Marionette【一部公開】

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　そんな姿に一言も話さずただじっと見つめているエリサだったが、雨がポツポツと降り出すと建物の中へと入っていってしまった。

　次第に雨は強くなり、地面を打ち付ける水滴がヴォルツの全身を濡らしていた。

　覇気のない表情でとぼとぼと歩き続け、気が付けば裏路地にいた。無意識のうちにSofa Recoundへと向かっている。

　すっかりびしょ濡れになり、服が重みを増したところで到着し、倒れ込むように中へと入っていく。

「うおぁ！？　……ヴォルツ！？」

　クラウスは突然入ってきたヴォルツの姿に驚いた。

　だが、返事をすることもなくうわ言のように、俺は……、と繰り返し呟くだけであった。

「おい、大丈夫か？」

「俺は、人形なのか……？」

「は？　お前は人間だろ？　風邪引くからシャワーでも浴びてこい。あっちの奥な」

　奥の廊下の方を指しながら、ヴォルツをそちらの方へ促す。

　水滴を残しながら、とぼとぼとした足取りへ向かっていく。初めて足を踏み入れる場所であったが、単調な廊下が長く続いているだけであったため、何も考えずとも歩いていけた。