上 下
42 / 55
婚約者ルイス

ルイスの母

しおりを挟む
「めちゃくちゃ綺麗なのに可愛くて良い子じゃない!王子はなんで婚約を解消したの?バカなの?」

母がルイスに言った
なんで!なんで!と聞いてくる
「好きの裏返しで素直になれなくて拗れてたんだ、リージアは素直に嫌われていると思っていて何年も前から婚約解消をしたくてたまたま街で店をしている僕の店に来て、手伝うことになって、」

「きゃーロマンスー!アベルの言った通りね」
何を言ったんだ…大体の想像はつくけど


「…それで棚ぼただったのね!我が家の救世主よリージアちゃんは、あなた頑張ったわね!引きが強いというか…」
こんなに褒められたことが我が人生であっただろうか…いやあったか。アベルを拾った時か

アベルは十数年前の隣国との争いで、隣国側の兵士だった。ルイスよりも少し年上で怪我をして動けなかったところをルイスが助けた。
聞くところによると帰るところもないとの事だった。珍しい青色の髪の毛のまだ少年といっても良いくらいだった。
それならうちにおいでよ。とルイスがアベルを連れて帰ってきた。
身寄りもないらしく、うちでルイスと共に剣術を磨き今のアベルがいる。

歳はアベルが三歳ほど上だが正確には分からないとの事だ。アベルが聖剣と呼ばれ隣国から恐れられているのはおかしな話だが、アベルはルイスに仕えると言っている。
いずれ妻になるリージアも命をかけて守ると冗談めかして言っていたが、本気だろう。


「あなたパパに似てイケメンなのに、残念な子だと思っていたけれど、本当に運が強いわね、絶対にリージアちゃんを離さないでね!馬鹿な王子の二の舞だけはゴメンよ!」

そこには自信があるリージアを手放す気はさらさらない!もしリージアが離れていったらもう生きていく価値がない…

「それはない!土下座をしてでも結婚してもらうよ」
笑うルイスだが
「引くわよ!」
母にドン引きされた。気持ち悪いものを見るような顔をする

「そうですか…やめておきます、リージアは僕の戦っているところにギャップを感じて惚れ直したと言ってましたよ、はあっ可愛い」
「あなたの口からそんな言葉を聞くなんて、ママ泣きそう…嬉しい」
大袈裟に泣き真似をする母に呆れるが

「そうだ、リージアの部屋とても気に入ってましたよ、リージアは自分でパステルカラーは似合わないと言ってますが、似合いますよね?」
「リージアちゃんは王都にいる時は、冷たい雰囲気だったんじゃないかしら?王子の婚約者だし凛としていなくてはいけなかったんでしょうね、厳しく教育もされたでしょうしね、なんとなく分かるわ。王都では可愛いというか美しく手本のような令嬢なんでしょうね」
すごい、その通りだった、母もまた王都出身だからだろうか、気持ちが分かるのだろう
「そんなような事を言ってました」

「肩の力を抜いて、あなたといる時が素のリージアちゃんなんでしょうね…やるわねぇルイス!本当に嬉しいわ、あの子がうちの娘になるなんて」
「こんな両親を見て素敵だと言ってくれましたよ」
「良い子ね、あなたを二年間好きにさせて良かったわ!」
「反対したくせに!」
「今となってはあなたの強運に感謝よ」
「リージアはたまには令嬢の皮を脱ぎたいそうですよ」
「あら!うちは歓迎します」
「でしょうね」
「ルイスお願い!もっとリージアちゃんの洋服をデザインさせて!」
「リージアの趣味もあるでしょうに…」
「好みを聞いてデザインするのは?」
「…それなら」


辺境にはデザイナーがいない。
母が趣味でデザインをしている。
生地は国内問わず買い漁っているようだ。
お針子を何人も邸で雇い、みんなの服が仕立てられる。
母は娘が欲しかったようでとてつもなくいきいきとしている。
今後はリージアのドレスが優先で作られるだろう。
もし、孫ができたら邸は服で埋もれるんじゃないかな?でもそれもありか
将来のことを思い胸が熱くなった
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました

さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。 王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ 頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。 ゆるい設定です

【完結】あなたに従う必要がないのに、命令なんて聞くわけないでしょう。当然でしょう?

チカフジ ユキ
恋愛
伯爵令嬢のアメルは、公爵令嬢である従姉のリディアに使用人のように扱われていた。 そんなアメルは、様々な理由から十五の頃に海を挟んだ大国アーバント帝国へ留学する。 約一年後、リディアから離れ友人にも恵まれ日々を暮らしていたそこに、従姉が留学してくると知る。 しかし、アメルは以前とは違いリディアに対して毅然と立ち向かう。 もう、リディアに従う必要がどこにもなかったから。 リディアは知らなかった。 自分の立場が自国でどうなっているのかを。

お飾り公爵夫人の憂鬱

初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。 私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。 やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。 そう自由……自由になるはずだったのに…… ※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です ※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません ※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります

妹に魅了された婚約者の王太子に顔を斬られ追放された公爵令嬢は辺境でスローライフを楽しむ。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。  マクリントック公爵家の長女カチュアは、婚約者だった王太子に斬られ、顔に醜い傷を受けてしまった。王妃の座を狙う妹が王太子を魅了して操っていたのだ。カチュアは顔の傷を治してももらえず、身一つで辺境に追放されてしまった。

愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

【完結】今夜さよならをします

たろ
恋愛
愛していた。でも愛されることはなかった。 あなたが好きなのは、守るのはリーリエ様。 だったら婚約解消いたしましょう。 シエルに頬を叩かれた時、わたしの恋心は消えた。 よくある婚約解消の話です。 そして新しい恋を見つける話。 なんだけど……あなたには最後しっかりとざまあくらわせてやります!! ★すみません。 長編へと変更させていただきます。 書いているとつい面白くて……長くなってしまいました。 いつも読んでいただきありがとうございます!

花嫁は忘れたい

基本二度寝
恋愛
術師のもとに訪れたレイアは愛する人を忘れたいと願った。 結婚を控えた身。 だから、結婚式までに愛した相手を忘れたいのだ。 政略結婚なので夫となる人に愛情はない。 結婚後に愛人を家に入れるといった男に愛情が湧こうはずがない。 絶望しか見えない結婚生活だ。 愛した男を思えば逃げ出したくなる。 だから、家のために嫁ぐレイアに希望はいらない。 愛した彼を忘れさせてほしい。 レイアはそう願った。 完結済。 番外アップ済。

婚約者が知らない女性とキスしてた~従順な婚約者はもう辞めます!~

ともどーも
恋愛
 愛する人は、私ではない女性を抱きしめ、淫らな口づけをしていた……。  私はエスメローラ・マルマーダ(18)  マルマーダ伯爵家の娘だ。  オルトハット王国の貴族学院に通っている。  愛する婚約者・ブラント・エヴァンス公爵令息とは七歳の時に出会い、私は一目で恋に落ちた。  大好きだった……。  ブラントは成績優秀、文武両道、眉目秀麗とみんなの人気者で、たくさんの女の子と噂が絶えなかった。 『あなたを一番に愛しています』  その誓いを信じていたのに……。  もう……信じられない。  だから、もう辞めます!! 全34話です。 執筆は完了しているので、手直しが済み次第順次投稿していきます。 設定はゆるいです💦 楽しんで頂ければ幸いです!

処理中です...