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第二章 街へ

第39話 家名創設

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バッケン「弟子にしてやると言ってるのに、なぜ拒否する?」

ポーリン「だって……」

バッケン「だって?」

ポーリン「教わるならアンタよりルークのほうがいいじゃない。頭の薄くなった中年のオッサンの弟子になるより可愛い男の子に教わるほうがいいに決まってるし。だいたいアンタ、ルークに負けてたじゃないのよ」

バッケン「うっ、うるさい、全世界のハゲ親父に謝れっ! だいたいお前だって俺に負けてたじゃねぇか!」

ポーリン「卑怯な手を使われなかったら負けてなかったわよ! 私だって全力出してなかったんだから」

バッケン「甘いんだよ、実力を出しきれなかったから負けましたなんて、戦場では命取りになるだけだぞ」

ポーリン「戦争になんか行かないもん」

バッケン「冒険者だって危険の中に行くのは同じだろうが……

ったく。ええい、まぁいい。じゃぁ技はルークが教えてやれ。俺も居る間は、いつでも練習相手にはなってやるぞ。まずは、この庭の練習用コースを自在に走り回れるようになることだな。それまでお前はこの家に住め」

ポーリン「え~ここにアタシ一人で残れっていうの?!」

ルーク「僕も一緒に住むよ、まだしばらくは整理とかあるから」

ポーリン「え、一緒に!? そんな…い、いいけど、ルークなら……」

ルーク「もちろんリスティも居るよ?」

バッケン「ところでルークよ、そういう事なので、お前もレインクラッド流は名乗るなよ?」

ルーク「名乗る気なんてなかったけど。そもそも名前なんか知らなかったし」

リスティ「レインクラッドは、色々と因縁がある名前になってしまったからね。ルークとポーリンの身を守るためには仕方ないね」

バッケン「お前の剣技は、もはやレインクラッド流とは違うものになりつつある。お前も独自の名前を名乗ればよかろう」

ルーク「独自の名前? ルーク流? なんか変だね」(笑)

リスティ「そうだね、ルークも成人したし(※)、ファミリーネームを持ってもいい歳だね」

(※この国では16歳で成人扱いとなる。)

ルーク「家名? 必要?」

リスティ「国によっては貴族以外は家名を持たないってところもあるけどね。この国では成人したらみんなファミリーネームを付けて自分の家を持つんだよ。大人の証だね」

アマリア「孤児院の子供達は当然家名を持ってないけど、成人して孤児院を出る時や、結婚する時に好きな家名を名乗る事が多いわね」

ルーク「うーん……家名かぁ、急に言われても思いつかないなぁ」

ポーリン「レインクラッドの名前を一部もらって、クラッドとか?」

リスティ「エルフの古い言葉で森という意味のフォレスというのはどうだい? 森で育ったルークにはいいんじゃないか?」

ルーク「……ルーク・フォレス、いいね」

ポーリン「アタシの意見は無視カーイ」

ルーク「そうだねポーリン、爺ちゃんの名前も貰えるなら嬉しいよ」

ポーリン「じゃぁ、フォレスクラッドとか?」

ルーク「じゃぁ……レインフォレスで!」

ポーリン「やっぱりアタシの意見は無視カーイ」


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