上 下
33 / 100

学園に行けそうです

しおりを挟む
「長引きましたわ……」

 打ちどころが悪かった。とお医者様が言いましたわ……ようやくお尻の痛みから解放されましたの。骨に異常がなかったのが幸いでした。

 そろそろ学園に復帰したいですわ。とお父様に直談判しようと思っておりました。


「リュシエンヌ、話がある」

 逆にお父様からお話がある。と言われましたわ。ディナーが終わりお父様の執務室へ。

「その、あれだ……調子はどうだ?」

 あ、お尻の具合ですわね……お父様ったら、気を遣ってくださいましたのね。親子でも流石に恥ずかしいものですわ。

「えぇ。おかげさまでこの様に問題なく過ごせる様になりました。ご心配をおかけしました」

 長い間学園をお休みしましたものね。思っていたより痛みが長引いていましたが、復活ですわ。

「そうか、それは良かった。馬車には乗れそうか?」

「? えぇ、多分大丈夫だと思うのですが……まだ試しておりません」

 学園に行けるかと言うことを心配してくださっているのかしら?

「明後日、少し出掛けないか?」

 お父様とお出掛け? それは嬉しいですわね!

「はい。嬉しいですわ。どこへ連れて行って下さるのですか?」

「王宮へ……今後のことをリュシーにも聞かせたいと言う方がいるんだ。お母様にもついて来て貰うから安心しなさい」

 お母様もご一緒ですのね。それより王宮へ……一体なんの話なのか恐ろしいですわ。今後って何?

 ******

 【父×陛下】

「こんな時間に呼び出して悪かったな。来客がいるので中々時間が取れない。しかし早いほうがいいと思ってな、気が気ではなかったのだろう? 調べがついたぞ」

 陛下にこっそりと呼び出される。呼び出された場所は閉館中の王宮図書館だった。遅い時間だったが断る術もない。

「いえ。こちらがお願いしたことですから何時でも参上致します。もう調べがついたのですね。さすが陛下」

 少し話が大きくなっているが、陛下はご立腹の様子でエリック殿下が立会いをしていた事に対して謝罪をされた。

「親として申し訳ない。コリンズ伯爵にも事情聴取したのだが、子息が悪いと言ってそこは引かなかった。リュシエンヌ嬢に非がない限りコリンズ伯爵家の有責だ。と頑固で、真面目な男だから仕方がないな。子息が罰を受けているのに、エリックに罰がないのはおかしいだろう? しかしここで幽閉などさせてもコリンズ伯爵も気まずいだろうから、エリックは国から出す事にした」

 国から出す? あの話を受けるのか? そう思い陛下の顔を見る。

「そうだ。リル王国の王女と結婚させる事にする。悪い話ではないからな。今他国からの客人を招いておるから、客人にも話をしておいた。リル王国は小国だが資源豊かで隣国が狙っていて攻められでもしたら成り行かん。同盟を結びわが国が付いたと思われれば攻めることも出来ない。滅びたいのであれば好きにすればいいが、そこまでバカではないだろう。この話を聞いて悔しがることだろうな」

 王配になるのか……確か王女は二十二歳、姉さん女房の方があの殿下には良いのかもしれないが……

「それで宜しいのですか? 陛下にとっては大事なご子息……王子ではありませんか……私達が陛下に相談をしたばかりに、」

「息子だからこそ許せない事もある。私達王族は国を守り国民を守る義務がある。故に自我を犠牲にする事もある。人を蹴落として得た幸福など何になる? 一生かけてリュシエンヌ嬢に寄り添い罪を償うなど、息子以外誰が得をするんだ?」

 ……おっしゃる通りなのだ。
 
「娘を思う其方の気持ちと、王子の行動に対する意見として聞き入れただけだ」


 ******

 【母×王妃】

「ごめんなさいね、お待たせしてしまって」

 他国のお客様が王宮に滞在をしていてその夫人達とのお茶会があるので王妃様からお誘いいただきましたの。その後に少し時間を作る様に言われ、今に至ります。

「いいえ。とんでもございませんわ」

「うちの息子の事でモルヴァン夫妻の間でも何かあったとか?」

 
どうしてそれを……

「ふふっ。あなた達は良い夫婦よね。お互い想い合っていて。伯爵が陛下とお話をされたらしいの。陛下は学生時代を思い出したらしく懐かしそうに語ってくれたわ。伯爵とは学生時代によく王宮図書館で会っていたらしいわ。それで伯爵は陛下が図書館に来そうな時間帯を狙って会いに来たんですって。エリックの話を聞いて陛下は驚いていたの。私達はお互いに別で動こうと思っていたのだけど、陛下からお話を聞いて、私も夫人のことをお話したのよ。それから話し合ってエリックの事を決めたわ」


「うちの娘の婚約話がこんな大きな問題に発展するんて……申し訳ございませんでした」

 ハリスがもう少し大きかったら家督を譲って隠居しても……いえ、それでは足りないのかしら。

「婚約を考える時点で相手の家のことは調べるものでしょう? 調べた結果が答えなのだからあなた達は気にする事などないのよ。エリックが陛下に責任をとる。と言ったのだから責任をとってもらいましょう」


 それがリル王国王女との結婚とは……なんとも言えないでいました。



******

ここまでお読みくださりありがとうございます。感想を頂いたりエール機能で貴重な時間を費やしてくださりと、感謝の言葉しかありません  𝑻𝒉𝒂𝒏𝒌𝒔(*ˊᵕˋ*)੭ ੈ❤︎
 





 
しおりを挟む
感想 197

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

りまり
恋愛
 私の名前はアリスと言います。  伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。  母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。  その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。  でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。  毎日見る夢に出てくる方だったのです。

公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌

招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」 毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。 彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。 そして…。

政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~

つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。 政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。 他サイトにも公開中。

君を愛す気はない?どうぞご自由に!あなたがいない場所へ行きます。

みみぢあん
恋愛
貧乏なタムワース男爵家令嬢のマリエルは、初恋の騎士セイン・ガルフェルト侯爵の部下、ギリス・モリダールと結婚し初夜を迎えようとするが… 夫ギリスの暴言に耐えられず、マリエルは神殿へ逃げこんだ。 マリエルは身分違いで告白をできなくても、セインを愛する自分が、他の男性と結婚するのは間違いだと、自立への道をあゆもうとする。 そんなマリエルをセインは心配し… マリエルは愛するセインの優しさに苦悩する。 ※ざまぁ系メインのお話ではありません、ご注意を😓

妹に全てを奪われるなら、私は全てを捨てて家出します

ねこいかいち
恋愛
子爵令嬢のティファニアは、婚約者のアーデルとの結婚を間近に控えていた。全ては順調にいく。そう思っていたティファニアの前に、ティファニアのものは何でも欲しがる妹のフィーリアがまたしても欲しがり癖を出す。「アーデル様を、私にくださいな」そうにこやかに告げるフィーリア。フィーリアに甘い両親も、それを了承してしまう。唯一信頼していたアーデルも、婚約破棄に同意してしまった。私の人生を何だと思っているの? そう思ったティファニアは、家出を決意する。従者も連れず、祖父母の元に行くことを決意するティファニア。もう、奪われるならば私は全てを捨てます。帰ってこいと言われても、妹がいる家になんて帰りません。

実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います

榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。 なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね? 【ご報告】 書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m 発売日等は現在調整中です。

【完結】婚約者?勘違いも程々にして下さいませ

リリス
恋愛
公爵令嬢ヤスミーンには侯爵家三男のエグモントと言う婚約者がいた。 先日不慮の事故によりヤスミーンの両親が他界し女公爵として相続を前にエグモントと結婚式を三ヶ月後に控え前倒しで共に住む事となる。 エグモントが公爵家へ引越しした当日何故か彼の隣で、彼の腕に絡みつく様に引っ付いている女が一匹? 「僕の幼馴染で従妹なんだ。身体も弱くて余り外にも出られないんだ。今度僕が公爵になるって言えばね、是が非とも住んでいる所を見てみたいって言うから連れてきたんだよ。いいよねヤスミーンは僕の妻で公爵夫人なのだもん。公爵夫人ともなれば心は海の様に広い人でなければいけないよ」 はて、そこでヤスミーンは思案する。 何時から私が公爵夫人でエグモンドが公爵なのだろうかと。 また病気がちと言う従妹はヤスミーンの許可も取らず堂々と公爵邸で好き勝手に暮らし始める。 最初の間ヤスミーンは静かにその様子を見守っていた。 するとある変化が……。 ゆるふわ設定ざまああり?です。

処理中です...