22 / 40
番外編
ブラッド君の姉の話
しおりを挟む
『お嬢様、息子のブラッドです、ほらご挨拶をしなさい』
子爵家に侯爵様と奥様、そしてお嬢様が顔合わせにやって来た。
侯爵様はこの国の宰相というとても重大なポストに付いている。そんな方がわざわざ挨拶に来た。
二つ上の兄か僕が養子として貰われて行く。
良い人だったら良いけど、怖い人だと行きたくない。
『こんにちは、わたしカテリーナ、あなたブラッドって言うの?仲良くしてね』
いつのまにか僕の前に立っていたカテリーナと言う少女。
あどけない笑顔で可愛い子だった。侯爵家のお嬢様なのにこんなに人懐っこいなんて、不思議な子だ、高位貴族のお嬢様なんて気位が高そうなのに。
一生懸命話をするので、大人しく聞いていたが、妹ってこんな感じなのかな……? 兄しかいないから分からないけど、なんだか可愛いから笑ってしまった。
『カテリーナ、ブラッド君ともう仲良くなったのか?』
侯爵様が二人の姿を見て聞いて来た
『うん、とっても楽しい』
『そうか、ブラッド君はどう?君が嫌でなければ、うちに養子に来てもらいたいと思うんだけど、無理強いはしないよ』
侯爵様が優しく仰った
父と相談の上、僕が養子に行く事になった。お嬢様のブラッドが良い~っと言う一言だった。僕もお嬢様と家族になれるのが嬉しかった。
『私の事は姉かリーナって呼んでね』
そう言われると、後者を取る。姉? と言うかどう見ても妹にしか思えない。
『家族になったらリーナのお家の事お願いね。女の子はお家継げないんだって。だからね、ブラッドにあげるね』
小さな手をギュッと繋いでお願いしてくるリーナの手が温かくてうん。と言った
僕が出来る事をちゃんとやろうと思ったから、小さな手に約束した。
侯爵家は僕に充実した生活を与えてくれた。大好きな本に囲まれて、素晴らしい教師もつけてくれた。毎日リーナとお茶もした
宰相を務める父と一緒にリーナは出掛ける。その時は僕は留守番だった。
王子の元に遊びに行くのだと言う。
ブラッドも行こ! 誘われるが行かない。
僕はその間に勉強をする。リーナと約束したから、この家を頼まれたから、ちゃんと出来る事はする。後悔したく無い。
よく分からないけど、リーナにはノーマンと言う執事が仕えている。
リーナがお菓子を取り上げられていたのに、母上は何も言わない。
どうして? 執事なのに失礼じゃないか? と聞くと、良いの良いの! 仲良しでしょう?
ノーマンはリーナに仕えているから、私たちはリーナが嫌だって言わない限り、何も言えません。ノーマンも分かってやっているの。ほら、リーナも楽しそうに笑っているわ。私が許しているのだから、ブラッドも許してあげてね。あの子からノーマンを取り上げたら、悲しむわよ。
なんだかそう言う関係らしい。僕がくる前の話だから分からないけど、母上が許しているのなら、それで良い。
僕は十三歳で学園に入学する事になった。同じ歳なのにリーナはあと二年後だと言う。
『ずるい!』とリーナは言うが、あと二年で一緒に通えるから……
ようやく二年が経ち、リーナが入学! となる少し前に、なんとなく元気のないリーナが王宮から帰ってきた。
理由を聞くと、もう王宮に行かない。もう殿下にも会わない。遊ばないと言った。
しばらくしてから婚約者候補から外されたと聞いた。
毎週、リーナを呼びつけておいて何様だ!
僕は王子を許せない! 大事な家族を傷つけた。リーナが会いたくないなら、会わせないようにするしかない
リーナが入学をしてから、あのクソ王子が、何故かリーナに近寄ろうとする、婚約者候補から外したくせに! 他人なんだから近寄るな。
そう思い、リーナと一緒にいた。
家にいるとちょくちょく没収されるスイーツは学園で食べる事にしたらしい。
クリームを口の端に付けて……幸せそうにしていた。ここでは誰も取り上げないよ……
また王子がリーナを見てる。
仕方がない……クリームを親指で取って舐めた。リーナは普通にありがとう。と礼を言った。
王子がすごい目で睨んできた。
ザマみろ! リーナを悲しませるからだ!
なんなんだよ、あのクソ王子
気がつくといつでもどこでも見てやがる、ストーカーじゃないか! 気持ち悪い
ランチだの、エスコートだの、デビューの祝い? 自分が何をしたか分かってるのか?
ほら! お前のせいでリーナが嫌がらせを受けている。リーナは僕にも言ってこない、何があったか聞くと何が?と惚けるが、教科書……何冊買ってるんだよ……!
クソ王子がリーナの変化に気が付いたらしい。お前がリーナに付き纏うからこんなことになったんだろうが!
僕だけでは調査は行き詰まってしまったから、仕方なしに協力体制を取った。
クソ王子が調査に入る前に、頭を下げて来た
『カテリーナが好きなんだ。私はそう言った感情に疎い……愚かな自分を悔やんでいる、これから信頼を取り戻せるように努力する』
驚いた。もっとクソかと思ったら、意外と真面目だったから……だから僕は言った。
『僕よりリーナを大事にしてくれる人じゃないと嫌だ。僕の家族を悲しませる事は、例え貴方であろうと許さない!』
『君に誓うよ。カテリーナが、私を選んでくれたなら絶対裏切らない。何かあったら私を好きにして良い』
そんな事を言われたからには、後はリーナに任せよう。リーナが誰を選んでも僕とリーナには、切っても切れない家族の縁で繋がっているから。血より濃いものってあるから。
リーナは無自覚で変な男ばかり寄せ付ける。ストーカーに、ロリコンに、あの執事に至っては、よくわからない存在……
男の趣味は最悪だ……
……リーナが幸せならそれで良い
子爵家に侯爵様と奥様、そしてお嬢様が顔合わせにやって来た。
侯爵様はこの国の宰相というとても重大なポストに付いている。そんな方がわざわざ挨拶に来た。
二つ上の兄か僕が養子として貰われて行く。
良い人だったら良いけど、怖い人だと行きたくない。
『こんにちは、わたしカテリーナ、あなたブラッドって言うの?仲良くしてね』
いつのまにか僕の前に立っていたカテリーナと言う少女。
あどけない笑顔で可愛い子だった。侯爵家のお嬢様なのにこんなに人懐っこいなんて、不思議な子だ、高位貴族のお嬢様なんて気位が高そうなのに。
一生懸命話をするので、大人しく聞いていたが、妹ってこんな感じなのかな……? 兄しかいないから分からないけど、なんだか可愛いから笑ってしまった。
『カテリーナ、ブラッド君ともう仲良くなったのか?』
侯爵様が二人の姿を見て聞いて来た
『うん、とっても楽しい』
『そうか、ブラッド君はどう?君が嫌でなければ、うちに養子に来てもらいたいと思うんだけど、無理強いはしないよ』
侯爵様が優しく仰った
父と相談の上、僕が養子に行く事になった。お嬢様のブラッドが良い~っと言う一言だった。僕もお嬢様と家族になれるのが嬉しかった。
『私の事は姉かリーナって呼んでね』
そう言われると、後者を取る。姉? と言うかどう見ても妹にしか思えない。
『家族になったらリーナのお家の事お願いね。女の子はお家継げないんだって。だからね、ブラッドにあげるね』
小さな手をギュッと繋いでお願いしてくるリーナの手が温かくてうん。と言った
僕が出来る事をちゃんとやろうと思ったから、小さな手に約束した。
侯爵家は僕に充実した生活を与えてくれた。大好きな本に囲まれて、素晴らしい教師もつけてくれた。毎日リーナとお茶もした
宰相を務める父と一緒にリーナは出掛ける。その時は僕は留守番だった。
王子の元に遊びに行くのだと言う。
ブラッドも行こ! 誘われるが行かない。
僕はその間に勉強をする。リーナと約束したから、この家を頼まれたから、ちゃんと出来る事はする。後悔したく無い。
よく分からないけど、リーナにはノーマンと言う執事が仕えている。
リーナがお菓子を取り上げられていたのに、母上は何も言わない。
どうして? 執事なのに失礼じゃないか? と聞くと、良いの良いの! 仲良しでしょう?
ノーマンはリーナに仕えているから、私たちはリーナが嫌だって言わない限り、何も言えません。ノーマンも分かってやっているの。ほら、リーナも楽しそうに笑っているわ。私が許しているのだから、ブラッドも許してあげてね。あの子からノーマンを取り上げたら、悲しむわよ。
なんだかそう言う関係らしい。僕がくる前の話だから分からないけど、母上が許しているのなら、それで良い。
僕は十三歳で学園に入学する事になった。同じ歳なのにリーナはあと二年後だと言う。
『ずるい!』とリーナは言うが、あと二年で一緒に通えるから……
ようやく二年が経ち、リーナが入学! となる少し前に、なんとなく元気のないリーナが王宮から帰ってきた。
理由を聞くと、もう王宮に行かない。もう殿下にも会わない。遊ばないと言った。
しばらくしてから婚約者候補から外されたと聞いた。
毎週、リーナを呼びつけておいて何様だ!
僕は王子を許せない! 大事な家族を傷つけた。リーナが会いたくないなら、会わせないようにするしかない
リーナが入学をしてから、あのクソ王子が、何故かリーナに近寄ろうとする、婚約者候補から外したくせに! 他人なんだから近寄るな。
そう思い、リーナと一緒にいた。
家にいるとちょくちょく没収されるスイーツは学園で食べる事にしたらしい。
クリームを口の端に付けて……幸せそうにしていた。ここでは誰も取り上げないよ……
また王子がリーナを見てる。
仕方がない……クリームを親指で取って舐めた。リーナは普通にありがとう。と礼を言った。
王子がすごい目で睨んできた。
ザマみろ! リーナを悲しませるからだ!
なんなんだよ、あのクソ王子
気がつくといつでもどこでも見てやがる、ストーカーじゃないか! 気持ち悪い
ランチだの、エスコートだの、デビューの祝い? 自分が何をしたか分かってるのか?
ほら! お前のせいでリーナが嫌がらせを受けている。リーナは僕にも言ってこない、何があったか聞くと何が?と惚けるが、教科書……何冊買ってるんだよ……!
クソ王子がリーナの変化に気が付いたらしい。お前がリーナに付き纏うからこんなことになったんだろうが!
僕だけでは調査は行き詰まってしまったから、仕方なしに協力体制を取った。
クソ王子が調査に入る前に、頭を下げて来た
『カテリーナが好きなんだ。私はそう言った感情に疎い……愚かな自分を悔やんでいる、これから信頼を取り戻せるように努力する』
驚いた。もっとクソかと思ったら、意外と真面目だったから……だから僕は言った。
『僕よりリーナを大事にしてくれる人じゃないと嫌だ。僕の家族を悲しませる事は、例え貴方であろうと許さない!』
『君に誓うよ。カテリーナが、私を選んでくれたなら絶対裏切らない。何かあったら私を好きにして良い』
そんな事を言われたからには、後はリーナに任せよう。リーナが誰を選んでも僕とリーナには、切っても切れない家族の縁で繋がっているから。血より濃いものってあるから。
リーナは無自覚で変な男ばかり寄せ付ける。ストーカーに、ロリコンに、あの執事に至っては、よくわからない存在……
男の趣味は最悪だ……
……リーナが幸せならそれで良い
47
お気に入りに追加
3,855
あなたにおすすめの小説
【完結】旦那様、わたくし家出します。
さくらもち
恋愛
とある王国のとある上級貴族家の新妻は政略結婚をして早半年。
溜まりに溜まった不満がついに爆破し、家出を決行するお話です。
名前無し設定で書いて完結させましたが、続き希望を沢山頂きましたので名前を付けて文章を少し治してあります。
名前無しの時に読まれた方は良かったら最初から読んで見てください。
登場人物のサイドストーリー集を描きましたのでそちらも良かったら読んでみてください( ˊᵕˋ*)
第二王子が10年後王弟殿下になってからのストーリーも別で公開中
嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜
みおな
恋愛
伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。
そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。
その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。
そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。
ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。
堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・
「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。
海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。
アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。
しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。
「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」
聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。
※本編は全7話で完結します。
※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。
王太子様お願いです。今はただの毒草オタク、過去の私は忘れて下さい
シンさん
恋愛
ミリオン侯爵の娘エリザベスには秘密がある。それは本当の侯爵令嬢ではないという事。
お花や薬草を売って生活していた、貧困階級の私を子供のいない侯爵が養子に迎えてくれた。
ずっと毒草と共に目立たず生きていくはずが、王太子の婚約者候補に…。
雑草メンタルの毒草オタク侯爵令嬢と
王太子の恋愛ストーリー
☆ストーリーに必要な部分で、残酷に感じる方もいるかと思います。ご注意下さい。
☆毒草名は作者が勝手につけたものです。
表紙 Bee様に描いていただきました
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
後悔だけでしたらどうぞご自由に
風見ゆうみ
恋愛
女好きで有名な国王、アバホカ陛下を婚約者に持つ私、リーシャは陛下から隣国の若き公爵の婚約者の女性と関係をもってしまったと聞かされます。
それだけでなく陛下は私に向かって、その公爵の元に嫁にいけと言いはなったのです。
本来ならば、私がやらなくても良い仕事を寝る間も惜しんで頑張ってきたというのにこの仕打ち。
悔しくてしょうがありませんでしたが、陛下から婚約破棄してもらえるというメリットもあり、隣国の公爵に嫁ぐ事になった私でしたが、公爵家の使用人からは温かく迎えられ、公爵閣下も冷酷というのは噂だけ?
帰ってこいという陛下だけでも面倒ですのに、私や兄を捨てた家族までもが絡んできて…。
※R15は保険です。
※小説家になろうさんでも公開しています。
※名前にちょっと遊び心をくわえています。気になる方はお控え下さい。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※中世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風、もしくはオリジナルです。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。
※誤字脱字、見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
大好きな旦那様はどうやら聖女様のことがお好きなようです
古堂すいう
恋愛
祖父から溺愛され我儘に育った公爵令嬢セレーネは、婚約者である皇子から衆目の中、突如婚約破棄を言い渡される。
皇子の横にはセレーネが嫌う男爵令嬢の姿があった。
他人から冷たい視線を浴びたことなどないセレーネに戸惑うばかり、そんな彼女に所有財産没収の命が下されようとしたその時。
救いの手を差し伸べたのは神官長──エルゲンだった。
セレーネは、エルゲンと婚姻を結んだ当初「穏やかで誰にでも微笑むつまらない人」だという印象をもっていたけれど、共に生活する内に徐々に彼の人柄に惹かれていく。
だけれど彼には想い人が出来てしまったようで──…。
「今度はわたくしが恩を返すべきなんですわ!」
今まで自分のことばかりだったセレーネは、初めて人のために何かしたいと思い立ち、大好きな旦那様のために奮闘するのだが──…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる