上 下
18 / 22
Another STORY

クリストファー

しおりを挟む


「クリスお兄様の意地悪っ!」
セレスティーヌがクリストファーに一言

「なんの話だ?!私がいつセレスに意地悪をした?」
ムッとむくれているセレスティーヌを、不思議そうな顔で見る

「ラルフ様が国を出た理由とか、私が幼い頃にラルフ様とお約束をしていた事をどうして黙っていたの?お兄様ならご存知のはずでしょう!」

「…あぁ、その話?」
「他に何がありますの?」

「本当に忘れていたんだな…」
「幼かったですから…先日ラルフ様が邸に訪ねて来られてお庭の、」
「噴水のところね」
「そう、噴水……お兄様、何故…もしかして」

にっこりと微笑むクリストファー
顔が赤くなるセレスティーヌ

「意地悪っ!」
「セレスが忘れていたんだろう?ラルフもしつこい奴だよな、あんな幼い子の戯言を本気にしてさ、待っているとでも思っていたのかねぇ…」
目を細めセレスティーヌを見てくる

「あれからお会いしていなくて、忘れていたわたくしが悪いんです…でもっ、殿下と婚約をする時にラルフ様の事を教えてくだされば良かったのに!」
両手をギュッと丸め抗議するセレスティーヌ

「ラルフだって、そんな口約束覚えているとはなぁ…それにしても幼なかったとはいえ、セレスに手を出したのが許せん…」
笑みを浮かべながら足を組む

「…お兄様、お顔が怖いですわ」

「あの時のセレスはとても可愛くてなぁ、私でさえセレスに口付けなんてした事無かったのに…あいつが………奪ったんだよ、
その後あいつが来なくなったから、セレスはずっと泣いていたな…思い出したら腹がたってきた……幼女に手を出すなんて…サロモン殿下の言った通り、もしかして……」
「やめてくださる?ラルフ様の事をそのように…成長したわたくしをみて、また好きになってくださったの」

嬉しそうに、いやいやと両頬を抑え頭を振るセレスティーヌ

「そうですか…真実の愛とやらは人を変えるんだな、サロモン殿下に見せてやりなさい、今あの男は愛を求めて彷徨っているんだよ」

「元々、殿下が真実の愛を見つけたと言って来られて……わたくし本当に応援していましたのに、今は軽蔑しておりますわ。また被害者を増やすのかしら…女の敵ですわね!」

エドワール王太子が頭を悩ませている…セレスはサロモン殿下と婚約が破棄…いや解消となって良かったのかもな…ああいう男は同じことを繰り返すタイプだ……どこで道を間違えたのやら」

「殿下は…真実の愛と言っておられましたのに、婚約を解消する書類にサインを中々なさらなくて、イライラしましたもの…優柔不断ですのね」
あの時のサロモンを思い出し嫌そうな顔をす

「ああいう男はな、フラフラして結局戻ってくるところは君の所だ!とか意味のわからぬ事を言って惑わすタイプだ!それに比べたらまだラルフの方が良いのかもな…タイミングよく帰ってきてセレスを奪って…サロモン殿下にはいい薬かもな」

はっはっはと笑うクリストファー
「いや待てよ!ラルフも外国をフラフラして結局セレスの元へ戻ってきたのか…さてはあの二人……似てるのか?」

「っやめてっ!!お兄様!ラルフ様の事悪く言わないで!それ以上言ったら絶交だからぁ!!」
涙を滲ませながらバンっと扉を開き、部屋に向かって走り去るセレスティーヌ
母上に見つかり怒られている声が聞こえた


セレスティーヌが嫁にねぇ…
絶交とは、また…

サロモンとは恋愛ではなくとも、いい関係だったように思えていたのに、これも運命なんだろうなぁ…
私も小さかったは言え、いつ帰ってくるか分からないラルフに腹が立ち、しばらくは連絡も途絶えた。

婚約をするわけではなく国を出て行ったラルフ、いつ帰ってくるか、生きて帰ってくるかも分からないと子供なのに大人びていた。
自分の事もどうなるのか分からないのに、ひとりの人生を狂わせたくないと言っていた
真面目なんだよなぁ

セレスティーヌにラルフの事を思い出させないようにラルフの話はしなかった、これが意地悪なのか?

邸の噴水を壊しておけば良かったかもな…
そしたらラルフとの約束を思い出さなかったか?これは単なる嫌がらせ

ただいまって…待たせすぎだろ!








しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

待つわけないでしょ。新しい婚約者と幸せになります!

風見ゆうみ
恋愛
「1番愛しているのは君だ。だから、今から何が起こっても僕を信じて、僕が迎えに行くのを待っていてくれ」彼は、辺境伯の長女である私、リアラにそうお願いしたあと、パーティー会場に戻るなり「僕、タントス・ミゲルはここにいる、リアラ・フセラブルとの婚約を破棄し、公爵令嬢であるビアンカ・エッジホールとの婚約を宣言する」と叫んだ。 婚約破棄した上に公爵令嬢と婚約? 憤慨した私が婚約破棄を受けて、新しい婚約者を探していると、婚約者を奪った公爵令嬢の元婚約者であるルーザー・クレミナルが私の元へ訪ねてくる。 アグリタ国の第5王子である彼は整った顔立ちだけれど、戦好きで女性嫌い、直属の傭兵部隊を持ち、冷酷な人間だと貴族の中では有名な人物。そんな彼が私との婚約を持ちかけてくる。話してみると、そう悪い人でもなさそうだし、白い結婚を前提に婚約する事にしたのだけど、違うところから待ったがかかり…。 ※暴力表現が多いです。喧嘩が強い令嬢です。 ※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。魔法も存在します。 格闘シーンがお好きでない方、浮気男に過剰に反応される方は読む事をお控え下さい。感想をいただけるのは大変嬉しいのですが、感想欄での感情的な批判、暴言などはご遠慮願います。

【完結】幼い頃から婚約を誓っていた伯爵に婚約破棄されましたが、数年後に驚くべき事実が発覚したので会いに行こうと思います

菊池 快晴
恋愛
令嬢メアリーは、幼い頃から将来を誓い合ったゼイン伯爵に婚約破棄される。 その隣には見知らぬ女性が立っていた。 二人は傍から見ても仲睦まじいカップルだった。 両家の挨拶を終えて、幸せな結婚前パーティで、その出来事は起こった。 メアリーは彼との出会いを思い返しながら打ちひしがれる。 数年後、心の傷がようやく癒えた頃、メアリーの前に、謎の女性が現れる。 彼女の口から発せられた言葉は、ゼインのとんでもない事実だった――。 ※ハッピーエンド&純愛 他サイトでも掲載しております。

待ち合わせの時間になっても婚約者は迎えに来ませんでした。平民女性と駆け落ちしたですって!?

田太 優
恋愛
待ち合わせの時間になっても婚約者は迎えに来なかった。 そして知らされた衝撃の事実。 婚約者は駆け落ちしたのだ。 最初から意中の相手がいたから私は大切にされなかったのだろう。 その理由が判明して納得できた。 駆け落ちされたのだから婚約破棄して慰謝料を請求しないと。

愛しておりますわ、“婚約者”様[完]

ラララキヲ
恋愛
「リゼオン様、愛しておりますわ」 それはマリーナの口癖だった。  伯爵令嬢マリーナは婚約者である侯爵令息のリゼオンにいつも愛の言葉を伝える。  しかしリゼオンは伯爵家へと婿入りする事に最初から不満だった。だからマリーナなんかを愛していない。  リゼオンは学園で出会ったカレナ男爵令嬢と恋仲になり、自分に心酔しているマリーナを婚約破棄で脅してカレナを第2夫人として認めさせようと考えつく。  しかしその企みは婚約破棄をあっさりと受け入れたマリーナによって失敗に終わった。  焦ったリゼオンはマリーナに「俺を愛していると言っていただろう!?」と詰め寄るが…… ◇テンプレ婚約破棄モノ。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。

婚約者の浮気現場に踏み込んでみたら、大変なことになった。

和泉鷹央
恋愛
 アイリスは国母候補として長年にわたる教育を受けてきた、王太子アズライルの許嫁。  自分を正室として考えてくれるなら、十歳年上の殿下の浮気にも目を瞑ろう。  だって、殿下にはすでに非公式ながら側妃ダイアナがいるのだし。  しかし、素知らぬふりをして見逃せるのも、結婚式前夜までだった。  結婚式前夜には互いに床を共にするという習慣があるのに――彼は深夜になっても戻ってこない。  炎の女神の司祭という側面を持つアイリスの怒りが、静かに爆発する‥‥‥  2021年9月2日。  完結しました。  応援、ありがとうございます。  他の投稿サイトにも掲載しています。

私と一緒にいることが苦痛だったと言われ、その日から夫は家に帰らなくなりました。

田太 優
恋愛
結婚して1年も経っていないというのに朝帰りを繰り返す夫。 結婚すれば変わってくれると信じていた私が間違っていた。 だからもう離婚を考えてもいいと思う。 夫に離婚の意思を告げたところ、返ってきたのは私を深く傷つける言葉だった。

【完結】お前なんていらない。と言われましたので

高瀬船
恋愛
子爵令嬢であるアイーシャは、義母と義父、そして義妹によって子爵家で肩身の狭い毎日を送っていた。 辛い日々も、学園に入学するまで、婚約者のベルトルトと結婚するまで、と自分に言い聞かせていたある日。 義妹であるエリシャの部屋から楽しげに笑う自分の婚約者、ベルトルトの声が聞こえてきた。 【誤字報告を頂きありがとうございます!💦この場を借りてお礼申し上げます】

あなたの事はもういりませんからどうぞお好きになさって?

高瀬船
恋愛
婚約を交わして5年。 伯爵令嬢のミリアベル・フィオネスタは優しい婚約者を好きになり、優しい婚約者である侯爵家の嫡男ベスタ・アランドワと良い関係を築いていた。 二人は貴族学院を卒業したら結婚が決まっていたが、貴族学院に通い始めて2年目。 学院に「奇跡の乙女」と呼ばれる女性が入学した。 とても希少な治癒魔法の力を持った子爵令嬢である奇跡の乙女、ティアラ・フローラモはとても可愛らしい顔立ちで学院の男子生徒の好意を一身に受けている。 奇跡の乙女が入学してから、婚約者であるベスタとのお茶の時間も、デートの約束も、学院での二人きりで過ごす時間も無くなって来たある日、自分の婚約者と奇跡の乙女が肩を寄せ合い、校舎裏へと姿を消したのを見てしまったミリアベルは行儀が悪い、と分かってはいても二人の姿を追ってしまったのだった。

処理中です...