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父の誕生日会 月明かりの下で

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にこりと微笑むルイス

「リージア嬢、お元気でしたか?」
驚きのあまりフリーズした
飛ばされた靴を拾いリージアの足元に置くルイス
「履かないの?」

ハッとしてフリーズを解除させ
「履くけど…ルイスさんですよね?」
正装に身を包んだルイスはルイスであるけど別人のようだ

「私の名前は、ディオン・ルイス・マルローと申します」
胸に手をやり礼をするルイス

「マルロー…?マルロー家って辺境の?」

頬をぽりぽりとかくルイス
「えっと、そうだね、その通り」
「なんで!なんで!」

「話せば長いんだけど、僕は知っての通りスイーツを作るのが好きでどうしてもお店をしたくてさ、親に言ったらもちろん反対されて、二年間だけと言う約束で好きにして良いと言われたんだ」
「言ってよぉー!」

「うーん、そうかごめん」
ペコリと頭を下げるルイス
「店に行ったのにもぬけの殻で心配したんだからっ!」
「そうだよね、ごめん」
申し訳なさそうなルイス

「あやまってばっかり!」
「ごめんね」
むーっと膨れるリージア

「ちゃんとお嬢様に会いたくてさ、早いところ店を閉めないと後悔すると思って」
「なんで!!」
「だって、フリーになったから…お嬢様の次の相手が僕だったら良いなと思って、リージア・ロブレス伯爵令嬢、君のことが好きだ」

月明かりの中で告白をするルイスがかっこよくて見惚れてしまう…風に靡くシルバーの髪
俯きながらこちらを見るアンバーの瞳が月明かりでゴールドを帯びたように光るので吸い寄せられそうになる…

「…マルロー様、お気持ち大変嬉しいです」
にこりと笑うリージアを期待を込めた顔で見るルイス

突然のことで驚いたが、告白されて…再会出来たことがすごく嬉しかった
…でも突然で、カッコいいルイスを見ると少し意地悪したくなった

「考えさせてください」
ふんと顔を背ける

「えっ?そうだよな…突然だし。うん前向きに考えて、欲しい」
がっかりした様子のルイスを見て

ポツリと呟く
「こんなにお月さまが綺麗な日に、意地悪をしたら罰が当っちゃいそう…」


「僕、意地悪されてるの?」
首を傾げ、リージアを見る
「マルロー様、ううん、ルイスさんに会えて、凄く嬉しい」
紫の瞳が笑顔で細められる

「…でも、もっと早く会いにきてくれたら良かったのに!」
責めるような口ぶりだ

「お嬢様の行きそうなパーティーに参加して驚かそうと思ってたんだけど、いなかったんだよ」
出会いのシュチュエーションを考えていたらしい

「行く気がしなかったんだもん」
フェリクスに会いたくもないし、人の目も避けたかった。王子との関係を解消したのだから、きっと冷たい目を向けられるだろう…
というのは対外的で、ルイスがいなくなったのは相当ショックだったのだ。でも誰にも言えなかった…いや、言わなかった。

「それは僕がいなくなって寂しかったからでしょう?」 
笑いながらポンと頭に手を乗せられた、相変わらず優しい手だ
「意地悪!それと…レディに気軽に触れるなんて!」

「そうだね、ごめん、ごめん」
悪気が無さそうに謝るルイス
「また、謝った!」


「僕との事さ、考えてくれる?」
「断ったらもう、会えなくなっちゃうの?」
リージアの紫の瞳が暗く映る

「そんなことはないけど、その時はお嬢様は別の人と婚約して、僕もきっとそうなってて今とは違う形では会えるのかな…」
優しい顔だが、ルイスが言うような形で会うのは、やだ、やだ、絶対いやだ!


「もう会えなくなっちゃうのは、イヤ」
悲しくて下を向くと涙が溢れてきた
「ほら顔を上げて」
涙を拭かれるのかと思ったら頬を軽くつねられむにゅっとされた

「なに、しゅるの、やめてよぉ」
涙目の変顔を見られるのは耐えられない
目を瞑ってつねられているルイスの腕を取り反抗する

「可愛いね、リージア嬢は、僕も会えなくなるのは辛いよ」
手を離され、少しヒリヒリする頬を撫でる

「もうっ、なんで意地悪するの!」
「お返しかな?力は抜いたよ」
くすくすと笑うルイスの顔はやっぱりルイスだ

少しいじける様に
「…お父様と…お母様に会ってくれる?」
「うん、挨拶させて」
ルイスは嬉しそうな声だった
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