後、しばらくしてから三人の男が門を出た。
ドジル、手下A、手下Bの三人だった。
「畜生、コジローのヤロウ、絶対許さない。殺してやる・・・。」
コジロー:「・・・そうです。」
見られてしまったのだから仕方ない。
昨日はドジル達の前でも使ってしまったし、バレないわけはないか。
リエ:「隠したい気持ちは分かるわ、知られていたら切り札にならないものね。」
端切れが悪い反応のコジローを見てリエが笑う。
おそらく、ネタバレしてしまった以上、リエは転移斬にも対処できるのだろう・・・
リエ:「それに、本当に使える転移魔法なら、利用しようといろんな人間が寄ってくるでしょうからね。」
コジロー:「いや、自分のは大したことはないですから、短距離、見える範囲で数メートル移動できるくらいです。」
リエ:「ふーん・・・本当に?」
コジロー:「本当ですよ(笑)」
嘘はついていない。今の所、自分の転移は大した事はない。今のところは・・・
リエ:「まぁ、いいけどね。王都あたりでは、転移魔法が使える者は国の専属として高額でスカウトされるらしいわよ。他に取られないように囲い込みね。」
多分、それはあまり嬉しくはない話なのだろう。「高額報酬」とか「保護」とか言いながら、実際は自由を奪わる、カゴに押し込められた形になるのだろうから・・・
まぁ、本当に転移魔法が自在に使いこなせる者であれば、囚えておく事などできるわけはないのだが。この時代には、そこまでの凄腕の転移魔法使いは存在していないのであった。
「ドジル達はあなたが目にもとまらぬ速さで移動したと思ってるみたいだけどね(笑)でも、この街の冒険者に転移魔法が使える人間が居るのはとてもありがたいわ。隠しておくのはもったいない。ギルドとしてもあなたの事は守るから安心して。せっかくの能力、使わない手はないものね。って、私も利用しようとしてるだけか?」
でもどう?あなたの意思を尊重するけれど、と言ってリエは笑った。
まぁ、ギルドで守ってくれるというのは、ありがたい話ではあるかもしれない。
ギルドは、国や貴族(領主)からも独立した組織である。冒険者がいなくなれば街が困る事なので、あまり口を出すことができないのだ。転移魔法が使える事を隠す必要がなくなるなら、すこしありがたいかもしれない。
リエ:「転移魔法が使えるなら、ダンジョン攻略などでも重宝するから、パーティの臨時参加だけでひっぱりだこになるでしょう、魔法が使えなくても、ね(笑)」
コジロー:「いや、ダンジョンから脱出する能力とかないですから!」
これは、もう少し転移魔法を使いこなす必要があるな、とコジローは思った。
これまでのところ、自分自身を短距離転移させた経験しかないのである。
他の人間を一緒に転移できるのか?他の人間だけを転移できるのか?物は?
色々と試してみる必要があるだろう。
カラン
レベルが上がる音が頭の中に響く。
服の中にあるオーブのペンダントにさりげなく手をあてて、レベルアップの内容をチェックしてみる
【長距離転移】が加わったようだ・・・
ただ話していただけなのに、レベルが上がる?
どうやら自分が自覚して強く求める事でも、能力が高まったりすることもあるらしい。
後でレベルアップした転移を確かめてみよう。
ギルドマスターの執務室から出てきたコジローは、依頼の貼ってある掲示板に行ってみた。
掲示板はランク別に現在募集されている依頼が貼ってある。
コジローはランクEなので、あまり高難度の依頼(クエスト)は受けられないが。
何はともあれ、まずは生活費を稼ぐ必要がある。
冒険者としての仕事は、税金が免除されている事などもあり、一般の仕事よりも稼ぎやすい。この世界は、常に魔物の脅威に備えておく必要があるため、地球(日本)よりもずっと税金が高いのである。領主の裁定に任されているが、収入の5割以上などという事もこの世界では普通である。それが免除されているのだから、冒険者は儲かる仕事なのである。もちろん、報酬の多い仕事は危険を伴う事が多いのではあるが。
だが、コジローはこの世界について慣れていない事も多いので、報酬が安くとも、なるべく簡単な仕事からこなしていく事にした。できれば外に出る依頼(クエスト)がよい、町中ではなかなか魔法の練習もできない。
初心者向けクエストだと「薬草摘み」が定番だとギルドの受付嬢が教えてくれた。
薬草について何も知らないコジローだったが、脳内データベースを確認したところ、ある程度は植物の知識もあるようなので、なんとかなるだろう。
とりあえず、薬草採集の依頼を受けて街の外に出てみることにした。
初めて依頼を受けると言ったら、受付でどの当たりに薬草があるか教えてくれた。
薬草摘みなどの初級者向け依頼は常設で特に期間もないらしい。ベテランの冒険者はこのような簡単だが実入りの少ないクエストは受けなくなるので、新人が少ない街だと薬草が不足気味になったりする。そこで、上級者にも、他のクエストのついでに取ってきてもらう事が推奨されているそうだ。そのため、いちいち依頼を受けずに採集してきても大丈夫だそうだ。
とりあえず、この街の周辺の森がどんな感じか、様子見だけでも少し歩いてみようと思い、コジローとマロは町の外に出てみることにした。
コジロー達が門を出た後、しばらくしてから三人の男が門を出た。
ドジル、手下A、手下Bの三人だった。
「畜生、コジローのヤロウ、絶対許さない。殺してやる・・・。」
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