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秘密の味

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 気の合う人で、俺の相談事にも乗ってくれた優しい先輩。最初の印象はただそれだけであった。

 何度も二人きりで飲んでいるうちに様々なことを知っていき、気付けば俺は惚れていた。何度か躊躇い、覚悟を決めて駄目元で告白してみれば、思っていた以上にあっさりと受け入れられた。

 それでも少し肌が多く触れ合う程度で、やっていることは何一つ変わらなかった。

 今この瞬間が、関係が変わってから最も触れ合っている瞬間である気がする。

 しばらくすると、自らの意思で俺から離れていき、立ち上がって個室から出て行った。手洗器に向かい、口をゆすいでいた。まだ気分が悪いのか、時折手に体重を掛けて身体を支える仕草を見せる。

 俺は隣に立ってその肩を支えた。だが、すぐに手を振り払われてしまった。

「おい……」

「立ってるだけで辛そうだったから。大丈夫?」

「だいぶ良くなった」

「ほんとは?」
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