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ロマンティック・プランク

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 この時間が早く終わってほしいような、まだまだ続いてほしいような、複雑な状態である。呼吸が浅くなっているように思える。

 その姿に気付かれないようにただただ必死になっていた。

「お客様、お待たせ致しました」

 店員に声を掛けられて自分が呼ばれていることに気付き、前を見る。差し出されたレシートとカードを受け取ると、財布にしまいつつ身支度を整える。

「……杏里くん、行こうか」

「うんっ」

 ごちそうさま、と告げながら、柊が前に出て店を去っていった。

 杏里にその表情を見られたくないのか、振り返ることなく店を出た。

 だが、一歩進んだところで、杏里がようやく口を開いた。

「柊さん、約束、忘れてないよね?」

「あ、あぁ。もちろん」

 深呼吸をしてようやく覚悟を決めたのか、真剣な表情になりながら柊は杏里の方を向く。

 今までにこやかな笑顔を浮かべていた彼からは予想もできない表情が表れ、杏里の中に急に緊張感が走る。
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