上 下
44 / 106

その44(ダンス、本番)

しおりを挟む

「どうした、マリー」
「うん。シャルを探してるの」
「シャルロット嬢も招待されていたな。
ガルシア公爵は先程挨拶をしたから、もういるはずだけどな」

キョロキョロと探していると、
「あっ!お庭だ。……お兄様といる」
「どれ?なんだか仲睦まじく見えるな」
「………………うん」
「なんだ?その間は」
「この前ね、ぱ、お父様にお兄様が婚約するなら私が反対するような相手じゃないって言われたのを思い出したの」
「…………なる程」

「この前フランとケンカして、フランなんて嫌いって言って飛び出しちゃったの、それから気まずくて話もしてないんだけどね、私に求婚の話があるのをよく思ってないみたいで、お父様にお話ししたら、反抗期だって言ってたけど、お兄様が誰かと婚約するってなったら、やっぱりお兄様を取られちゃう!って思ったの」

「そんなもんなのか?俺には正直わからない」

「だってお兄様は私に優しくしてくれていたのをこれから、婚約者の人に向けることになるもん」
涙を浮かべてそう伝える

「俺がいるじゃないか。それでは足りないか?」
「だって分かんないもん」
「フランソワも同じ気持ちなんだろ?分かってるじゃないか」
「お兄様を取られちゃう」
「お前はシャルロット嬢の事が嫌いなのか?」
「ううん。好き」
「じゃあ、ユーリーとシャルロット嬢の事を応援してやればいいだろう」
「………うん」
「お前には俺がいるから大丈夫だ。」
「何?それ?」
「求婚だろ?」
「(仮)だもん」
「(仮)でもなんでも婚約するからな」
「落ち着いて考えたら(仮)でもダメなような気がしてきた」
「もう撤回はできんぞ。護衛の一人に陛下に伝えるように言っておいたからな!もう伝わってるんじゃないか?」
ニヤリと笑う……
「仕事が早いタイプなんですね」
「どう言う意味だ?」
「前はよく邸に来てたから、王子って暇なのかと思ってたから」
「なる程な………今度説明するよ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「あっ!殿下、マリー」

「……シャル!とお兄様」

アラン様に腕で小突かれて
「応援するんだろ?」
小声で言われる
「うん」

「ユーリー誕生日おめでとう」
「ありがとうございます、アラン殿下」
「二人で庭の散策か?」
「えぇ。先日はシャルロットの邸のバラ園を見させてもらったので、今日はうちの邸のバラ園をと思い案内していました」
「そうだったのか。しかし主役なんだからそろそろ戻った方が良さそうだぞ?」
「そうですね、シャルロット戻ろうか?」
「はいユーリー様」
あとでね!と手を振るシャル

ばいばいと手を振るマリー

「出来るじゃないか!」
「うん。結構頑張った」
苦笑いするアラン
「その調子だ!」


「ローズマリア」

誰?と振り向くと
ガブリエル伯爵と息子のシモーヌがやってきた。

ギラギラ親子だ!お母様の御実家だけど苦手なのよねぇ。どうしよう。

「殿下ご機嫌麗しゅうございます」

「あぁガブリエル伯爵、久しぶりですね」
「息子のシモーヌです。ローズマリアの従兄弟に当たります」
「そうだったのか。マリーの母上のご実家か」
「はい。私はローズマリアの母の兄にあたります。殿下少しシモーヌとローズマリアを話しさせてやってくれませんか?」
「悪いがそれは出来ない。従兄弟とは言えパートナーを男と二人にさせるわけにはいかん、戻るぞマリー」
「えっ?あ、ハイ」
ペコリと頭を下げてその場を去る


「アラン様といるとお話を断れるのね!」
「そうだな、便利な男だと思っていいぞ」
「凄いわ!!」
「だろ?」
「アラン様のこと、全然知らなかったけど今日はお話して新たな一面を見られて驚きました」
「……もちろん良い一面だよな?」
「うん。」
「そうかなら、良い」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

邸の中に入るとお父様に呼ばれた。
「私が邪魔なら席を外すが?」とアラン
「いえ、一緒に聞いていただけますか?」
ガルシア公爵も同席するとの事

「ユーリウスとシャルロット嬢の婚約を陛下に願おうと思っております」とリオネル

「そうか!それはめでたいな」

「アラン殿下、うちの娘は殿下の婚約者候補に選ばれていた事もあり、殿下にもお伝えしなくてはと思いまして、この場を設けさせていただきました」とガルシア公爵

「気にするな!先ほどの様子から相思相愛なのだろう?」

「えぇ。そのようですね」

「私からも父上に言っておくから、話を進めると良い」

「「ありがとうございます」」

「マリー、ユーリウスの婚約者がシャルロット嬢になるよ、良い?」

「うん。良いよ」
アラン様の腕をギュッと掴む

「ありがとう、ローズマリア嬢」
と公爵に言われる

「お兄様もシャルも大好きだから、幸せになってほしいです」
と伝える

「シャルロットが喜ぶよ」
と頭を撫でられた

「さて、とそろそろダンスが始まるね、マリーアラン殿下と踊っておいで?」

「パパ、じゃないお父様と踊らないの?」

「先ずはパートナーと踊るんだよ。私はアラン殿下の次だな」

「うん!」

「ではレディ、私とダンスを踊っていただけますか?」
と笑顔で誘われる
「ハイ!」

♪~~~~♪~~~~♪

「なんだ!マリー上手いじゃないか!」

「特訓しましたから!アラン様もお上手ですね!」

「あぁ、王子だからな」
と笑いながら言う

…………そうよ。王子様とはダンスが上手いものなのよ。
前世の王子様(推し)もダンスを踊っていたわ。
前世の王子さま(推し)は歌って踊って二時間半私たちを楽しませてくれたわね。
職業王子も自称(他称)王子も レッスンはするでしょうし、やってる事って変わらないのね……努力する人は報われるのね……

「マリーどうした?」
「いえ、考え事を…」
「ほぅ余裕だな、もう一曲踊るか?」
「えぇ。喜んで」
ニヤリと笑うアラン
そして二曲を踊った後お父様の元へと行くと

「二曲連続で踊ったの?アラン殿下」
とお父様

「あぁ、そう言う事だな」
してやったり顔のアラン

「はぁー。分かりましたよ、明日陛下に会いに行きますよ。」

「お願いします」と頭を下げるアラン様

「どうしたの?」と首を傾げるマリー

「マリーは知らないの?二曲同じ人とダンスを続けて踊れるのは、婚約者か夫婦だけなんだよ?」

「あっ!!忘れてた!!!」

「皆んなに見られちゃったね。もう周知の事実になったよ……」

「まぁ、遅かれ早かれ知られるのだから、良いじゃないか」
小声でポツリと悪いと言っている

「そうですけど、先に伝えてくれても良かったと思いますけどね、まぁ面白かったんで許しますよ」
苦笑いのリオネル

ガルシア公爵が
「めでたい事が続くんだ、良いじゃないか」
と言った

「そうですね」とリオネル

顔を青くするマリーがいた
外堀から埋められちゃった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【パパの独り言】
アラン殿下、上手くやったみたいだな。
マリーを嫁に出すまでは一緒にいられるから、それまでは甘やかして育てよう。
この前までは私の事が一番好きだと言っていたのにな………。
しかし、ユーリウスの婚約も反対しなかったところを見ると、マリーの心のケアもしてくれたんだろう。
意外とやるな、王子様は…見直したよ。

あとの問題はフランソワ……か。
頭が痛くなるな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄を希望しておりますが、なぜかうまく行きません

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のオニキスは大好きな婚約者、ブラインから冷遇されている事を気にして、婚約破棄を決意する。 意気揚々と父親に婚約破棄をお願いするが、あっさり断られるオニキス。それなら本人に、そう思いブラインに婚約破棄の話をするが 「婚約破棄は絶対にしない!」 と怒られてしまった。自分とは目も合わせない、口もろくにきかない、触れもないのに、どうして婚約破棄を承諾してもらえないのか、オニキスは理解に苦しむ。 さらに父親からも叱責され、一度は婚約破棄を諦めたオニキスだったが、前世の記憶を持つと言う伯爵令嬢、クロエに 「あなたは悪役令嬢で、私とブライン様は愛し合っている。いずれ私たちは結婚するのよ」 と聞かされる。やはり自分は愛されていなかったと確信したオニキスは、クロエに頼んでブラインとの穏便な婚約破棄の協力を依頼した。 クロエも悪役令嬢らしくないオニキスにイライラしており、自分に協力するなら、婚約破棄出来る様に協力すると約束する。 強力?な助っ人、クロエの協力を得たオニキスは、クロエの指示のもと、悪役令嬢を目指しつつ婚約破棄を目論むのだった。 一方ブラインは、ある体質のせいで大好きなオニキスに触れる事も顔を見る事も出来ずに悩んでいた。そうとは知らず婚約破棄を目指すオニキスに、ブラインは… 婚約破棄をしたい悪役令嬢?オニキスと、美しい見た目とは裏腹にド変態な王太子ブラインとのラブコメディーです。

いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!

夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。 しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。 ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。 愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。 いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。 一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ! 世界観はゆるいです! カクヨム様にも投稿しております。 ※10万文字を超えたので長編に変更しました。

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です

hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。 夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。 自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。 すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。 訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。 円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・ しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・ はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?

【完結】悪役令嬢のトゥルーロマンスは断罪から☆

白雨 音
恋愛
『生まれ変る順番を待つか、断罪直前の悪役令嬢の人生を代わって生きるか』 女神に選択を迫られた時、迷わずに悪役令嬢の人生を選んだ。 それは、その世界が、前世のお気に入り乙女ゲームの世界観にあり、 愛すべき推し…ヒロインの義兄、イレールが居たからだ! 彼に会いたい一心で、途中転生させて貰った人生、あなたへの愛に生きます! 異世界に途中転生した悪役令嬢ヴィオレットがハッピーエンドを目指します☆  《完結しました》

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

お妃さま誕生物語

すみれ
ファンタジー
シーリアは公爵令嬢で王太子の婚約者だったが、婚約破棄をされる。それは、シーリアを見染めた商人リヒトール・マクレンジーが裏で糸をひくものだった。リヒトールはシーリアを手に入れるために貴族を没落させ、爵位を得るだけでなく、国さえも手に入れようとする。そしてシーリアもお妃教育で、世界はきれいごとだけではないと知っていた。 小説家になろうサイトで連載していたものを漢字等微修正して公開しております。

小説主人公の悪役令嬢の姉に転生しました

みかん桜(蜜柑桜)
恋愛
第一王子と妹が並んでいる姿を見て前世を思い出したリリーナ。 ここは小説の世界だ。 乙女ゲームの悪役令嬢が主役で、悪役にならず幸せを掴む、そんな内容の話で私はその主人公の姉。しかもゲーム内で妹が悪役令嬢になってしまう原因の1つが姉である私だったはず。 とはいえ私は所謂モブ。 この世界のルールから逸脱しないように無難に生きていこうと決意するも、なぜか第一王子に執着されている。 そういえば、元々姉の婚約者を奪っていたとか設定されていたような…?

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...