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ロマンティック・プランク

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 皿ごと差し出された杏里は、取り分けることもなくそのまま口にしていった。

 そんな姿を見ながら柊はあっという間に自分の皿とグラスの中を空にする。何も口にするものがなくても、杏里の姿をそっと眺め続けていた。

 静かな音楽が流れるこの場所で、今の杏里が食べる姿は非常に不釣り合いであった。だが、音楽が全てを掻き消して落ち着いた雰囲気を作り上げていたおかげか、二人は空気のように溶け込んでいた。

 柊は次に何を頼もうかと考えながら、時折杏里の姿をちらりと眺めていた。

 そうして考えているうちに、頼んでいたもう一つの料理が運ばれてきた。

「おまたせいたしました。マルゲリータでございます」

「ありがとうございます。追加の注文でモヒートお願いします。杏里くんは大丈夫?」

「あ、はい。まだ残ってるから」

「かしこまりました」

 シンプルな薄い生地のピザが六等分に切られていた。
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