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ルイスの家庭の事情

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「まずは愚弟の非礼を詫びる、伯爵申し訳なかった」
「勿体ないお言葉です」
父が頭をげた次はリージアに向かうリカルド
「リージア、愚弟のいままでの非礼を詫びる、申し訳なかった」

「ひぃっ!お受けいたしますからぁ」
ビクッとして掴んでいるルイスの腕に力が入ってしまった
公明正大と言われる故の行動だろう…遠巻きに招待客が見ている。

リージアは正直言ってリカルドが苦手であるが尊敬はしている。王族が臣下の家に来て、しかも謝罪するなど心臓に悪い
両陛下やリカルドのような尊敬できる人達の中にいてフェリクスはなぜあんなに残念なんだろうか…理解不能である

「リージア、愚弟との解消は両陛下も残念だったと嘆いておった。しかし伯爵からの申し出で愚弟が悪いにもかかわらず、大事な領地の一部を任された事に感謝もしていた」
「はい、勿体ないお言葉を頂戴いたしました」
頭を下げるリージア
心臓は未だバクバクとしている

「私の友人と親しいようだな?此奴らがどう言う人物か知っておるのか?」
首を傾げるリージアがこそっとルイスに
「まだ何か隠し事ある?」
と聞くとないよ。と言われたので

「先程、少し伺いました…知り合った時は全く知りませんでした」
「そうか、ではディオン・ルイス・マルロー!」
「なに?」
威圧感たっぷりの物言いにも飄々としているルイスが格好良い…
「リージアとはどのような関係だ?」
「交際を申し込んでいる関係だよ」
さらっと言いリージアを見て笑った

「そうか、それは悪くない、愚弟が手を出せる相手ではないな」
王族でも手が出せない相手?ルイスが?
首を傾げるリージア

「あまり知られてないが、マルロー家に助けられている事が多々あってな、王家と言えども立場は対等にしておる」 

リカルドがこれまでの経由をさらさらと説明してくれた

「其方も習っておろうに!」
リージアに苦言を吐くリカルド
その通りなのだ、王子妃教育の一環でマルロー家の事も学んだはずだ。怒られて然りだ

「はい、確かに習いましたが驚きの方が多くて思い出せませんでした、反省します」
声が小さくなり肩をしゅんと落とした

「そうだな、これからはその反省をしっかりマルロー家で学べばいい」
リカルドに言われた

「へっ?」
素っ頓狂な声を上げた

「其方も分かっただろう、もう相手はディオンしかおらぬ、皆聞いていたのだからな」
周りを見ると招待客が興味津々で話を聞いていた。明日中には噂が広まりそうだ

「そう言う事だね、諦めるこった。リージアちゃん少しルイスと話をしてきなよ、伯爵よろしいですか?」
アベルに言われ
「はい、もちろんです、お好きになさってください!マルロー殿、娘をよろしくお願いします」
深々と頭を下げる両親

用意された応接室に二人だけになった
遠くに侍女とメイド護衛はいるけど

「困ったね、考える時間がなくなっちゃったね…リカルドが出てきて面倒なことになった、でも嫌なら遠慮なく言って」
申し訳なさそうな顔をするルイス

「面倒じゃない…」
ポツリと、つぶやく
「また一緒にお菓子を作ったり、お茶を淹れたりしてくれる?」
蚊の鳴くような声を必死に拾うルイス

「もちろん!」
驚いたような嬉しそうな声のルイス

下を向いてもじもじとする
「あのね…ちゃんと、告白して、欲しいの」
女の子の夢だ、これくらいの我儘は許されるだろう。

すくっと立ち上がりすかさずリージアの手を取り跪く

「ディオン・ルイス・マルローはロブレス・リージアを愛しています、人生を共に過ごして欲しい、私と婚約していただけますか?」

真剣な眼差しだ、緊張しているのだろうドキドキ感が伝わった
「はい、お受けします」
手の甲にキスされた 
ドキドキする、人生ではじめての感覚だった


「大切にするよ、ちょっとうち…大変かもしれないけど、我慢して欲しいんだよね」
言いにくそうにルイスは言う

「また、後出しだ!」
「でも苦労はさせないから、王都とは離れちゃうけど…なんせ辺境だし」
「うん、それは良いよ」
「男ばっかり、しかもむさ苦しくて、礼儀もなってないのも沢山いるけど」
「少しくらいレディの皮を脱ぎたいから、ちょうど良いかも、それを許してくれる?」
「やっぱり変わってるね、お嬢様は」
「その呼び方やめてね」
「リージア、これからよろしく」
「はいっ!」




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