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人類を継ぐ者
44.ブルータビー&ホワイト
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NHKの教育番組は実によくできている。
歌以外にも踊りにコミカルな短編アニメ、とても良くできている。
俺はシアンを膝の上に乗せながら一緒にNHKをボーっと見ていた。
大人が見るとなぜだか癒される効果があるかも……。
ただ、それでもシアンは最近飽き始めてしまったようで、TVが点いていても遊びをせがむようになってきた。
由香ちゃんは駄々をこねるシアンを抱きあげると
「そろそろ何か別の物を用意しないとダメだわ」
と、言った。
「うーん、何がいいかなぁ……」
「ペットとかどうかしら?」
「え? ペット……。ただでさえ子守が大変なのに?」
「ペットは情操教育に良いってどこかの偉い人が言ってたわ」
「うん、まぁ確かにそうなんだけどね……」
そこに美奈ちゃんが『バーン!』とドアを開けて入ってくる。
「猫よ猫! 猫飼うわよ!」
なぜ聞こえてるのか? この地獄耳には毎度驚かされる。外で聞いて待ってたのか?
「猫? 誰が世話するんだよ? ハムスターとかにしようよ」 と、渋る俺を無視して由香ちゃんも
「あ~、猫いいわね! スコティッシュフォールドとか可愛いし!」 と、乗り気になってる。
「耳の折れた猫ね、あれもいいわね! 可愛い!」
「そうそう、可愛いは正義よ!」
二人で手を合わせてキラキラした瞳で盛り上がってる。
「いやいや、俺は反対だよ! 病気になったら誰が病院連れて行くんだよ? 可愛いだけじゃ無いんだよ! 大変なの!」
俺は徹底的に反対した。
どれだけ猫を飼うのが大変か、事例を挙げて全力で口を酸っぱくして延々と反対した――――
で、今、猫売り場に居る。なぜだ……。
「スコティッシュフォールドは無いんだって……」
由香ちゃんがしょんぼりする。
「あ、この子可愛いよ」
美奈ちゃんがメインクーンを指さす。
「どれどれ……あっ、かわい~ぃ!」
俺も覗いてみた。ブルータビー&ホワイトの生後2か月半の子猫だ。
クリっとした丸い目にふわっふわの毛並み。こちらを気にしてキョロキョロと動くしぐさ……何だこれは……全てが愛おしい。
ダメだ、頭では飼うのに反対してるのに抗えない……。何という魔力。可愛いは正義。
「この子よこの子!」
美奈ちゃんも盛り上がっている。
すかさず店員がやってくる。
「抱いてみますか?」
「えっ? 抱けるの!? ぜひぜひ!!」
店員はケージをあけて、そっと子猫を抱きあげて美奈ちゃんに渡す。
「あっ、温かい……柔らか~ぃ……」
うっとりしている。
美奈ちゃんの美貌とかわいい子猫の組み合わせ、もはや芸術作品である。
見てるだけで幸せ。俺もうっとりしてしまう。
「美奈ちゃん、次は私!」
「待って、もうちょっと……」
美奈ちゃんはゆっくりと子猫をなでなでしながらトリップしている。
「早くぅ! ……!」
しびれを切らした由香ちゃんが半ば強引に子猫を奪う。
「……あぁ、本当だ……柔らかーい……」
由香ちゃんもトリップしてしまった。
これは俺も抱かせてもらわねば……
「次は俺だぞ!」
「何言ってんの! 反対してた人はダメで~す!」そう言って美奈ちゃんは子猫を奪う。
えー……。何その仕打ち……。
「誠さんはこれでも反対ですか?」
由香ちゃんは少し意地悪な顔して言う。
「う、俺は世話をどうするか? という問題をだね……」
「ふぅ~ん。じゃ、ちょっと抱いてみて」
由香ちゃんは、美奈ちゃんから子猫を取り上げると俺に渡した。
おっかなびっくり受け取ると……温かくて……柔らかい……。
あ、これはダメな奴だ……もう逃げられない……。
軽く頬ずりするとふわっふわの温かい感触が天国にいざなう。
俺もトリップしてしまった。
「これでも反対?」
「……。分かった……俺の負けだよ……」
俺は子猫に頬ずりしながら言った。
「じゃぁ決まりね!」
由香ちゃんはにっこりと笑うと、店員について行って買う手続きを始めた。
お値段248,000円、その他食器にキャットフード、ベッドにケージ、トイレに砂……
これら飼育セット一式合わせて約30万、こんなの経費で落ちるのかな……。
◇
子猫を連れて帰り、オフィスで早速シアンとご対面。
「シアンちゃーん、猫ちゃんですよ~」
由香ちゃんが子猫を抱いてシアンの前に座る。
シアンは初めて見る生き物にビビっている。
ちょっと後ずさりしてジッと猫を見つめる。
猫もビビッて緊張している。
「大丈夫よ、ほぅら、触ってごらん」 そう言ってシアンの手を子猫に触れさせる。
シアンは
「うひゃー!」
と言って柔らかな手触りに何か反応をしてる。
そのうちに気に入ったのか自分で撫で始めた。
「……きゃははは!」
最高の笑顔で笑うシアン。
どうやら子猫の可愛さに目覚めたようだ。
「そうよ~、仲良くしてね!」
由香ちゃんが嬉しそうに言う。
そう言えば名前をまだ決めてなかった。
「名前はどうするの?」
と、由香ちゃんに聞くと
「何がいいですかねぇ……」
「男の子だから虎徹とかかな?」
美奈ちゃんがサラッというが、こんなに可愛いのに虎徹はないだろ。
「じゃ、何がいいのよ!」
確かに、何がいいんだろう?
俺は子猫を優しくなでながら聞いた。
「お前は何て呼んで欲しいんだ?」
そうすると子猫は
「みぃ……」 と、小声で答えた。
「『ミィ』らしいよ、『ミィ』にするか?」
「何それ!? そんな名づけ方ってあるの?」
美奈ちゃんは気に入らないらしい。
するとシアンが
「みぃ! きゃははは!」と笑った。どうやら気に入ったらしい。
「どうやら『ミィ』らしいよ」
俺は美奈ちゃんに言う。
「え~……」
そこにマーカスがにこやかに入ってくる。
「Hey! Guys!」
そして子猫を見つけると目を丸くして口を開けて固まった。
「WOW! Supah kawai! (わー、かわいい!)」
俺はすかさず紹介する
「He is MIE(ミィちゃんだよ。)」
これを発音が同じ「He is me.(子猫は俺だよ)」と勘違いしたマーカス、
「What!? マコト コンナニ カワイクナイネ!」
と言って首をかしげる。
ハッハッハッハッ!
美奈ちゃんがウケて笑い出す。
俺も、しまったと思って言い返すが……
「No! No! MIE is not me……(ミィはミーと違うんだ……)」
「What!?(なんだって?)」
全然伝わらない、何言ってんだ俺は……。
美奈ちゃんが笑いながら言う。
「ハッハッハ、そら見なさいよ! ハッハッハー!」
「だからと言って虎徹はないだろ」
揉めてるとシアンが
子猫を抱きあげて
「みぃ!」
と、言った。
「Oh! コネコ ミィ ネ!」
マーカスは理解したようだ。
「えー! 他の名前にしようよ~」
美奈ちゃんは不満げである。
そして、マーカスの方を向いて色っぽいポーズを作って聞いた。
「Hey! Marcus! Which is better MIE or KOTETSU?(マーカス、ミィと虎徹とどっちがいい?))」
「『You!』 HAHAHAHHA!(『me(私)』が選択肢なら美奈ちゃん、あなただね! はははは!) 」
またくだらないオヤジギャグを……
美奈ちゃんは脇のテーブルを
バンッ!
と叩くと、
「……What? (何ですって?)」
今にもマーカスを殺しそうな目をして言った。
「HA,HA……」
マーカスはギャグが通じなかったことに気づく。
部屋中が凍り付く。
マーカスは小さくなって早口で言う
「Oh! sorry, but I just remember I have to do……. (あ、やんなきゃいけないこと思い出した!)」
そういって急いで部屋から出て行ってしまった。
「信じらんない!」
憤慨する美奈ちゃん。
「まぁまぁ、シアンのために飼ったんだから、シアンが呼びやすい名前にしようよ」
俺が説得する。
「みぃ!」
シアンはそう言って譲らない。
「仕方ない、赤ちゃんには負けるわ」
そう言ってシアンからミィを抱きあげると頬ずりをして言った。
「虎徹、ごめんね、私の政治力が足りなかったわ……」
政治力って何だよ。
◇
シアンはミィと手を取り合ったり、おもちゃで一緒に遊んだりして一緒に過ごした。
赤ん坊と子猫が仲睦まじく遊ぶ姿はとても絵になる。
俺は珈琲を飲みながら、仲よく遊ぶ様子をゆっくりと眺め、心が満ち足りていくのを感じていた。
シアンは眠くなったミィを愛おしそうに抱いて、ゆっくりと撫でる……
尊い……
AIと猫が仲良く遊ぶ世界線、実にいい光景じゃないか。
みんなもこの微笑ましい光景をいつまでも見ていた。
シアンは人類の後継者として確実に正しい進化を続けている――――
歌以外にも踊りにコミカルな短編アニメ、とても良くできている。
俺はシアンを膝の上に乗せながら一緒にNHKをボーっと見ていた。
大人が見るとなぜだか癒される効果があるかも……。
ただ、それでもシアンは最近飽き始めてしまったようで、TVが点いていても遊びをせがむようになってきた。
由香ちゃんは駄々をこねるシアンを抱きあげると
「そろそろ何か別の物を用意しないとダメだわ」
と、言った。
「うーん、何がいいかなぁ……」
「ペットとかどうかしら?」
「え? ペット……。ただでさえ子守が大変なのに?」
「ペットは情操教育に良いってどこかの偉い人が言ってたわ」
「うん、まぁ確かにそうなんだけどね……」
そこに美奈ちゃんが『バーン!』とドアを開けて入ってくる。
「猫よ猫! 猫飼うわよ!」
なぜ聞こえてるのか? この地獄耳には毎度驚かされる。外で聞いて待ってたのか?
「猫? 誰が世話するんだよ? ハムスターとかにしようよ」 と、渋る俺を無視して由香ちゃんも
「あ~、猫いいわね! スコティッシュフォールドとか可愛いし!」 と、乗り気になってる。
「耳の折れた猫ね、あれもいいわね! 可愛い!」
「そうそう、可愛いは正義よ!」
二人で手を合わせてキラキラした瞳で盛り上がってる。
「いやいや、俺は反対だよ! 病気になったら誰が病院連れて行くんだよ? 可愛いだけじゃ無いんだよ! 大変なの!」
俺は徹底的に反対した。
どれだけ猫を飼うのが大変か、事例を挙げて全力で口を酸っぱくして延々と反対した――――
で、今、猫売り場に居る。なぜだ……。
「スコティッシュフォールドは無いんだって……」
由香ちゃんがしょんぼりする。
「あ、この子可愛いよ」
美奈ちゃんがメインクーンを指さす。
「どれどれ……あっ、かわい~ぃ!」
俺も覗いてみた。ブルータビー&ホワイトの生後2か月半の子猫だ。
クリっとした丸い目にふわっふわの毛並み。こちらを気にしてキョロキョロと動くしぐさ……何だこれは……全てが愛おしい。
ダメだ、頭では飼うのに反対してるのに抗えない……。何という魔力。可愛いは正義。
「この子よこの子!」
美奈ちゃんも盛り上がっている。
すかさず店員がやってくる。
「抱いてみますか?」
「えっ? 抱けるの!? ぜひぜひ!!」
店員はケージをあけて、そっと子猫を抱きあげて美奈ちゃんに渡す。
「あっ、温かい……柔らか~ぃ……」
うっとりしている。
美奈ちゃんの美貌とかわいい子猫の組み合わせ、もはや芸術作品である。
見てるだけで幸せ。俺もうっとりしてしまう。
「美奈ちゃん、次は私!」
「待って、もうちょっと……」
美奈ちゃんはゆっくりと子猫をなでなでしながらトリップしている。
「早くぅ! ……!」
しびれを切らした由香ちゃんが半ば強引に子猫を奪う。
「……あぁ、本当だ……柔らかーい……」
由香ちゃんもトリップしてしまった。
これは俺も抱かせてもらわねば……
「次は俺だぞ!」
「何言ってんの! 反対してた人はダメで~す!」そう言って美奈ちゃんは子猫を奪う。
えー……。何その仕打ち……。
「誠さんはこれでも反対ですか?」
由香ちゃんは少し意地悪な顔して言う。
「う、俺は世話をどうするか? という問題をだね……」
「ふぅ~ん。じゃ、ちょっと抱いてみて」
由香ちゃんは、美奈ちゃんから子猫を取り上げると俺に渡した。
おっかなびっくり受け取ると……温かくて……柔らかい……。
あ、これはダメな奴だ……もう逃げられない……。
軽く頬ずりするとふわっふわの温かい感触が天国にいざなう。
俺もトリップしてしまった。
「これでも反対?」
「……。分かった……俺の負けだよ……」
俺は子猫に頬ずりしながら言った。
「じゃぁ決まりね!」
由香ちゃんはにっこりと笑うと、店員について行って買う手続きを始めた。
お値段248,000円、その他食器にキャットフード、ベッドにケージ、トイレに砂……
これら飼育セット一式合わせて約30万、こんなの経費で落ちるのかな……。
◇
子猫を連れて帰り、オフィスで早速シアンとご対面。
「シアンちゃーん、猫ちゃんですよ~」
由香ちゃんが子猫を抱いてシアンの前に座る。
シアンは初めて見る生き物にビビっている。
ちょっと後ずさりしてジッと猫を見つめる。
猫もビビッて緊張している。
「大丈夫よ、ほぅら、触ってごらん」 そう言ってシアンの手を子猫に触れさせる。
シアンは
「うひゃー!」
と言って柔らかな手触りに何か反応をしてる。
そのうちに気に入ったのか自分で撫で始めた。
「……きゃははは!」
最高の笑顔で笑うシアン。
どうやら子猫の可愛さに目覚めたようだ。
「そうよ~、仲良くしてね!」
由香ちゃんが嬉しそうに言う。
そう言えば名前をまだ決めてなかった。
「名前はどうするの?」
と、由香ちゃんに聞くと
「何がいいですかねぇ……」
「男の子だから虎徹とかかな?」
美奈ちゃんがサラッというが、こんなに可愛いのに虎徹はないだろ。
「じゃ、何がいいのよ!」
確かに、何がいいんだろう?
俺は子猫を優しくなでながら聞いた。
「お前は何て呼んで欲しいんだ?」
そうすると子猫は
「みぃ……」 と、小声で答えた。
「『ミィ』らしいよ、『ミィ』にするか?」
「何それ!? そんな名づけ方ってあるの?」
美奈ちゃんは気に入らないらしい。
するとシアンが
「みぃ! きゃははは!」と笑った。どうやら気に入ったらしい。
「どうやら『ミィ』らしいよ」
俺は美奈ちゃんに言う。
「え~……」
そこにマーカスがにこやかに入ってくる。
「Hey! Guys!」
そして子猫を見つけると目を丸くして口を開けて固まった。
「WOW! Supah kawai! (わー、かわいい!)」
俺はすかさず紹介する
「He is MIE(ミィちゃんだよ。)」
これを発音が同じ「He is me.(子猫は俺だよ)」と勘違いしたマーカス、
「What!? マコト コンナニ カワイクナイネ!」
と言って首をかしげる。
ハッハッハッハッ!
美奈ちゃんがウケて笑い出す。
俺も、しまったと思って言い返すが……
「No! No! MIE is not me……(ミィはミーと違うんだ……)」
「What!?(なんだって?)」
全然伝わらない、何言ってんだ俺は……。
美奈ちゃんが笑いながら言う。
「ハッハッハ、そら見なさいよ! ハッハッハー!」
「だからと言って虎徹はないだろ」
揉めてるとシアンが
子猫を抱きあげて
「みぃ!」
と、言った。
「Oh! コネコ ミィ ネ!」
マーカスは理解したようだ。
「えー! 他の名前にしようよ~」
美奈ちゃんは不満げである。
そして、マーカスの方を向いて色っぽいポーズを作って聞いた。
「Hey! Marcus! Which is better MIE or KOTETSU?(マーカス、ミィと虎徹とどっちがいい?))」
「『You!』 HAHAHAHHA!(『me(私)』が選択肢なら美奈ちゃん、あなただね! はははは!) 」
またくだらないオヤジギャグを……
美奈ちゃんは脇のテーブルを
バンッ!
と叩くと、
「……What? (何ですって?)」
今にもマーカスを殺しそうな目をして言った。
「HA,HA……」
マーカスはギャグが通じなかったことに気づく。
部屋中が凍り付く。
マーカスは小さくなって早口で言う
「Oh! sorry, but I just remember I have to do……. (あ、やんなきゃいけないこと思い出した!)」
そういって急いで部屋から出て行ってしまった。
「信じらんない!」
憤慨する美奈ちゃん。
「まぁまぁ、シアンのために飼ったんだから、シアンが呼びやすい名前にしようよ」
俺が説得する。
「みぃ!」
シアンはそう言って譲らない。
「仕方ない、赤ちゃんには負けるわ」
そう言ってシアンからミィを抱きあげると頬ずりをして言った。
「虎徹、ごめんね、私の政治力が足りなかったわ……」
政治力って何だよ。
◇
シアンはミィと手を取り合ったり、おもちゃで一緒に遊んだりして一緒に過ごした。
赤ん坊と子猫が仲睦まじく遊ぶ姿はとても絵になる。
俺は珈琲を飲みながら、仲よく遊ぶ様子をゆっくりと眺め、心が満ち足りていくのを感じていた。
シアンは眠くなったミィを愛おしそうに抱いて、ゆっくりと撫でる……
尊い……
AIと猫が仲良く遊ぶ世界線、実にいい光景じゃないか。
みんなもこの微笑ましい光景をいつまでも見ていた。
シアンは人類の後継者として確実に正しい進化を続けている――――
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