上 下
13 / 40

狙われてしまいました

しおりを挟む
あの日から殿下が、しつこ…つきまと…うーん…言葉が選べません

少し変化がありました。
嫌がらせを受けるようになりました。
ブラッドとウィルフレッドを侍らせていると嫌味を言われることから始まりました。


教科書がなくなるので、困っています
忘れました。と隣のブラッドに見せてもらうのですが、これ以上は心配をかけてしまうので、教科書を新たに購入しました。


殿下からランチに誘われるのですが、悪い噂が立つと殿下に申し訳ないので、隠れて裏庭で取るようになりました。
ここは殺風景であまり生徒は来ません


クラスのお友達とも別行動をしています。何かあった時の被害は私だけで済みます

面倒見の良いマドレーヌ様は何度も気を遣ってくださいますし、私に関する変な噂は否定して下さいます。でもマドレーヌ様にもこのような事は言えません

ランチも食べた気がしません


殿下とのお茶会の次の日、学園に行き馬車を降りると殿下が待ちかねています。
待ち伏せは初めてでした。登校する生徒が必ず通る場所ですから目立ちます。
「おはよう愛しのカテリーナ、今日もなんて可愛いんだ」
歯の浮くような台詞から始まりました


それを見たブラッドが私の手を取り、殿下を無視して歩き出したのです
ペコリと頭を下げ殿下の前を通り過ぎようとしたらもう一方の手を殿下に掴まれました。
両手が自由にならないとは、困ったものです


昼休憩は殿下がランチに誘いに来ます。ブラッドや周りの男子生徒がやんわりと引き離してくれるのですが、また放課後に迎えに来られてしまうのです。

学園で行われていた殿下のお茶会もなくなり、女子生徒から文句を言われるようになり、冒頭のような嫌がらせを受けるようになったのです。

ランチを取ろうと思い、裏庭に着くと上級生の女子生徒五人に囲まれてしまいました


「貴女、婚約者候補から外されたくせに、殿下に色目を使って」
「ブラッド様が義弟だからと言って、自由にさせなさいよ、お可哀想に」
「クラスの男子生徒も貴女の奴隷にして…このビッチ」 
「殿下にはマドレーヌ様の方がお似合いですのに」
「侯爵家の御令嬢でもレベルが低いのね。平民の方と仲良くされていましたし」


上級生に囲まれると威圧感がありますね
どうしましょう…新入生が上級生に楯突くと言うのも良くないのでしょうか…?
失礼ですが、この方達の会話のレベルが低すぎて話になりませんね…
この令嬢達は、伯爵家の方々、あとは子爵家、男爵家…ですよね?存じ上げております

身分的には私の方が上ですけど、学園は身分が関係のない学びの場、学園で起きたことは外には漏れないと思い強く出るのでしょうけど

「何もおっしゃらないのね」
ニヤリとカテリーナが反論せぬことをいい事にボス的な令嬢がどんと肩を強く押した
悪意ある行動に、ぺたんと音を立て、とうとう地面にお尻をついてしまいました
手をついた拍子に手首を捻ったようです


くすくすと笑い声が聞こえて来て
「侯爵の御令嬢が、地面に手をついて…情けないですわね」

一人の令嬢が地面に蹴りを入れてカテリーナに土を浴びせる
「あらあら、泥まみれになって…土とまで仲良くできるなんてさすが侯爵の御令嬢様は、慈悲深いわ」


怒りというか呆れる方が大きいのです
このままにしておくことは流石に出来ませんわね…。
泥をつけた制服で帰ったら邸のものは不審に思うでしょう。そうなりますと原因を追求されます。学園のことは外に漏れないと本気で思っているのでしょう。
私が何も言わない事を良いことに?
うち侯爵家はそんなに甘くないのですよ…それでは教えて差し上げましょうか…
解決をしておかないと面倒なことになりそうです。

立ち上がろうと地面に手をついたところに、ブラッドと殿下が走って来ました

「あ…あっ…」
慌てて逃げようとする令嬢達

「「カテリーナ」」

「カテリーナに何をした?私の大事な人に手を出したんだな」
「わたくし達はただ、躾を、」

「躾だと?躾が必要なのはお前達の方だ!」

いつも笑顔を絶やさない殿下が氷のように冷たい顔で睨むので泣き出す令嬢が出た

その間にブラッドが私を立たせて、制服についた土を払ってくれた
大丈夫?と眉を顰めて心配した顔で見てくるので手首を庇いながらも大丈夫。と答えました

「ブラッド、こいつらの名前全員分かるな?」
殿下がブラッドに聞きました

「あぁ、勿論、いままでリーナに嫌がらせしていた奴らの一部だ」
令嬢五人の顔を一人ずつ見遣る


「そうか、では学園長に連絡をしてきてくれ」
ブラッドにそう伝えると、令嬢達に目をやり

「お前達の言い訳は聞かない、家に帰りしばらくは謹慎とする、以上。」

ウィルフレッドが冷えた声で令嬢達に命じた


「カテリーナ遅くなってごめん。行こうか」
先ほどの冷たい表情はどこへやら、優しく微笑みながら手を取られました
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴方に愛されなかった惨めな私は消えます

京佳
恋愛
婚約者の心変わりに長年苦しんできた私。私と婚約破棄もせず恋人とも別れない最低な貴方。けれどそろそろ私に終わりの時期が近付いてきた。最低な貴方だけど好きだった。さようなら恋人とお元気で。 ゴミ屑婚約者 乞食女 自暴自棄ヒロイン ゆるゆる設定 ※誤字訂正しましたm(_ _)m

【R18】両想いでいつもいちゃいちゃしてる幼馴染の勇者と魔王が性魔法の自習をする話

みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。 「両想いでいつもいちゃいちゃしてる幼馴染の勇者と魔王が初めてのエッチをする話」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/902071521/575414884/episode/3378453 の続きです。 ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで

婚約者の王子に殺された~時を巻き戻した双子の兄妹は死亡ルートを回避したい!~

椿蛍
恋愛
大国バルレリアの王位継承争いに巻き込まれ、私とお兄様は殺された―― 私を殺したのは婚約者の王子。 死んだと思っていたけれど。 『自分の命をあげますから、どうか二人を生き返らせてください』 誰かが願った声を私は暗闇の中で聞いた。 時間が巻き戻り、私とお兄様は前回の人生の記憶を持ったまま子供の頃からやり直すことに。 今度は死んでたまるものですか! 絶対に生き延びようと誓う私たち。 双子の兄妹。 兄ヴィルフレードと妹の私レティツィア。 運命を変えるべく選んだ私たちは前回とは違う自分になることを決めた。 お兄様が選んだ方法は女装!? それって、私達『兄妹』じゃなくて『姉妹』になるってことですか? 完璧なお兄様の女装だけど、運命は変わるの? それに成長したら、バレてしまう。 どんなに美人でも、中身は男なんだから!! でも、私達はなにがなんでも死亡ルートだけは回避したい! ※1日2回更新 ※他サイトでも連載しています。

悪役聖女のやり直し~冤罪で処刑された聖女は推しの公爵を救うために我慢をやめます~

山夜みい
ファンタジー
「これより『稀代の大悪女』ローズ・スノウの公開処刑を始める!」 聖女として長年頑張って来たのに、妹に冤罪をかけられました。 助けてくれる人は誰もおらず、むざむざ殺されてしまいます。 目覚めた時、なぜかわたしは二年前の秋に戻っていました! わたし、もう我慢しません。 嫌な仕事はやめます。わたしを虐めた奴らは許しません。 聖女として戻ってきてほしい? もう遅いです。 自業自得ですよね。あなたたちは勝手に破滅してください。 わたしは今、推し活で忙しいので。 死神と呼ばれる冷酷な公爵様と一つ屋根の下なので。 ふふ。 邪魔をする輩はどんな手を使っても排除しますね。 推しを救うためならどんな手だって使っちゃいますから。

転生皇太子は、虐待され生命力を奪われた聖女を救い溺愛する。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

【R18】ショタが無表情オートマタに結婚強要逆レイプされてお婿さんになっちゃう話

みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。 ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで

王太子様に婚約破棄されましたので、辺境の地でモフモフな動物達と幸せなスローライフをいたします。

なつめ猫
ファンタジー
公爵令嬢のエリーゼは、婚約者であるレオン王太子に婚約破棄を言い渡されてしまう。 二人は、一年後に、国を挙げての結婚を控えていたが、それが全て無駄に終わってしまう。 失意の内にエリーゼは、公爵家が管理している辺境の地へ引き篭もるようにして王都を去ってしまうのであった。 ――そう、引き篭もるようにして……。 表向きは失意の内に辺境の地へ篭ったエリーゼは、多くの貴族から同情されていたが……。 じつは公爵令嬢のエリーゼは、本当は、貴族には向かない性格だった。 ギスギスしている貴族の社交の場が苦手だったエリーゼは、辺境の地で、モフモフな動物とスローライフを楽しむことにしたのだった。 ただ一つ、エリーゼには稀有な才能があり、それは王国で随一の回復魔法の使い手であり、唯一精霊に愛される存在であった。

処理中です...