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第4章 夢幻との決戦
立ちはだかる風
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満月が煌々と夜の街並みを照らしている。上空は風が強いのか、月明かりを浴びる雲が、西から東へと滑るように流れていく。時折、その中の大きな塊が、部分的に、あるいは、完全に月を隠しては流れ去っていく。
京香が夢幻仙様の生け贄になるのを防ぐため、我輩は1路、街村宅へと全力疾走していた。ハアハアと荒く息をついては舌が垂れ下がる。
そんな我輩の前を、美少女に変身した狐火の妲己ちゃんが、風に乗ってフワフワと浮かんでいる。ゆったりとした漢服を着て宙に舞う妲己ちゃんは、まるで仙女のようだった。
「エロ、しっかりしな。もうすぐだよ!」
バテ気味の我輩を見て、妲己ちゃんが叱咤する。街村宅はもうすぐそこだった。道の向こうで、無限仙様のものと思われる、月光をも霞ませる銀白色の霊気が、街村宅を渦巻いて取り囲んでいるのが見えた。
渦巻く霊気の旋風が、門を、いや、門だけでなく家全体に渡って、霊的存在の侵入を遮断していた。この風の壁を何とかしないと、家の中へ入ることができない。
「妲己ちゃん、どうやって中に入ろう?」
「······簡単だよ。無理やり突っ込めばいいのさ」
妲己ちゃんはなに食わぬ顔で、風の壁に向かって行く。ポニーテールの長い髪が、ゆったりとした漢服が、風に煽られて後方へはためく。
しかし、妲己ちゃんは強い向かい風など苦にもせず、簡単に風の壁を通り抜けてしまった。壁の向こうは無風らしく、髪も着衣も全く揺らめいていなかった。
「ほらね、簡単だろ。エロ、あんたも早く来なさいよ!」
風壁の向こうから、妲己ちゃんがニコニコしながら手招きする。風に弾かれるか吹き飛ばされるかすると思っていた我輩は、この呆気なさに驚いた。唸りをあげて風が巻き上がっているのはなんなのか?
「こ、こけ脅しか······?」
我輩は恐る恐る風の壁に向かっていった。近づくにつれて、猛烈な風圧が我輩を襲った。眼を開けていられないほどだった。
「ほら、早く。ビビってんじゃないわよ!」
「キャイ~~ン!!」
妲己ちゃんの叱咤も空しく、我輩は風圧に負けて吹き飛ばされてしまった。後方へ勢いよく転がっていく。
「もう、エロ。あんた、何やってんのよ。しっかりしなさいよ!」
「だ、妲己ちゃん、一体どうやって中に入ったんだ?」
「え~~、どうって、通り抜ければいいじゃないの······って、な、何?······きゃあ~!」
両手を腰に当て、呆れ顔な妲己ちゃんの背後で、突然、玄関扉が開いた。まるで、家の中が真空であるかのように、妲己ちゃんを強烈に吸い込んでいく。
「ち、ちょっと、何よこれ?······いやぁ~、エロ、助けて~!」
抵抗も空しく、妲己ちゃんは家の中へ吸い込まれてしまった。妲己ちゃんを家の中へ引きずり込むと、玄関扉は勢いよく閉まった。そして、何事もなかったかのように、相変わらず我輩を敷地内にいれまいと、風が立ちはだかる。
「だ、妲己ちゃん~~! い、いかん、中には無限仙様がいる。ただでさえ、無限仙様は妲己ちゃんを愛人にしたがっていたのに、美少女の妲己ちゃんでは、間違いなく無限仙様の手にかけられる······あるいは、もう······」
我輩は呆然として、家の中の妲己ちゃんを想像した······
京香が夢幻仙様の生け贄になるのを防ぐため、我輩は1路、街村宅へと全力疾走していた。ハアハアと荒く息をついては舌が垂れ下がる。
そんな我輩の前を、美少女に変身した狐火の妲己ちゃんが、風に乗ってフワフワと浮かんでいる。ゆったりとした漢服を着て宙に舞う妲己ちゃんは、まるで仙女のようだった。
「エロ、しっかりしな。もうすぐだよ!」
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渦巻く霊気の旋風が、門を、いや、門だけでなく家全体に渡って、霊的存在の侵入を遮断していた。この風の壁を何とかしないと、家の中へ入ることができない。
「妲己ちゃん、どうやって中に入ろう?」
「······簡単だよ。無理やり突っ込めばいいのさ」
妲己ちゃんはなに食わぬ顔で、風の壁に向かって行く。ポニーテールの長い髪が、ゆったりとした漢服が、風に煽られて後方へはためく。
しかし、妲己ちゃんは強い向かい風など苦にもせず、簡単に風の壁を通り抜けてしまった。壁の向こうは無風らしく、髪も着衣も全く揺らめいていなかった。
「ほらね、簡単だろ。エロ、あんたも早く来なさいよ!」
風壁の向こうから、妲己ちゃんがニコニコしながら手招きする。風に弾かれるか吹き飛ばされるかすると思っていた我輩は、この呆気なさに驚いた。唸りをあげて風が巻き上がっているのはなんなのか?
「こ、こけ脅しか······?」
我輩は恐る恐る風の壁に向かっていった。近づくにつれて、猛烈な風圧が我輩を襲った。眼を開けていられないほどだった。
「ほら、早く。ビビってんじゃないわよ!」
「キャイ~~ン!!」
妲己ちゃんの叱咤も空しく、我輩は風圧に負けて吹き飛ばされてしまった。後方へ勢いよく転がっていく。
「もう、エロ。あんた、何やってんのよ。しっかりしなさいよ!」
「だ、妲己ちゃん、一体どうやって中に入ったんだ?」
「え~~、どうって、通り抜ければいいじゃないの······って、な、何?······きゃあ~!」
両手を腰に当て、呆れ顔な妲己ちゃんの背後で、突然、玄関扉が開いた。まるで、家の中が真空であるかのように、妲己ちゃんを強烈に吸い込んでいく。
「ち、ちょっと、何よこれ?······いやぁ~、エロ、助けて~!」
抵抗も空しく、妲己ちゃんは家の中へ吸い込まれてしまった。妲己ちゃんを家の中へ引きずり込むと、玄関扉は勢いよく閉まった。そして、何事もなかったかのように、相変わらず我輩を敷地内にいれまいと、風が立ちはだかる。
「だ、妲己ちゃん~~! い、いかん、中には無限仙様がいる。ただでさえ、無限仙様は妲己ちゃんを愛人にしたがっていたのに、美少女の妲己ちゃんでは、間違いなく無限仙様の手にかけられる······あるいは、もう······」
我輩は呆然として、家の中の妲己ちゃんを想像した······
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